VSブチコボルトロード

ダンジョンというものには、上層・中層・下層の三つの階層に加え、ボス部屋というものが存在する。


ボス部屋とは、言ってみれば関門のようなものであり、ボス部屋のボスを倒さない限り、下層へは進めないのだ。


なので.......今現在、私はそのボス部屋の前にいる。


紅葉「初めてボスと戦うけど......強いのかな?」


:当たり前だろ!!

:ボスは強い、これ常識

:むしろ、紅葉ちゃん視点での強いのレベルは桁違いにヤバいんじゃ.......


紅葉「ところでさ、このキラキラした石って何だろう?」


カメラに向け、綺麗な石を見せる私。


その瞬間


:ファッ!?

:それ魔石じゃねぇか!!

:いつの間にゲットしてたのかよ!?

:しかもデカくね?

:紅葉ちゃん!!それ間違って食べたらダメだよ!!

:↑紅葉ちゃんならやりかねない


と、こんな感じで、コメント欄が盛り上がっていた。


紅葉「魔石?って何?」


:魔石っていうのは、魔法の素であるマナの集合体...........ま、要は空気中のマナが集まって出来た石みたいな感じのやつだよ

:そうそう!!普通は、あんまりドロップしないから、レアアイテム扱いされているんだよね


紅葉「そういえば.......ブチコボルトの死体が光の粒子となって、集まったかと思ったら、これがあったんだよね」


:ダニィ!?

:なるほど、モンスターの死体がマナ化→マナが集まる→魔石爆誕!!てな感じか

:魔石ってこういう風に出来るのか......


なるほど、色々と勉強になるなぁ。


紅葉「さてと、雑談はこれぐらいにして.............入りますか!!」


そう言った後、意を決してボス部屋に入る私。


すると...........そこには、さっきまであった森のフィールドとは違って、開けた場所があり.............その真ん中に、巨大なブチコボルトがいた。


ブチコボルトロード「ギャオオオオン!!」


:おいおい!?アレってブチコボルトロードじゃねぇか!!

:中層でロードが出てくるなんて.........流石は特殊ダンジョンだな

:ブチコボルトでさえ強いのに、ロードがいるのかよ!?

:ロードテラオソロシス

:初配信でロードが出てくる動画なんて、生まれて初めて見たわ!!


紅葉「ロード.......ってことは、強いのかな?」


何か、ワクワクしてきたな。


:顔がもうバトルジャンキーのやつになってるぅ!?

:ブチコボルト→チャンピオン→ジェネラル→キング→ロード、OK?

:さっきまで戦っていたブチコボルトって..........このロードの部下なんじゃ

:どうりでこのダンジョンの中層にブチコボルトが多いわけだよ


ブチコボルトロード「グルルル.....」

紅葉「アレ?なんか怒ってる?」


:ブチコボルト達をウルトラ上手に焼いたんだ、そりゃ激おこぷんぷん丸になるよな

:怒りの元凶はこいつです

:コボルトって割と仲間思いな一面があるからなぁ......


あ、もしかして私が原因なの?


紅葉「でも、ここまで来たんだから、戦うしかないよね!!」


戦闘態勢になりながら、そう言う私。


その言葉を皮切りに、ブチコボルトロードは、私に向けて2本の短剣を投げてきた。


私は、それを躱すと.......足で短剣を蹴り上げ、まるでバットのように、薙刀でその短剣を飛ばした。


その短剣は、ものの見事に、ブチコボルトロードの肩に刺さり..............


ブチコボルトロード「ギャオオオオン⁉︎」


ブチコボルトロードに、ダメージを与えた。


:どういう使い方!?

:モンスターの武器を蹴り上げて、自身の武器をバット代わりにして飛ばす............うん、ヤベェな

:自分の武器でダメージを負うなんてこと、ブチコボルトロードにとっては、肉体的にも、メンタル的にも、ダメージを負うのは間違いないね

:これ、確実に逆上するパターンだよな?

:だな


すると、視聴者の心配は当たったのか...........


ブチコボルトロード「ギャオオオオン!!」


スーパー激おこぷんぷん丸状態となった、ブチコボルトロードがこっちに向かって来た。


紅葉「そう来なくっちゃ!!」


そうじゃないと、戦いは面白くないからね!!


ブチコボルトロード「ギャオオオオン!!」


ブチコボルトロードは、肩から短剣を引き抜くと.............その短剣を使い、無数の斬撃を放った。


:ヤベェぞアレ!!

