雑談配信③

紅葉「..........アレ?」


私の発言が衝撃的だったのか、コメント欄はしばらく静寂に包まれ、コメントが書き込まれることなかった。


...........が


:数百年!?

:どうりで詳しいはずだよ

:そっか、紅葉ちゃんは鬼と人間のハーフだから、長生きして当たり前ってことか

:にしても長生きだよな


その数分後、怒涛のコメントラッシュが来るのだった。


紅葉「まぁ、妖怪と人間のハーフは、私みたいに数百年生きるパターンと、人間と同じ寿命のパターンがあるんだけど...........私の場合は、前者だったみたい」


:妖怪と人間のハーフにも種類があるのか..........


紅葉「色んな人間がいるように、妖怪と人間のハーフにも、色んな種類があるのさ...........」


:てことは、悪さをするハーフもいるってこと?


紅葉「いるにいるよ。もちろん、私みたいに退治屋をするハーフもいるけどね」

大福「ワン!!」


:そういえば、さっきエナジーのことを言ってたけど..........エナジーって、私達でも使えるの?

:それ思った

:俺もエナジー使いたい!!


エナジーの使い方かぁ..........


紅葉「ちょっと待っててね」


私はそう言うと、押し入れの中から、マネキンを取り出した。


:まさかのマネキンw

:マネキン登場で草

:マ ネ キ ン か よ

:吹いたわw

:ワイなんか鼻から麦茶やぞ

:鼻から麦茶w


紅葉「えっとね.....エナジーっていうのは、いわゆる、火事場の馬鹿力の素みたいな感じなの。でも、火事場の馬鹿力って、普段は全くと言っていいほどに使わないでしょ?つまり、エナジーっていうものは、体内で眠っている状態なんだ」


:そうなの!?

:確かに、火事場の馬鹿力って中々出ないよな

:エナジーってすぐ使えるのかと思ってた


紅葉「んで、ここからが肝心なんだけど.................エナジーは、ここら辺を刺激すると使えるようになるんだよね」


マネキンの胸の辺りを指差しながら、そう言う私。


:刺激を与えるって.....どうやって?


紅葉「あ、そっか。じゃあ実演するね」


カメラの方を向きながら、私は..........自身の小指にエナジーを溜めると、そのまま、その小指をマネキンの胸に当て、エナジーを放った。


すると..........その勢いが凄かったのか、マネキンの胸辺りは凹んでしまった。


紅葉「とまぁ、こんな感じだよ」


:威力がえげつなくて草

:これ確実に痛いやつだろ

:力を手に入れるには、それなりの痛みが必要...........てことか

:何か既視感が.......

:小指の破壊力w

:マネキンの胸のところが凹んでるぅ!?


紅葉「あ、もちろん。人間の体でやると、めちゃくちゃ痛いからね」


私のこの言葉に対し、コメント欄には


:だろうね!!

:そりゃそうだわ!!

:痛そうだもんな..........


というようなコメントで溢れていた。


紅葉「人間の場合は、こういうやり方でエナジーを目覚めさせるけど...........妖怪は、生まれながらにエナジーを操ることができるから、そこが妖怪と人間の違いかな?」


:そうなの!?

:だとしたら妖怪が羨ましい..........

:それなぁ!!


紅葉「あと、ついでに言っておくけど..........妖術っていうのは、体内にあるエナジーに対して、特定の命令をすることによって、初めて妖術として成立するんだ。そこが魔法と妖術の違うところかな?」


今の時代でいうところの、プログラム的なやつなんだよね。


:なるほど!!

:魔法→マナを集めて放出 妖術→エナジーに命令を与えて技を繰り出す..........みたいな感じか!!

:要するに、妖術師はプログラマー的な感じなのかな?

:何かカッケェ!!

:どうりであんな芸当が出来るわけだ


紅葉「アハハハハハ!!ありがとね!!」

大福「ワフ!!」


:ねぇねぇ、紅葉ちゃんに質問してもしてもいい?


紅葉「うん、いいよ」


:あの薙刀みたいにヒヒイロカネを使った武器って、たくさんあるの?


紅葉「あるにはあるよ」


:マジか!!

:やっぱあるのね


紅葉「この武器の正式名称は。主に、私みたいな退治屋の武器として使われてる道具でね、持ち主のエナジーによって、姿形を変えるんだ」


:持ち主によっては姿形を変えるタイプの武器..........うん、いいね!!

:何かロマンがあるよな

:ダンジョンのドロップアイテムでも、そんな武器なかったから、余計に憧れるなぁ.....

:だな


紅葉「へぇ、そうなんだ...........ん?」


ふと、時計を見ると..........針は9時を指していた。


紅葉「あ、もう9時なのね」


:もうそんな時間なの!?

:時の流れは早いもんだな〜


紅葉「というわけで!!雑談配信はここまでにしようと思うけど..........いいかな?」


:いいとも〜!!

:夜更かしは体に悪いからなぁ

:明日のために早く寝ないとな

:まさか雑談配信でトンデモ情報が聞けるとは..........

:紅葉ちゃんのアレコレが分かって楽しかった!!

:ありがとう!!紅葉ちゃん!!


紅葉「てなわけで!!今日の配信はここまで!!バイバ〜イ!!」

大福「ワフワフ!!」


そう言った後、配信を終える私なのだった。

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