第7話 神界とアリア

それどころか、怒りを買ったようで、更に激しく暴れ始めた。

そのせいで、辺り一面がめちゃくちゃになってしまう。

このままではまずいと判断した私は、一旦距離を取ることにした。

そして、もう一度攻撃を仕掛けようとしたその時、突然、目の前が真っ暗になった。

何が起こったのか分からず混乱していると、突然、口の中に何かが入ってくる感覚を覚えた。

そこで初めて、自分が食べられていることを理解した。

それと同時に、激しい痛みが襲ってくる。

私は、必死になって抵抗したが、無駄だった。

徐々に意識が遠のいていく中、私は思った。

(このまま死ぬのは嫌だ)

そう思った瞬間、私は無意識のうちに叫んでいた。

すると、その声に応えるかのように、どこからか声が聞こえてきた。

それは、とても美しく透き通った声だった。

その声はまるで歌っているかのように響いてくる。

その声に導かれるようにして、私の意識は深い闇の中へと沈んでいったのだった。

2人の天使はその容姿によく似合った青と白の清楚な衣装を身に纏い、雲の平原にて1人の女性を巡って争っている。

だがその顔に表情はなく、人形のように冷たい美しさを放っているだけであった。

神界を支配する両性具有であらゆる姿に変身できる女神アリアによって創造された彼女は彼女たちと同じ姿で永遠に時を過ごす運命にあるようだ。

しかし、この彼女たちにとっては自分たちが創造した女神であるはずの彼女がなぜそこまで人間どもにこだわるのか理解できなかった。

一方で、彼女たちからしても創造主に作られた存在である以上、たとえ嫌悪の対象であったとしてもその命に従うしかないという諦めに似た感情を抱いていた。

(神界のことを調べなさい)

と誰かに命じられるように急に神様視点となった私にはどうすることもできなかったから、

アモンに頼んで調べさせることになったがうまく探れないみたいで四苦八苦してる。

つまり魂に関して自由にコントロールできて、憑依もできるってことなのかな。

そんなララはこう思う事にしたのです。

(なんでもかんでも知りたいし、誰とであいたくない)

「ところでシオンさんの方はどうですか?」

と言って別の作業に入ってしまったので断念する。

次ぎの人と話をすることにして図書館を出る。

そう判断した神官がレギンスを穿かせながら思案顔でこう尋ねた。

軽く微笑みながらアリアは言う。

「いや、ここではなく、私の家で話そうではないか」

と提案する。

神界を支配する両性具有であらゆる姿に変身できる女神アリアによって、創造された彼女たちは自分と同じ顔の相手が憎たらしくて仕方なかった。

つまりララは彼女にとって自分自身だったわけであるから、それは非常につらいことだろう。

そうした状況に陥れば余計に焦燥感に苛まれるだろうし、生きていれば憎しみも生まれるだろうから

争いの種を自分から取り除きたい気持ちがあるだろうと考えられるからだ。

だが、ララは彼女たちと違い、誰かを恨む気持ちは全く無いのだ。

やはり神界を管理している女神アリアが作ったものだから魂のプログラムに差異が有るのだろうか。

などと考えていると背中に手が置かれた。

どうやら僧衣を着た者らしい。

おっとりとした気だるい声色だが、誰が発声しているのかは確実に認識することができた。

ただ一つ別のミスから生じる影響が無い限り識別不能で、魔法のプログラムを削除したとしても、

その後もララは何事も無かったかのように質問を続けている。

「何かわかりましたか?」

と、表面上では冷静を装ってはいるものの、心の中では例のことに凝っていたために全てを見通す目は地面に落としていた。

死神シオンが溜め息をついたような気配がしたが、今は話を聞くのに忙しいのでいつも通りの返答をすることにする。

吸血鬼ブラムを可愛がりながら気だるそうに相槌を打っていると二度目の溜め息をつく音が聞こえてきた気がする。

これで体調が悪くなりそうなので軽くステータスを開いてみようとしたら、アンデッドのように霞んだ黒々とした画面が視界を遮るようになっていたのだ。

そこまでして不快さをアピールしなくても良いだろうがと指摘しようとしたらマグヌス師匠の胴回りを眺めだしたようだ。

「そう、ですね。

あまり、お役に立てなくて、すみません」

そう言いながらも作業を続けながら話を続けていると、ララはふとあることに気づいたようで、こう問いかけた。

「あのぉー、もしかしてなんですけど、私が倒した魔物の魂ってどうなったんですか?」

という質問に対してマグヌス師匠が答える前にシオンが口を挟んできたようだ。

その口調はとても刺々しくて冷たかったためか空気が凍りつくような感覚を覚えたのだが、

それでも構わずに続けることにしたらしいので耳を澄ますことにする。

(何か言いたげだな)

と思いながら様子を見守ることにして、しばらく経つとようやく口を開いたようだったので耳を傾けることにした。

「あれは、ララさんが倒した魔物の魂は、消滅します」

と答えてくれたようだ。

だが、私の知らないことを何故知っているのだろうか?

