第8話 ララと神官、美少女

そんな私に向かって、いきなり口づけをしてきた彼女の舌が口の中に入ってきたことに驚き、

目を白黒させているうちに頭がボーッとしてきて何も考えられなくなってしまったようだ。

(あれ、これ、どういうことだろう?)

などと考えている間に 意識が遠のいていく感覚に襲われ、抵抗しようとする気力すら湧いてこないまま気を失ってしまったようだった。

しばらくして意識を取り戻した時に自分がどこにいるのか分からずに困惑していると、

どこからか声が響いてきたような気がしたので耳を澄ませてみると、その声はどうやら自分の名前を呼んでいるように

思えたためそちらに向かってみることにしたらしいのだが……!?

(いったい何があったんだ?)

そんな風に考えながら歩いて行くと途中で後ろから声を掛けられたので振り向いてみると、そこにいたのは神官レギンスだった。

しかし、その表情からは感情を読み取ることができず、何を考えているのか全く分からなかったので思わず立ち止まってしまったようだ。

そして、彼女がこう口にした言葉に衝撃を受けることになる。

「魂の記憶は、残されません」

その言葉を聞いた途端、私の中で何かが崩れ去るような感覚を覚えた瞬間、強烈な吐き気に襲われてしまったらしくその場で嘔吐してしまったようだ。

その苦しさに悶えながらも、何とか立ち上がろうとしたものの足に力が入らず倒れ込んでしまったことで、そのまま動けなくなってしまったようだった。

そんな状況の中、辛うじて顔を上げるとそこには既に彼女の姿はなく呆然とした表情を浮かべながら床を見つめていたようだが、

しばらくして立ち上がった後どこかへ行ってしまったようである。

あれからしばらくしてようやく落ち着きを取り戻したことで冷静さを取り戻すことができたが、それでも納得できなかったようで、

(魂の記憶って何?)

という疑問を抱くことになったため、試しにステータスを開いてみることにしてみた。

(よし、これなら大丈夫でしょ!)

と思い、意を決して目を開いた途端、飛び込んできたのは次のような表示だった。

名前:ララ

種族:サキュバス

年齢:15

性別:女性

状態:空腹と混乱中

称号 :大食いサキュバス、太り気味ダイエット失敗女……など数百件が並ぶなかに一つだけ気になったものがあったので確認してみるとそれが

(おたふく女? 何それ!)

というものであったため、驚いてしまったのだがすぐに気を取り直してスクロールして行くことにした。

そして、一番下に表示されていた項目を見つけた瞬間、思わず叫びそうになってしまったのだが

なんとか堪えることに成功したらしい彼女は、心の中で

(やっと見つけた! これさえあれば何かわかるかも!)

と歓喜に打ち震えながら手を伸ばしたところで、その手を何者かに掴まれてしまったような気配を感じたらしく、

恐る恐る顔を上げるとそこには一人の男が立っていたようだ。

その男が私に声をかけてきたので返事をしようとしたところ再び咳き込んでしまい、呼吸が荒くなるとともに意識が朦朧とし始めたことで倒れ込んでしまった。

そんな私の姿を見た男は、何を思ったのか抱きかかえると部屋まで運んでいくことにしたようで寝室へと連れて行くことにしました。

そして、ベッドに寝かせるとすぐに部屋から出て行ったのだが、その後もずっと咳き込み続ける私を心配そうに見つめていたのだった。

翌朝になって目が覚めると、昨夜の出来事を思い出しながら身体を起こすことにしたようだ。

(そっか、昨日襲われたんだっけ)

と、思い出したことで頭が痛くなったもののどうにか堪えることができた私は朝食を摂りに行くことにしたようだ。

そこで、食欲があるわけではないのだが、とりあえず何か口に入れておこうと思い食堂へ向かうことにしました。

そうするとそこには誰もいなかったのでホッと胸を撫で下ろしつつ、適当な席に座ることにしたらしい。

そして、しばらくすると食事が運ばれてきたので食べ始めることになったようだが、

なかなか喉を通らないために苦戦している様子だった。

それでも少しずつではあるが、何とか全て平らげることに成功したところで再びベッドに横になったらしい。

(よし、これで大丈夫だろう)

