16話目

俺は今、アリシアと朝陽先輩に抱きしめられている。


なぜこうなったかと言うと、時はすこ〜し前に遡る。



─────────すこ〜し前─────────


「アリシア、ずるいぞ!」


「え? ぐもっ!」



アリシアは後ろから抱きしめていたので、朝陽先輩が前から抱きしめてきた、朝陽先輩の胸に顔を埋める形になってしまった。



『…あれやばいよな』


『…ああ、羨ましすぎるぜ』


『クソォ、翔俺と変われ〜』


『チッ、朝陽先輩狙ってたのに』



視線と嫉妬が痛い、どうしよう…このままだと息が出来ない…ああ、もう…無理……。


─────────朝陽視点─────────


「あれ、翔くん?」


「先輩!これはまずいですよ!翔君が呼吸出来てないですよ。」


「あっ、私のせいで、ああ…」


「とりあえず部室に!」


「ああ、そうだね…」



いつの間にか、翔くんが私のせいで気を失っていたみたい、翔くんが起きたら謝らないと。



「先輩、今は翔君が起きるのを祈りましょう」


「ああ、そうだね」


「翔先輩!大丈夫ですか?」



音葉が部室に入ってきた。



「気を失っているだけなのでしばらくしたら起きると思いますよ。」


「はあ、良かったぁ」


「あっ!翔君が起きたよ!」


──────────翔視点──────────


あれ?なんで部室に…あっ、そうだ息ができなくて。



「翔くん!起きたんだね! 体調は大丈夫?」


「はい、もう大丈夫です。」


「あの…ごめんなさい!私のせいで…」


「ああ、大丈夫ですよ」


「良かった〜」


「翔先輩いぃ、良かったあぁ」


「音葉!?ごめんね、心配かけちゃったかな」


「本当に良かったよぉ」


「アリシアもありがとね」


(ガチャ)


「音葉、ここにいたのか、今日家に来ないか?今日は家に誰もいないんだ。」


「嫌です。」


「え?」


「だから、嫌です!」


「は?来いって言ってるんだよ! お前は俺の言うとうりにすればいいんだよ!」



この目の前にいるクズは黒岩 遥斗だ、ちなみに俺と同じで2年生だ。



「遥斗、音葉が嫌がってるんだからやめろよ」


「うるせぇ!翔には関係ないだろ」


「きゃっ!」


(ドンッ!)



まずい、遥斗が音葉を壁に押さえつけている、アリシアと朝陽先輩はびっくりしていて動けていない、俺が行くか。



「遥斗、やめろ」


「ああん?」



俺は遥斗の音葉を押さえつけている手を掴んだ、そしてできる限りの力を入れた。



「イテテテ」


「その手を離せ…」


「わかった!わかったから!」



「音葉、大丈夫?」


「はい!ありがとうございます!」


「なら良かったよ」


「金輪際私に関わらないでください」


「うっ…はい」



黒岩が部室を出た。



「音葉ちゃんごめんね〜」


「私も動けなかった、ごめん」


「いいんです、あのクズ妙に怖いですからね。」


「ところで翔先輩、私翔先輩のことが好きです。」


「えっ?」


「「ちょっと待ったー!」」


「私も好きだよぉ」


「わっ、私も!」


「えええええぇぇ!!!」

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