第13話 試行錯誤 (三匹のやぎのがらがらどん)
次の日。
早速大学の図書館に二人で向かった。
「三匹のやぎのがらがらどん」を貸し出して貰い空いている教室で絵本を開いた。
持ち方や見せ方、ページのめくり方などを二人で見せ合いながら研究する。
久しぶりに読んだ「三匹のやぎのがらがらどん」は記憶とは印象が違った。
三匹のやぎは名前がどれも「がらがらどん」
小中大の大きさだ
三匹は山の草場で太ろうと山へ登る
登る途中に谷川があり橋が掛かっていた
小さいやぎが橋を渡ると橋の下から恐ろしいトロル(小鬼)が「ひと呑みにしてやる」と襲って来た
「自分は小さいから少し待てばもっと大きいやぎが来ますよ」
と小さいがらがらどんはトロルに言って難を逃れる
中ぐらいのがらがらどんも同じく
「少し待てばもっと大きいやぎが来ますよ」とトロルを言いくるめ橋を渡る するとすぐに一番大きいがらがらどんが橋を渡って来る
「おれだ!おおきいやぎの がらがらどんだ!」
ひどくしゃがれた がらがら声でそう言うと
「さあこい!」
とトロルに飛びかかった
そして二本の角で目玉を串刺しに 蹄でトロルの肉も骨も木っ端微塵にして谷へ突き落としてしまった
こうして「三匹のがらがらどん」たちは草をいっぱい食べてとても太ったとさ おわり
こんな話やったっけ……?!
なんとスプラッターな……大きいがらがらどんの情け容赦のなさときたら、まるで悪役だ。他の二匹は大きいがらがらどんの強さをわかっていたからこそこんな作戦に出たのだろう。
そうでなければ他のやぎを生け贄にして自分だけ助かろうとした小狡い奴としか思えない。
「……取り敢えず読んでみる?」
桜木武士の「大きいがらがらどん」は楽しくも可愛くもましてや甘さなど皆無だった。
如何に子どもが楽しい可愛い甘い物ばかりを好まないにしても、恐らくこの読み聞かせを聞いた夜、子どもの夢に桜木武士の「大きいがらがらどん」が必ず出て来るだろう…
ナイトメアとして……
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