イカしたメンバーを紹介するぜ!

 お久しぶり、トワです。二度目の大学生としての生活は、かなり順調だと錯覚しています。え?まだ一日目しか終わっていませんが…


 挨拶や自己紹介はイメージ通りなので深くは触れません。言っておきますが、ロリ形態では決してありませんよ?インパクトがつよつよなだけですから。


 そんな私はテキトーなサークルや学部に入るつもりです。どうせそんなもの考えていませんでしたし、適度に勉強出来ればそれでいいのです。


「では、帰ったら家事をお手伝いしますね?」

「ちゃんと服は干しておきました!」

「偉いですね~。そういえば、妹さんはいつごろにいらっしゃるのですか?」

「一週間後くらいです!本当にかわいいですよ~」

「ふふ、それは楽しみです。一足先に帰ってしまいましょうか。」

「そうですね。そういえば、他の三期s…」

「おっと」


 あまりここで話すとまずいかもしれない話題になってしまったので、咄嗟に人差し指で口をふさぎます。


「ふが……」

「すいません、息苦しかったですか?」

「いいえ!ごめんなさい、こんなところで。」

「情報リテラシーをいまさら教えることはありませんが、注意は必要ですからね?」

「了解です!」

 

 なぜでしょう、とても心配で安心できる気配がみじんも感じられません。申し訳なさそうな顔ならよかったのですが、てへぺろ顔にグッドサインではふざけているようにしか感じられませんね。



 当日以外にまだお手伝いを行っていないので、正式には今日からメイドとしての仕事が開始されるといっても過言ではありません。


 と、言うことはメッセージ以外であみ様の食生活や洗濯、これらを一切見ていないことになりますが…。まあ、よりによってあみ様の普段の家事が下手とかはないでしょう。


「それでは、お邪魔しまs…」

「ようこそ!まあまだ一か月も経ってませんけど…。あっ、お前こんな所に居やがったのか‼〇ね!この世から一片も残さず滅びろ!」

『ダンダンダンダン(黒い何かをあみが靴でぶっ潰す音)』

「あみ様…?」

「ふう、すいません興奮しちゃって。昨日の夜に見かけてから殺意が止まらなくてですね。学校では収まったかなと思ったのですが…」

「向こうの天井にも一匹張り付いていますよ?」

「おんどりゃああ‼なにスプレーないときに限って出てくるんじゃワレェ‼」


 私が家に来るとき、出てこないことにワンチャンかけていたのかもしれません。え?内装ですか…、押し入れの荷物の中に生ごみが混じっている状況の延長線だと思ってください。


「では、まず掃除でも始めるので、その間に三期生の方々のことを教えてくださいますか?」

「いや、それならもう手っ取り早く本人たちに聞いちゃいましょう!」

「?…電話番号でも知っているのですか?」

「元々今日はうちに来る予定なんですよ~。だから帰る前にその三人の情報だけでもって思って…」

「ここに来る?」

「はい!事前の顔合わせとかですね。配信内容の確認とかも入ってきます。」

「打合せなら会社の方でやった方がいいのでは?しかも私、全くその話聞いてないんですが…、こんなに早く仲間外れですか?」

「ここはお父さんの会社がちゃんと管理してるビルですよ。三期制のマネージャーさんもいらっしゃるそうです。というか、私が伝えるつもりでした!聞いたのは一週間前くらいです。」

「この一週間の間に、あみ様からそのような連絡を頂いた覚えはありません。」

「何言ってるんですか?言いましたよ、私」

「いつ頃に?」

「さっき」


 こぶしをあみ様の顔面にスイングしそうになりました。いや、ただのそういう妄想ですから勘違いのなきように…。


 あみ様は自分の命がきちんと存在してるかを確認した後、しばらくして安心したように、そのままソファーで眠ってしまいました。(ほぼ気絶)今日一日で随分疲れたのでしょうが、お客様が来る時間だけでも聞きだせばよかったですねえ。



「うう…あ、今どれくらいの時間ですか!?」

「帰宅から一時間ほど経っていますが、四人の(マネージャー+三人)方は何時くらいにいらっしゃるのですか?」

「このくらいだと…、二時間後くらいですかね。」

「早めに夕ご飯も作っておいたので、食べてしまいましょう。」

「ありがとうございます!すいません…こんな部屋の掃除を一人で丸投げしてしまって。」

「ほぼ散らかっていたごみを捨てただけですので。それ以前に、私はあなたに召使として雇われています。お風呂の介抱などならまだしも、主人の雑事はメイドが行って叱るべきです。ですので、あみ様が私のことを気にする必要はありません。」

「こんなのすぐダメ人間になっちゃいそうです…。しかもこんなにきれいなメイドさんが世話をしてくれるなんて…」

「一応執事服も用意してありますよ?」

「是非見せてください‼」


『僕を餌にしないでくれないかい?そうでないと僕がうっかり君の配信で、君の痴態について口が滑ってしまうかもしれないな~』


「それは…もっと記念のときにした方がいいかもしれません!」

「そうですか。ちょっと残念です。話は変わりますけど、私達の同期のプロフィールとかも、トワさんに見せるのを忘れていたと思って、今から一緒に見ませんか?」

「お言葉に甘えて。」

「私が教え忘れていたのが悪いので…」


 これから、どのような人と活動をしていくのか、不安ですが楽しみの方が大きいのは、私が意外と図太いからかもしれません。あみ様が大きめのノートパソコンを取り出し、ファイルを開きます。


「まず一人目は、

名前は『星崎 美鈴(ほしざき みすず)』ちゃん。

Vtuber名は『明石 火車(あかいし かしゃ)』ちゃんです!