:完全にキレてるやん!!

:ガチギレで草

:体が大きな割に、器用に短剣を使いやがって.............

:あんなの避けきれねぇよ!!

:流石はボス、初心者Dチューバーでも容赦ないな

:これが.....中ボス............?


紅葉「ふむふむ、ブチコボルトロードは巧みな斬撃を放つタイプなのね」


こういう場合は......


紅葉「それっ!!」


大ぶりに武器を振って、風を起こせば、何とかなる!!


:突風で斬撃を消し飛ばしたぁ!?

:どんだけ強い風なんだよ!!

:そりゃブチコボルトロードがポカーンとしてもおかしくはないだろ

:ボスをポカーンとさせるDチューバーが今まで居ただろうか?

:斬撃の対処方法がいかにもバトルジャンキーっぽくて好き


紅葉「斬撃が来た時は、風を起こせば何とかなる。ここ、大事だからね」


:そんな情報初耳だよ

:んなこと出来るか!!


え〜、そうかな?


そう思っていると、我に帰ったブチコボルトロードが、こっちに向かってやって来た。


ブチコボルトロード「ギャオオオオン!!」


そして、2本の短剣を力一杯振り下ろした............が


紅葉「アレ?それが君の本気なの?」


その攻撃は、私の薙刀によって、防がれたのだった。


:嘘.....だろ?

:薙刀一本で攻撃を受け止めたぁ!?

:紅葉ちゃんの発言が完全に強者の言葉で草

:薙刀ってあんなに耐久度があったっけ?

:間違いなく、ブチコボルトロードはフルパワーで攻撃してるはずなのに......何でそれを平然と受け止めてるんだ!?

:普通、腕が折れてもおかしくはないんだけどなぁ


ブチコボルトロード「グルルルゥ!?」


自身の攻撃が、私みたいな小娘に受け止められたことに驚いたのか、思わず、信じられないと言わんばかりの声を上げた。


ま、の敵なら何度も戦い慣れているからなぁ。


紅葉「で?まだやるの?」


私がそう言うと..........ムキになったのか、ブチコボルトロードは、私に向けて、何度も何度も攻撃した。


しかし..............結局、私にダメージに入ることはなかった。


:スゲェェェェェェ!!

:信じられるか?これが中ボス戦だぜ?

:何度も攻撃してるのに、ダメージ0という理不尽さよ

:ブチコボルトロードの顔w

:モンスターでも焦り顔をするんだ.........

:これぞまさしく分からせ

:↑誰が上手いことを言えと

:wwwwwwww

:吹いたわw


ブチコボルトロード「ギャギャオオン!!」

紅葉「ふぁ〜あ、何か飽きてきちゃったな」


そろそろ、防御に徹するのをやめようかな。


:強者の余裕w

:飽きるのかい!!


コメント欄からそんなツッコミが入る中............私は、ブチコボルトロードの攻撃を跳ね返すと、薙刀に再び炎を纏わせ、ブチコボルトロードに向けて、走っていった。


ブチコボルトロードは、これ幸いにと、怒涛の連続攻撃をするものの


紅葉「遅い遅い!!」


既に攻撃を見切っている私にとって、その攻撃は無意味なものとなっていた。


:何だあれ!?早っ!?

:あんなに俊敏な動きをする人は初めて見たぞ!?

:.......瞬間移動?

:連続攻撃を繰り出すブチコボルトロードも凄いけど、その攻撃を華麗に避ける紅葉ちゃんも凄ぇよ!!

:しかも、攻撃を躱しながらブチコボルトロードの方へ進んで行ってるぞ!?

:はぁ!?

:紅葉ちゃんワープw


攻撃を躱しながら、移動している私に対し、恐怖を覚えたのか、ブ横方向に2本の短剣を振るブチコボルトロード。


だけど.......私が空高くジャンプしたことによって、その攻撃は空振りに終わってしまった。


紅葉「一気に行っちゃうよ!!」


そう宣言した後、再び薙刀に炎を纏わせた私は...........ブチコボルトロードを、上から縦半分に切断した。


ブチコボルトロード「グギャアアアアアアア!?」


その瞬間、ブチコボルトロードの体は炎に包まれ........そして、そのまま地面に倒れ、二度と動かなかった。


紅葉「ブチコボルトロード!!打ち取ったり〜!!」

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