第15話 私と彼⑦
当然こんなことを言えばドン引きされるに決まっていると思っていたのだが、
「喜んで!」
と、満面の笑みで答えてくれたので拍子抜けしてしまったが、
それと同時に嬉しさが込み上げてきて涙が止まらなくなってしまった。
そんな私に対して彼は優しく抱きしめてくれたため安心感に包まれたような気がしたし、
これで良かったのだと自分に言い聞かせるのだった。
その後、しばらくして落ち着いた頃を見計らって二人で宿へと向かったのだが。
道中はずっと手を繋いだまま歩いていたことを今でもよく覚えているくらいだ。
その後も何度か体を重ね愛し合い続けた結果、彼のことが好きになってしまった訳だが、
果たしてどうなるのかはまだわからないというのが、正直なところだ。
そんな、不安定な私達、だったりもする訳なのだが……、
まぁ、何にせよ今の生活に不満があるわけで……、
それでも、幸せだと思っていることだけは確かなので良しとしようと思う次第なのである。
そして、これからもずっと一緒に居られるような関係になれたら良いなと考えている自分が
いることに気付くと同時にふとある疑問が浮かんだためそれを聞いてみることにした。
「そういえばどうして私のことを好きになってくれたんですか?」
と尋ねると、彼は笑顔で答えてくれた。
「実は一目惚れだったんだよ」
と言われてしまい嬉しくなってしまった私は思わず抱きついてしまったため
勢い余って押し倒してしまう形になってしまったが、構わずそのままキスしてしまった。
私に対して、彼も、それに応えるようにしてくれたのだった。
そして互いに見つめ合う中で自然と手を重ね合い指を絡め合っていくうちに、
どんどん距離が近づいていき遂に唇が触れ合ったところで、我に返って慌てて離れたのだが、
その後もしばらく余韻に浸っていたのである。
そんな日々が続いていたある日のこと、私たちは国王から呼び出しを受けたことから、進展するのであった。
果たして、何が起こるのだろうか?
そして、私たちはどうなるのか、それを見届けてほしいと思う。
そう思いながら、彼と一緒に王宮へと向かうことになった私だったが、
途中にある大きな門の前で立ち止まった後、そこで兵士の人に呼び止められたのだった。
そこで名前を聞かれ答えると、
「お待ちしておりました」
と言われ、中へと案内されたのだが、その先に待っていた人物とは一体誰なのだろうか?
期待に胸を膨らませながら中へ入ると、そこには1人の男性が立っていた。
その男性はこの国の王様であり、私達を呼び出した張本人でもあったのだ。
突然のことに驚きつつも挨拶を済ませた後、早速本題に入ることになったのだが、その内容は意外なものだった。
なんと、私達2人に旅に出てほしいというのだ。
その理由としては、今この国が置かれている状況についての説明から始まったのだが、
それは想像以上に深刻なものだったのである。
まず、魔王と呼ばれる存在が復活し、魔物達が暴れまわっていること。
そして、その魔王を倒そうと勇者達が集まりつつあること。
その中でも最も強い力を持つと言われている勇者の1人がまだ見つかっていないことなどを聞かされた上で、
彼らに同行して旅をする中で色々な経験を積んでほしいと言われたのだ。
正直なところ不安もあったけれど、彼が一緒にいてくれるなら大丈夫だと思うことができたので了承することにしたのだった。
その後、私達は早速旅支度を整えることになったのだが、そこで初めてお互いのことを語り合う機会が訪れたのだった。
彼がかつて魔王を倒すために戦った勇者だったことや、その際に多くの仲間を失ったことなどを知り、
私もまた自分の過去を打ち明けることにしたのである。
「実は、私もあなたと同じなんです」
と言うと、彼は驚いていたようだったが、すぐに受け入れてくれた。
その後、お互いの秘密を共有し合うことで、より一層距離が縮まったような気がする。
そして、いよいよ出発の時がやってきた。
街の出口で待っていた馬車に乗り込むと、そのまま出発したのだが、その間もずっと手を繋いでいたのでドキドキしてしまった。
しかし、そんな時間もあっという間に過ぎてしまい、とうとう目的地に到着してしまったようだ。
そこで待ち受けていたのは勇者と呼ばれる人物達であり、私達を見るなり驚きの表情を浮かべていたように見えたが、
それはきっと気のせいではないだろうと思う。
「こんにちは、私はララと言います」
私が自己紹介をすると、彼らもまた自己紹介をしてくれたのだが、
その1人が私を見るなり何故か頬を赤らめていたように見えたが、きっと気のせいだろうと思う。
2人の旅が始まったのだが、その道中で色々な出来事があった。
例えば、森で迷子になってしまった時に偶然見つけた小さな村では勇者パーティーと出会えたり、
ある町で奴隷商人に捕まった女性を助けたりもしたのだ。
そして、最終的に辿り着いた街では魔王軍の幹部と遭遇し戦いを繰り広げることになったのだが、
彼は凄まじい力で敵を圧倒していたようだった。
そんな中、私はというと魔法を使いサポートに徹していた。
その結果、無事に勝利を収めることができたのだが、彼が私を庇って怪我を負ってしまったため、
急いで治療することにした。
しかし、その時の彼は何故か照れているように見えたが、きっと気のせいだろうと思う。
そんな日々を過ごしていく中で、いつしか私達は惹かれ合っていったのかもしれない。
そして遂に、2人は結ばれることになったのである。
つまり、私達は夫婦になったの。
この出来事をきっかけに世界を救うための旅に出ることを決意したのである。
だがその前に、私と彼とで結婚式を挙げることになったのだが、その準備に追われているうちにあっという間に当日を迎えてしまったのだった。
こうして式は盛大に執り行われ、私達は夫婦として新たなスタートを切ったのである。
ちなみに、この後彼は別行動を取ることになったのだが、それは、他の勇者達と合流するためだった。
しかし、それが彼と会う最後の機会となってしまったのだ。
なぜなら、彼が戦死したという知らせが届いたからである。
それを聞いた時、私はショックのあまり気を失ってしまい、その後しばらく立ち直れなかったが、
それでも彼を忘れることはできなかった。
そしてある日のこと、突然彼の声が聞こえてきたかと思うと、なんと私が妊娠していることが判明したのだ。
その事実を知った瞬間、思わず涙が溢れてきたのを覚えている。
こうして私は彼との子を産むことを決意したのである。
その結果、無事に出産することができたが、生まれた子供は、なんと勇者の力を受け継ぐことができるということが判明したのだ。
しかも、それが女の子だったこともあり、彼女はこれからどうなっていくのだろうかと不安に思うこともあったが、
それでもこの子には、幸せになってほしいと願うばかりだ。
さて、あれから数年の時が流れたのだが、ある日突然王国から手紙が届いたのである。
その内容とは一体何なのか、気になるところだが、とりあえず読んでみることにしようと思う。
果たしてその内容とは一体どのようなものだったのか、そして彼女がこの先どんな運命を辿ることになるのかを見届けてほしいと思っている次第である。
早速内容を確認してみると、それは以下のようなものであった。
まず最初に書いてあったのは、私たちに対する感謝の言葉であった。
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