と思い、目を閉じることにした。

その後、目が覚めると何故か頭痛がしていたので頭を抱えながら起き上がったもののどうにか我慢して歩き出すことができたようだ。

それからしばらく廊下を歩いているうちに眩暈に襲われたようで立ち止まってしまったらしい。

それでもなんとか堪えていると、そこへ背後から声が聞こえてきたので振り返ってみると

そこに立っていたのはレギンスだったようで、心配そうな表情でこちらを見つめていたようだったが、

すぐに駆け寄ってくると手を差し伸べてくれたらしく立ち上がらせてくれたようだ。

「ありがとうございます」

と答えることしかできなかった私に微笑みかけてきたあと、彼女はこう言ってくれたのだ。

「あまり、無理はなさらないように」

と、その言葉を聞いた瞬間、何故だか胸が締め付けられるような気持ちになったものの、平静を装って返事を返すことにした。

「はい、気をつけます」

その後はお互いに無言のまま立ち尽くしていたものの、不意に彼女が何かを思い出したように口を開いたことで会話が始まったようである。

その口調はとても穏やかで優しかったこともあり、心が安らいでいくような感覚を覚えたためか自然と笑みがこぼれていたようだった。

その後、話を終えた彼女は一礼すると去って行ったので私も自室に戻ることにしたのだが、

そこで重大なことに気づいてしまった! というのもどうやら昨日の夜の食事の時に睡眠薬のようなものを盛られていたらしいのだ。

(なんで!?)

「なんで、こうなったんだろう?」

という疑問を浮かべながらもまずは状況を整理することにしたようだ。

(えっと、昨日部屋に運ばれた後は記憶がなくて、目が覚めたらベッドの上で裸で寝てたんだけど、

なんかベタベタするなぁって思ってたら身体中がベトベトしててちょっと気持ち悪かったな……)

と思いながら、とりあえずシャワー浴びようと思い立ち上がったところで鏡に映った自分の姿に驚いてしまった。

そこには全身に歯形のようなものが刻まれており、特に素肌の周りには夥しい数のキスマークがあり驚いたものの、

同時に自分の素肌に興奮している自分にも気がついてしまうことになったらしいのだ。

(って私なに考えてるのよ!?)

などと思いながら慌てて着替えることにしたのだが、

「くしゅんっ」

というくしゃみをしたことで我に返り、とりあえずお風呂に入ることにしたようである。

「温かいお湯が気持ちいいな〜」

などと呟きながらリラックスしていると、突然背後から誰かに抱きしめられる感覚に襲われたため驚いて振り返ると、

そこには下着姿の美少女が立っていたではないか!

(あれ? この子どこかで見た覚えがあるような……?)

などと考えているうちに彼女は笑顔で話しかけてきたようだ。

「初めまして、お嬢さん。私はリリアーナと申します」

そう言うと、今度は私の手を取りキスをしてきたのだが、その仕草はとても可愛らしく見えたため、思わず見惚れてしまったようだ。

すると、彼女から意外な提案があったようで……。

(って、まさかこの美少女も私を襲おうとしてる!?)

そう考えた瞬間、ゾッとした私はその場から逃げ出そうとしたものの腰が抜けて立てなくなってしまったらしい。

それを見た彼女は微笑むとゆっくりと近づいてきてこう言ったのだ。

「安心してください。痛くはしませんから」

再び微笑んだ彼女が耳元で囁いた言葉はこうだった。

「貴方を幸せにしてあげます」

(ん? これって……?)

などと考えているうちに意識が遠のき始めたため、そのまま気を失ってしまったようだ。

それからどれくらい経ったのだろうか?気がつくと、ベッドの上だったようで周りを見回すと隣に美少女が寝ていたのだが、

その姿はリリアーナではなくレギンスだったことで一気に目が覚めてしまったようである。

(あ、あれ? もしかして、レギンスが運んでくれたのかな?)

と思いながらも感謝の言葉を伝えようとしたところ、またしても激しい眠気に襲われてしまい抗うこともできずに眠ってしまったらしい。

その後も何度か目が覚めることがあったものの結局、最後まで何もすることができなかったらしく翌朝を迎えることになったようだ。

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