モナリザの記号

「よろしくおねがいします」



 そう微笑んだきみを見て、本当にこの部活の部員なんだな、と実感した。

 同時に、きっと退部してしまうのだろうな、とも。



 学校の花形は男子ならサッカー部、女子ならダンス部。

 その他にも魅力的な部が沢山あるこの学校で、わざわざ小説を書こうなんて考える人は少ない。



 わたしはこの部が好きだった。

 だから、新入生が来てくれた事が嬉しかったと同時に、この部の雰囲気を崩したくなかった。




 この美貌で部に入ると言うことは、何か訳があるのだろうか。

 クラスでの罰ゲームが入部だったり?

 それとも、わたしを揶揄しにここへ来たのか。



 わたしは最低な思考と共に、きみを部員として受け入れた。

 入部届が嬉しかったのは本当だ。

 それでも、だからこそ浮かれてはいけないと、そう自分に言い聞かせた。



「よろしくね。深山波瑠さん。」

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