第5話 同志

 高校に入ると、村社会は街のご近所付き合い程度の密着度に変化した。


 恋に部活に勉強にと毎日自分のことで手一杯だ。他人の動向に一々目を光らせている暇はない。お陰で随分と楽になった。常に武装する必要もない。


 そして初めて本当の友達と言える付き合いが出来るようになった。武器を下ろし武装を外しても安心して一緒にお茶を飲める、そんな同志が出来た。

 素の自分でいても構わない。一緒に毒づいたり、笑ったり、それは本当に心地良かった。ごく稀に裏切られる事はあっても、本音という殴り合いで喧嘩が出来るのは、策略と言う刀で騙し討ちするよりも遥かに相手と自分自身を傷つけることはなかった。


 大学生になると、女社会は更に大都会のマンション付き合い程度になった。そこでは高校時代の様な友達は出来なかったが、無闇矢鱈と襲い掛かられる心配もなくなった。ただ稀にいきなり不意打ちを仕掛けてくる敵はいた。ナメられればなかなかに不快な思いをする。


 さほど男に興味はなかった。自分から好きになった事もなかったし自分を好きになるような見る目のない男にはもっと興味がない。ただサークルなどで知り合う女の子達にナメられないためにも、如何に男にモテるかは重要だった。男に相手にされない女はナメられる。初手からマウントを取るためにも男に気に入られる事は必要な戦術だった。

 幸い大抵の男はチョロかった。面白い様にこちらの思惑通りに動いてくれる。そしてそれは余りにも退屈だった。

 何のために武装しているのか段々わからなくなる。何故ナメられてはいけないのかも最早謎だったが、今更武器を、武装を、捨てる事は出来なかった。

 ならば闘うまでだ。闘うなら勝つ、何としても。


 そうしてまた独りで闘い続けている。


 小・中学校と変わったのは、高校時代に素裸の自分でいられる同志が出来た事ぐらいか……

 でも彼女達の存在は、私にとって何よりもかけがえのないものとなった。男達よりも遥かに重要な存在だった。


 そんな時彼に出会った。彼は武人ぶじんの様に厳つくゴツかった。如何にも男らしいBIGな男だった。 


 少なくとも見た目は……

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