〈閑話〉Dチューバ紅蓮と化け物級の新人

竜崎紅蓮は日本一有名なDチューバーである。


彼のチャンネルの登録者数は、既に一万人を超えているのに加えて、冒険者としての実力も持っているためか、彼の知名度は、世界にまで轟いていた。


そんな彼は...........今現在、雑談配信を行なっていた。


紅蓮「こんグレン〜!!みんな、元気か?」


:もちろん!!元気だぜ!!

:紅蓮様の配信キター!!

:今日も紅蓮様はカッコいい..........

:待ってたぜ!!

:(((o(*゚▽゚*)o)))


紅蓮「さてと.....今日はタイトル通り、雑談配信をしていくぞ〜」


:いよっ!!待ってました!!

:前回の雑談配信はほぼ例の新人Dチューバーの話題だったからなぁ..........


紅蓮「あ、アハハハ.....」


コメント欄の言葉に対し、苦笑する紅蓮。


例の新人Dチューバーとは、初配信で特殊ダンジョンを攻略しただけではなく、モンスター化したシバ犬を救出した人物........大江山紅葉のことであった。


彼女のその破天荒っぷりに、ベテランDチューバー兼冒険者の紅蓮は呆然とし、当然ながら、言葉を失っていたのは言うまでもない。


紅蓮「さてと、今日は何を話そうかな〜」


:そんなに紅蓮くんに朗報!!あの紅葉ちゃんが雑談配信をやってるらしいよ


紅蓮「へぇ!!そうなんだ!!」


《《あの》』新人Dチューバーが、雑談配信をしている。


それだけでも、紅蓮の興味を惹くには、十分すぎるほどの情報だった。


紅蓮「..........ちょっとだけ観てみるか」


:紅蓮様、それフラグや

:またトンデモ配信なんだろうな..........

:初配信がアレだったしね.....


視聴者の心配を他所に、例の新人Dチューバーの配信動画を観る紅蓮。


しかし.....


紅蓮「え?」


案の定、その雑談配信の内容があまりにもヤバかったので、再び呆然とするのだった。


:紅蓮様が言葉を失ってる!?

:鬼と人間のハーフ!?妖術師!?エナジー!?

:何か想像の斜め上を行くトンデモ配信だな

:あ〜、大福ちゃんが可愛いんじゃあ

:ヒヒイロカネって実在したんだ..........


紅蓮「そういう.....ことだったのか」


彼女の力の源を知り、思わずそう呟く紅蓮。


それと同時に...........彼の脳裏には、ある記憶が蘇った。


紅蓮『僕..........ハーフだから、みんなにイジメられるの。だから.....ハーフじゃないお姉ちゃんが羨ましいな』

紅葉『何言ってんの!!紅蓮くん!!むしろ、ハーフっていうのは、両方のいいとこどりをしているようなもんなんだよ!!』

紅蓮『そう.......かな?』

紅葉『そうだよ!!だから、自信を持ちなって!!』


紅蓮「そっか、.................あの人が、紅葉お姉ちゃんだったんだ」


:ん?

:紅蓮くん?

:ドユコト?

:紅葉お姉ちゃん?

:もしかして..........紅蓮くんは紅葉ちゃんに会ったことがあるの!?


紅蓮「あぁ、ずいぶん昔の話だけどな」


昔のことを懐かしく思いながら、そう呟く紅蓮。


その瞬間.....紅蓮は、あることを思いつくのだった。


紅蓮「コラボ..........してみようかな」


コラボをすれば、紅葉と再開できる。


我ながら良いアイデアだと、紅蓮は思った。


:紅葉ちゃんとのコラボぉ!?

:何かまたトンデモ配信になりそうな予感.....

:や っ た ぜ

:何それ面白そう!!

:楽しみだな〜


紅蓮(まさか、こんなところで紅葉お姉ちゃんのことを思い出すとは...........)


かつて、出会った紅葉のことを懐かしみながら、そう心の中で呟く紅蓮なのだった。

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