GOGO下層!!

:スゲェェェェェェ!!

:ほぼノーダメでブチコボルトロードを倒したぁ!?

:モンスターってあんなに綺麗に真っ二つになるのか.....

:切れ味抜群すぎるだろ!!

:これって映画じゃないよね?

:何を今更

:こんなに凄い初配信は初めて見たぜ!!

:俺も俺も〜!!


紅葉「はぇ.............物凄い数のコメントだなぁ」


ブチコボルトロードとの戦いの後、滝のように書き込まれていくコメントに対し、思わずそう呟く私。


だって、こんなに書き込まれるとは、思ってなかったんだもん!!


紅葉「ん?」


そんなことを思っていた時...........ふと、ブチコボルトロードがいた所に向くと、そこには.......ブチコボルトロードが居なくなった代わりに、2本の短剣が落ちていた。


紅葉「........もしかして、マナ化したのかな?」


:かもしれないね

:てか、アレってドロップアイテムじゃねぇか!!

:あの短剣って.......確実にブチコボルトロードが使ってたやつじゃね?

:ブチコボルトロードを倒すだけじゃなく、レアなドロップアイテムまで発見するという奇跡よ


紅葉「.......これ、回収した方がいい?」


:当たり前だろ!!

:ドロップアイテムは即回収!!これ常識な?


紅葉「だよね〜」


そんなわけで.......私は、冒険者ギルドから支給された道具の一つである、魔法袋に2本の短剣を入れ、下層へと進んで行った。


紅葉「さてさて、下層には何があるかな〜」


と思っていたら...............


オルトロス「グルルル.....」


早速、二つ頭の巨大な犬のようなモンスターが現れた。


:今度はオルトロスかよ!!

:めちゃくちゃ強いモンスターじゃねぇか!!

:完全に殺る気満々ですね分かります

:てか、イヌ率高くねぇか!?

:殺意満々ワンワンオダンジョン

:↑全力で笑かしにくるのやめろ


紅葉「オルトロス.......か」


確か、ギリシャ神話に登場する犬......だっけ?


オルトロス「グギャアアアアアアア‼︎」

紅葉「へぇ、こんなモンスターもいるんだ」

オルトロス「⁉︎」


私のオーラにビビったのか、それとも、本能的に敵対してはいけないと察したのか、さっきの威勢はどこへやら、へっぴり腰となったオルトロスは、その場から立ち去ろうとしていた。


:オルトロスがビビってるぅ!?

:紅葉ちゃんのオーラでビビるて..........

:あのオルトロスがへっぴり腰になって時点でヤベェよ

:尻尾がめちゃ垂れ下がってるw

:あそこまでビビってるオルトロスは初めて見たわw

:オルトロスがビビるオーラを出す紅葉ちゃんのヤバさよ............


紅葉「何で逃げるのさ!!」

オルトロス「キャイン!?」


全速力で逃げるオルトロスに対し、ダッシュで追いかける私。


最初は距離があったものの.......持ち前の体力で徐々に詰めていき


紅葉「ヤッホー!!」

オルトロス「ギャオン!?」


あっという間に追い付き、背後から叩き斬った。


:オルトロスゥゥゥゥゥゥゥ!?

:これほどまでにオルトロスに同情するのは、後にも先にもこの配信だけなんだろうな

:オルトロスの全力疾走に追い付く時点で既に草

:ご愁傷様です.......

:涙目オルトロスw


紅葉「私、こう見えても足は速い方なんだよね」


:知 っ て た

:紅葉ちゃんの強さがロードを撃破する時点でヤバいと思ってだけど、すばやさの面でも紅葉ちゃんはヤバかった件

:あのオルトロスに追い付く映像なんて、初めて見たわ!!


紅葉「え〜?そんなに速くなかったけどな」


そう呟きつつ、攻略を続けていると


ミラーウルフ「ォォォォォォォン!!」


今度は、カメレオンのように体を透明化する、狼のようなモンスターが何匹か現れた。


:今度はミラーウルフかよ!?

:特殊ダンジョンの下層なだけに、超強力なモンスターがポンポン出てくるなぁ.....

:ミラーウルフ逃げて超逃げて!!

:まさかとは思うけど.............このミラーウルフ達、さっきのオルトロスのやつを見ていなかったのか!?

:何でだろう........何となくミラーウルフの未来が見えるんだが

:↑奇遇だな、俺もだ


紅葉「体を透明化するモンスター............かぁ、何かワクワクしてきた!!」

ミラーウルフ「ォォォォォォォン!!」


リーダーらしき存在の掛け声と共に、一斉に透明化し、私に襲いかかるミラーウルフ達。


その瞬間、私は..............薙刀を使って、大きな斬撃を放った。


放たれた大きな斬撃は、小さな斬撃に分裂した..............かと思えば、その小さな斬撃はバラバラに飛んでいき、一匹一匹、確実にミラーウルフを仕留めていった。


:嘘.......だろ

:下層の中で一番厄介なミラーウルフが............倒されていく.....

:.......夢かな?

:あんな技、今まで見たことねぇよ!!

:自身が透明化してもなお、自動的に追跡してくる斬撃のヤバさよ

:アレこそ真の技ってか......

:そうなると、あの薙刀は特別製なんじゃねぇか?

:炎を纏ってる時点で、既に普通の薙刀じゃないしな


コメント欄が騒然とする中でも、ミラーウルフは続々とやられていき.......


ミラーウルフ「ォォォォン!?」


最後の一匹にして、リーダーと思われるミラーウルフも、小さくも鋭い斬撃の前に倒れるのだった。


紅葉「ん〜。一応、手を抜いたんだけどな.......」


:手を抜くってレベルじゃないだろ!!

:自動追跡する斬撃を放つ=手抜き?

:アレが手を抜いた程度の攻撃なの!?

:これが本物の強者か.......

:何かもう道中に遭遇するモンスター達が可哀想に思えてきた


紅葉「みんなはどっちの味方なの〜!!」


その後、下層を攻略する道中で、ゾンビ化した狼のゾンビウルフやら、頭に氷の角が生えた狼のフリージアウルフ、更には、電気を操るサンダーウルフ.......などなどのモンスターと戦い、無事に下層を進んでいき.............とうとう、下層最後の階層にたどり着くのだった。


紅葉「さっきから思ってたけどさぁ..........このダンジョン、イヌ率高くない?」


:それ思った

:圧倒的なイヌ!!

:確かに.......普通に考えたらおかしいよな

:先生!!ネッコの仲間であるハイエナそっくりブチコボルトはイヌに入りますか!!

:コボルト=イヌだからありだろ

:それに、ハイエナの別名はタテガミイヌだからな

:あ、それもそうだな


紅葉「..........もしかして、下層のボスが関係しているのかな?」


そんなことを思いながら、下層最後の階層に入って行く私。


だけど、この時の私は知らなかった。


この勘が、事実ということを.......

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