元気そうな少女の頭に猫耳が付いています!こう見えても妖怪さんです。

簡単に言うと、文武両道のすっごく明るい子ですかね。クラスとか社会で先生含めたすべての人から尊敬されたり頼りにされる学級委員長的なあれです。」

「火属性じゃなくて、聖属性の陽キャなんですよねわかります。」

「ちょっと違うような…。まあ、外国の人と日本の人の性格いいとこどりみたいな面はあるんじゃないですかね?名前的には火属性な感じ有りますけど、赤髪で猫耳もついてる和服美少女って…どう考えても妖怪モチーフですから。聖属性はないんじゃないですか?」

「確かに?そうですね。」


 まとめるだけなら私もできますが、集団を動かすというのは得意ではありません。リーダーシップがあり、皆が笑顔になれる方が当たり前ですが先頭なのです。私はライバーの皆さんのサポートがメインですから、前に行く必要はありませんから。


「もう一人は………、デデデン!

名前は『古川 桃(ふるかわ もも)』ちゃん。

Vtuber名は『桜木 咲(さくらぎ さき)』ちゃんです!

いっつもきわどい格好していますが、かなり内気な子です。実はサキュバスで、動揺したりすると、尻尾とかが勝手に出ちゃうらしいですよ!

彼女の恥ずかしがってる姿はバーチャル界隈の中でもひとめおかれること間違いなしですよ!」

「最近の表情解析機能はすごいですよね。設定された表情に近付くとプログラムされたことが起こるとは…」


 これはまあ、字ズラだけでは変態紳士さんの餌みたいな感じがしますが、素の性格を知ってもらえれば、一気にイメージが変わりそうです。まあ、本人とは会ったことがないのですが。


「このシステムは随分良いアクセントですよね!これから自分も使うかもしれないとなると心配ですが、お次の三人目は…

名前は『時島 舞(ときしま まい)』ちゃん。」

「ごえっほ!うええええ…?」

「だ、大丈夫ですか?」

「…いえ、麦茶が喉に詰まっただけです。お気になさらず。」

「そう…、じゃあ気を取り直して。

Vtuber名は『鬼頭 天野(きとう あまの)』ちゃんです★

いわゆるツンデレ…、冷徹な目の中にドSをちらつかせつつ、好きな人に対してはデレデレで、でも恥ずかしくてかわいいお顔を隠しちゃう位ギャップのある子らしいです。角があるのもヨシ…。

性格はいつも冷静ですが、一回壊れると治るまでひどいのだとか。そこらへんだと、(昨日の)トワちゃんに結構似てるかもしれませんね~」

「性格は違うとして、性質は馬鹿にならないほど似てますね…」


 やはり、わが家族はそういう血筋だったのでしょうか?(一番最初の回参照)


「この次は私ですね…

私こと『鷲見 あみ(わしみ あみ)』のVtuber名は、

『鷲塚 響(わしずか きょう)』です!

ちょっとヲタク気味な女子大学生…あれ?。所謂陰キャの部類に入る私は、ある一定層に共感が高そう…あれれれ?。作曲・楽器方面が得意で、後ろについている翼も全く違和感がない⁉前後で書いてあることが変わりすぎでしょ…

性格?はさっきのまんまで、酷過ぎない程度の陰キャです。要するに素を丸出しにするのが良い、と…」

「外見の資料にばかり目が行くのも分かる綺麗さですね。いい具合に現実のあみ様の美しさが表現されていますね。」


 まあ、ここまで来たら…


「面と向かって言われるのは恥ずかしいなあ…。そして、最後はもちろん

『トワ・ロイド』ちゃんです!

Vtuber名は『常夜 冥土(とこよ めいど)』ちゃん!

最初からほとんど設定を開けていないって、一種のHENTAIかと思いました。私達にも全体の説明見せてないってどういうことですか?見た目は灰色い髪をしたメイドさんで、とってもクールな感じで憧れます。

それでもまあ、一言で表すなら、"the maid"ですね~

感情を最低限出さずに、自分の仕事を全うする。メイドとして、非の打ちどころがありません。」

「これで全員ですか…。まあ、これから同期の深いところも、先輩のこととかも考えることになるでしょうし、とりあえずはこれだけ大まかでいいのかもしれません。」

「ほぼ百パーセント全員集合になりそうだから、不仲説とかでないように団結していかなくちゃですね!」

「最初に考える事柄にしては不吉すぎるのでは…?」


 こうして、あみ様と私は皆が来るまでの間、飲み物とお菓子の用意に追われるのでした。夜だからと言って、おもてなしに妥協は許されません。


「あと、二人きりのときは、もうちょっと気軽に話してもいいですか?」

「ええ…、しかし、今の私はあなたのメイドですので、タメ口というわけには行けませんが…」

「わ、私の話し方です!」


 少し顔を赤らめて捲し立てるあみ様に微笑みながら、ゆっくりと答えをお伝えします。


「それなら当然…、仰せのままにお嬢様?」

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