第2話 どうやら、悪役令嬢の兄に転生したようです。


 目の前の美少女を見て、ここがどこかがわかった。


 目の前にいるのは、俺らで作っていた乙女ゲームの回想シーンに出てくる悪役令嬢の幼少期の姿だ。


 徹夜続きで作り、キャラを美化するのを頑張ったし、テストプレイではコースを教えてもらって全てプレイした。


 それほど入り込んだ俺が間違うはずがない。


「は?」


 思わず声に出ていた。


「お兄様、大丈夫ですか?」


 キャラに合う声優を厳選して選んでもらったし、俺もかなりいっしょに選んだんだから、間違うはずがない。


 この声は、悪役令嬢レイナ・クラリスだ。


 俺は、自分等が作った乙女ゲームに転生したようだ。


 というか、お兄様って呼んでいたよな。


 悪役令嬢の兄って冷血公爵で悪役令嬢にトラウマを与えたあのロイ・クラリスってことだよな。


 俺、そんな人に転生(?)したっていうことか?


「お兄様、お兄様ーー。」


 そう思った瞬間、たくさんの記憶が流れてきて、愛らしい声を聞きながら意識を失った。

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