ネタばらし(不本意)
落ち着きましょう、迷惑メールの可能性も十分に考えられます。状況から見るに、鷲見さんの会社がネオライブだったというオチがあり得ますが、確認するに越したことはありません。
「おめでとう!君がVtuber になれたじゃないか!」
「さては斗和、最初から気づいていましたか?」
「いやあ、恨まないでほしいんだけどね。僕も確実にそうだと言い切れるわけじゃなかったからさ…、だって荒唐無稽な話だろ?」
「確かにそうですが、少しは相談してくれてもよかったのでは?」
「そう怒るなって。毎回思うけど、君は常識にとらわれすぎだからね。真面目はステータスだけど、もっと頭を柔軟にしていいと思うよ?」
「ちなみに、どこら辺から気付いていたのですか…?」
「初めて配信を見た直後かな?このビルって、会社がやりくりしてるみたいだから、住んでる人は大体は社員でしょ?それに、芸能人に似たような人と普通の社員が、同じ場所に住むはずがないじゃないか。しかも部屋には防音室があって、配信が終わった数十分後に丁度入居者が帰ってきてたよね。これだけあれば、怪しむことくらいできるんじゃない?」
「まあ、そこらへんも答え合わせと行きましょうか…」
社長さんの電話番号は把握済みなので、迷惑でもなんでもかけてみましょう。
『もしもし、こちら鷲見です。』
「先日はお世話になりました、トワです。鷲見 新さんで間違いないでしょうか?」
『ああ、トワさんか。うちの面接官は絶賛だったよ。当日に合格を決める程度にはね。まさかここまでとは思わなかったよ、ひいきにするつもりはなかったんだよ?』
「その話ですが、鷲見さんの会社があの『ネオライブ』なんですか?」
『え?何をいまさら』
「全くもって知らなかったのですが…」
『エリオットさんには伝えておいたよ?』
「ああ、だから…」
そういえば、家の中でもやけにVtuberの話題が出てきましたし、普通だったらあり得ませんよね。リズが娘さんとも友達だったから、Vtuberになりたいと言っていたのかもしれませんね。
『それに、エリオットさんはちゃんと、『うちの次女がVtuberになりたいらしい』と言っていたから、てっきり日本でネオライブに入りたいのかと思っていたんだが…』
「それなんですが、私は養子なので正確には長女・次女のカテゴリーに入らないんですよ。おそらくVtuberに興味があったのはリズ様で、私は鷲見さんから娘さんの家事などのお手伝いがあったので、そちらの話を優先した結果がこの状況なのかと。」
『養子!?それはわかるわけがないと思うのだが…』
「エリオット様は、養子というだけで家族をないがしろにするような方ではありませんから。それが良くも悪くも裏目に出てしまったのでしょう。」
『それはすまなかった。しかし…、正直に言って君を手放したくはないんだよ。合格の通知はまだ君にしか出していないんだが、それほどに面接官が絶賛してね。Vtuberについて熱く語っていたそうじゃないか?二度目になってしまうが、ネオライブの三期生になってはくれないだろうか…?まとめ役に(最後だけ小声)』
「私にこなせるとは思いません。あまりVtuberを多く見れているわけでもありませんよ?」
『だが、君のように視聴者や自分のことではなく、周りのライバーを第一に考えるような、ちゃんとしたまとめ役というのは、なかなかいないんだ。だいたいはキャラや個性の直線上だけなんだが、君は最初から周りより一歩引いていたんだ。そのおかげでより一層周りを見回すことができている。日本人よりも大和撫子してると思うよ。さすがはメイドだね。』
「そんなものでしょうか?」
『そうだよ。あまりVtuberが見れていないと言っていたが、熱意があったからね。』
「確かに、仕える主がVtuberのネオライブの方なら、全くもって文句はないですね。むしろ、これ以上ないほどですよ。」
『頼めるかい?』
「設定やキャラメイクにこちらが関与してよいのなら、引き受けましょう。」
『本当か‼では改めて、うちのライバーたちをよろしく頼むよ。』
「こちらこそ」
◇
こうして、私はメイド兼・執事兼・学生兼・Vtuber(NEW)になりました。
「トワさあ…、絶対に社長の『さすがメイドだね』で調子乗ったでしょ?」
「くっ…何も聞こえません!」
「まあ、仕事内容も実質メイドみたいなものだし、まとめ役なら配信回数も多くなくていいでしょ?かなり楽だと思うよ〜」
「そうですね、表の裏方のようなポジションで、てえてえの作成を手助けしましょう!」
「絶対に個人の趣味入ってるでしょ、それ…。というかさ、なんで設定とかキャラメイクを条件にしたんだい?僕は全部プロに任せてしまえばよかったと思うんだけど?」
「私達って、なかなか特殊じゃないですか。なので、素の私たちがやらかしても説明が付きやすいようにすればいいと思ったんですよ。面接官には言ってしまいましたが、二重人格で完璧人間だけど、キャパオーバーと満月の前ではダメ人間と化すなんて、普通はありいませんから。人狼も、Vのキャラにしてしまえば、いざ見つかってしまったとしても言い訳がしやすいでしょう?」
「とどのつまり、説明するのがめんどくさくなったってことでいいかい?」
「まあそうなんですが、メイドであり執事でもあるなんて、設定として採用してくれるわけないですからね。あと、最初は隠しておきたいんですよ、設定。」
「それはどうして?」
「私のVtuberとしての主な役割がまとめ役なら、私の設定ってかなり癖が強いじゃないですか。だから、最初はメイドという情報だけを公開して、他のライバーの方々には、設定がばれないうちに視聴者を作ってほしいんですよ。」
「後から設定を段々明かしていけばインパクトが薄れて、裏方での仕事と万が一の際の保険を兼ね合わせることが出来るってことかな?その様子だと、僕も出ることになるかもしれないって聞こえるんだけど…?」
「保険ですよ。ほ~け~ん!」
「はあ、こっちでは何にもやらずにトワの活躍だけ見てればいいと思ったんだけどな…」
「そんなことありませんよ?」
「また学校生活を僕にやらせるつもりかい!?断固拒否だよ!」
「鷲見さんの娘さんの前でコロコロ人格変えると、ややこしいことになってしまうので、学校生活は私が行います。」
「ならなんで?」
「鷲見さんの次女さんの世話も頼まれたでしょう?学校生活で悩みがあるのであれば、私よりもテンションが高い斗和のほうが適任だと思いまして。」
「わーかったよ!」
「ちなみに今の流れだと、Vのガワは二つ用意することになると思いますが、執事風のスカートでいいですよね?見た目も髪や目の色以外変えるって感じで。」
「お好きにどうぞ~」
そうと決まれば、私の方でラフでも書いてしまいましょうか。
◇
かなり、イラストレーターとモデラ―の方には無理を言ってしまいました。まあ、頼まれて入ったんですから、これくらい許されますよね!(傲慢)
とりあえず、メモしておきましょうか…
☆ネオライブ三期生
NEW!
・常夜 冥土(とこよ めいど)
性別:女
種族:???
〈説明文〉
ネオライブに勤めるメイド。冷静沈着
〈見た目〉
灰色の髪を持っている。”クールな”美人
自分でクールと名乗るのはどうなのでしょうか?
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