第16話 私はサキュバス
「ララ様、あなたが勇者の卵を授かったことは、我々にとって大きな希望となっています。
つきましては、どうかその力を我々に貸していただけないでしょうか?」
という一文から始まり、最後には王国へ来るようにという内容が書かれていたのだった。
それを見た私は正直戸惑ったものの、同時に不安もあったため、彼と相談することにした。
その結果、行くことに決めたのだが、その道中で色々な出来事が起こることになるのである。
まず最初の事件は、立ち寄った町での出来事だった。
この町では疫病が流行しており、多くの住民が苦しんでいるようだった。
そこで私達は彼らの治療を行い、助けることにしたのだが、その後なぜか私たちにも症状が出てしまったのである。
「どうしよう、私まで病気になっちゃったみたい」
と不安げな表情を浮かべる私に、彼は優しく微笑んでくれた後、こう言ってくれた。
「大丈夫、僕が治してあげるから」
と言って私の体を包み込むように抱き締めてくれたのだが、その時、なぜか彼の体温がとても温かく感じられたような気がした。
そして、そのまま唇を重ね合わせている内にいつの間にか眠ってしまったようだ。
その後目が覚めると、体調はすっかり良くなっていたのでホッと一安心したのだったが、
その直後、私たちはまた新たな問題に直面することとなった。
なんと、私たち夫婦の間に子供ができていたのである。
しかもその子は普通の女の子ではなく勇者の力を受け継ぐことができるという特別な存在であった。
そのことに驚きつつも喜んだ私たちだったが、
「この子に、どんな運命が待ち受けているのかしら?」
という不安もあったため、その子を育てることにしたのだが、
それから数年後、彼女は私たちの元を去って行ってしまった。
何故そのような行動を取ったのか、それは彼女自身にしか分からないことだが、
とにかく、私たちはこれからも彼女を探し続けることになるのだろうと思っている。
そんな未来が訪れることを祈りつつ、次の話に進むことにする。
2人目である私と彼との子が生まれる日がやってきた。
その出産は難産であり、とても大変だったのだが、無事に産まれたことで一安心した私だったが、
またすぐに新たな問題が浮上することになるのだった。
それは何かというと、私が突然妊娠してしまったのである。
「えっ、なんで? 私、まだ妊娠するつもりなんてなかったのに!」
驚きを隠せない私に、彼は優しく慰めてくれた後、
「大丈夫だよ、安心して」
と言ってくれたので、私も落ち着きを取り戻すことができた。
そして数日後、無事に出産することができたのだが、産まれた子供はなんと双子だった。
しかもそれが男の子2人だったことから大変驚かされたが、
それでも元気いっぱいの我が子達を見ていると幸せな気持ちになれたのだった。
そんな彼らだが、今ではすくすくと成長しており、既に1人で歩けるようになっていた。
そんな中、再び手紙が届いたのである。
差出人は国王からであり、内容は次のようなものだった。
その内容とは、新たな勇者が誕生したため、迎えにきてほしいというものだった。
その勇者とは、私たちの子供である男の子2人だったのだが、あまりにも強力な力を秘めていたことで、
世界を救う救世主として迎え入れたいというのだ。
そんな話を聞かされた私たちは、すぐに旅立つことを決意した。
新たな冒険の始まりである。
その後、王国に到着した私達は、早速彼らに会いに行くことになったのだが、
そこで出会った人物こそが現在の勇者様であり、私達の運命を大きく変えることになるのである。
なぜなら、彼の姿が私に瓜二つだったからなのである。
まるで鏡を見ているかのようにそっくりだったため、最初は戸惑ってしまったが、
徐々に打ち解けていくうちに打ち解けることができたようで安心したのだった。
その後、私達は彼の仲間となり、共に戦うことを誓ったのだった。
しかし、まだ彼らには伝えていない秘密があった。
それは、私がかつてサキュバスとして魔王を倒したことがあるということだ。
そして、彼が私の子孫であることも知っている。
だが、それは彼にとっては知られたくないことであり、私もまた話すつもりは無かったのだが、
それでもいつかは話さなければいけないと思っている。
そんなことを思っていたある日、勇者様たちが立ち寄った町でとある事件が起きる。
そこで彼は何者かに襲われてしまい、命を落としかけたのだが、私が駆け付けたおかげで何とか一命を取り留めることができたのだった。
しかし、その時の傷が癒えることはなく、未だに彼の体を蝕んでいたのである。
そこで私は自分が治療魔法を使うことで彼の傷を癒やそうと試みることにしたのだが、
その際に思わぬ事態が起こってしまったのである。
それは、サキュバスとしての能力に目覚めてしまったことだった。
つまり、私の体液が彼に摂取されることで何らかの影響が出るかもしれないということであり、
不安を抱いた私はすぐに治癒魔法をかけたのだが、それでも完全に治すことはできなかったようだ。
「どうやら、あなたの体は私の体液を摂取することによって魔力に満たされ、それによって回復したようです」
そんな事実を突きつけられ、戸惑いを隠せない私だったが、それでも治療を続けるうちに、
次第に症状が改善されていき、遂には完治するに至ったのである。
だが、その際に彼との間に生まれてしまった愛情や絆は断ち切ることができなくなってしまったようで、
その後も私達は互いに求め合うようになっていくのだった。
「俺、お前のことが好きだ」
突然の告白に驚く私だったが、その言葉を聞いた瞬間、胸が高鳴るのを感じた。
そして、気づけば彼のことを抱きしめていたのだった。
2人の間に新しい命が誕生したのは、それから数年後のことだった。
その子の名前はニーナといい、ララに似た顔立ちと勇者様に似た黒髪を持つ可愛らしい女の子だった。
そして、彼女の成長と共に2人はますます愛し合うようになっていったのである。
そんな幸せいっぱいの日々を過ごす中で、ある時、私達は思わぬ出来事に見舞われることになる。
その日、私は朝早くから料理の準備をしていたところ、急に目眩に襲われたかと思うと、その場に倒れ込んでしまったのだ。
意識が朦朧としている中、何とか立ち上がろうとするも、体に力が入らず立ち上がることができなかった。
そんな私を見た勇者様が、慌てて駆け寄ってくる。
その後、私は診療所に運ばれたのだが、そこで告げられた診断結果は驚くべきものだった。
なんと、私のお腹の中には新たな命が宿っていたのである。
しかも、その相手が勇者様ではなく魔王軍幹部の1人だったことには驚いたが、それでも彼との子ができたことは嬉しかったし、
何よりも幸せを感じていたのだった。
それからというもの、私達は家族4人で幸せな日々を過ごしていったのだが、ある日のこと、突然私達の前に現れたのは意外な人物だった。
それは何と魔王本人だったのである!
彼は私に一目惚れしたらしく、どうしても妻にしたいと言ってきたのだ。
しかし、当然断るつもりでいた私だったが、そこで思わぬ事態が起こったのである。
なんと、魔王が突然私に襲い掛かってきたのだ!
私は抵抗したが、力で敵わず押し倒されてしまった挙句、そのまま強引に唇を奪われてしまったのだ。
その瞬間、私の体に異変が起こり始めたのである。
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