という疑問が湧いてきたために聞いてみることにした。

そうすると、シオンさんは説明してくれたのだった。

それはまるで私に教えるというより自分自身に言い聞かせているようにも見えたので違和感を覚えたのだが今は気にしないでおこうと思うことにする。

ただ、内容を聞いてみて驚いたのは言うまでも無いだろう。

だって、まさかそんなことが起こるとは思ってなかったからね。

まぁ、とりあえず続きを聞こうかなと思い耳を傾けることにしたのである。

「魂は、魔物と、人間、それぞれで異なります。

ですから、倒した魔物の魂は消滅します」

という説明を受けた私は頭の中で内容を整理することにした。

要するに私やブラムが殺したり食べたりして吸収した生物の魂は消滅するということだよね。

だからシオンさんやレギンスさんが倒しても消滅したりはしないということなのかな?

それとも、また違った理由があるのか気になったので聞いてみることにしたんだけれど……。

(もしかして、もう次の段階に進んでいるとかじゃないだろうな)

そんな考えが浮かんだのだが、確かめるためにステータスを開いてみることにしてみたよ。

「は、はい。魂が消滅します」

と答えてくれたのだが、私は納得できなかったので更に質問を続けることにしたんだけれどね。

(ん?)

という疑問を抱いたまま、シオンさんの言葉に耳を傾けることにしたのだった。

それからしばらくしてようやく本題に入ることができたようだ。

とはいえ、やはりまだどこか気だるそうな感じが残っているのは気のせいだろうか?

(また何か企んでいるんじゃなかろうな)

そんな考えが頭をよぎったせいで少し警戒してしまったものの何とか平静を装いつつ話を続けてみることにした私だった。

そうすると彼女はこう話し始めたのだ。

「まず初めに言っておきたいのですが、このスキルというのは、基本的に常時発動型のものと考えていただければと思います。

例えば、戦闘時に使用する場合には自動的に効果を発揮してくれるといった形ですね。

そのため、基本的には意識しなくても問題はありません」

私は彼女の言葉を聞きながら頷いていたところ、そこで再び話が再開されたので聞くことに集中することにする。

(ふーん、なるほどね)

などと感心していると、さらに話が続いていたので聞き漏らすことのないよう集中することに決めたのだ。

そうすると、こんな言葉が飛び出してきたため一瞬戸惑ってしまったものの、冷静に対応しようと心がけることにしたのである。

その結果として、なんとか乗り切ることができたことで安堵の溜め息を漏らしたあと、改めて自分のやるべきことを

確認しようと思った矢先に新たな質問を投げかけてきた彼女によって遮られてしまうことになったようだ。

だが、その内容は意外なものであり思わず動揺してしまったもののすぐに落ち着きを取り戻すことに成功すると、

今度こそ質問に答えようと決心を固めたところで彼女はこう問いかけてきたのだった。

そして、その言葉に頷くとゆっくりと立ち上がって歩き出すことにしたようである。

そのまま部屋を出て行く後ろ姿を眺めながら、どうしたものかと考え込んでいるうちに

扉が閉まってしまったため仕方なく後を追うことに決めると慌てて廊下に出ることにしたようだ。

そして彼女が向かった方向へと歩いていくと、そこには誰もいなかったために周囲を見回してみることにしたようだが、

人の気配は全く感じられないようだったため、諦めて別の場所に向かうことにしたようだ。

そんな時、突然後ろから声を掛けられたので振り返ってみると、そこに立っていたのはアリアだったので

驚きつつも挨拶を交わすことにしたようで口を開くことにしたらしいのだ。

(あ、そういえばそうだった! 忘れてたけど)

というわけで早速話しかけようとするものの、何故か声が出てこないことに気づくと同時に困惑していると、

その様子を見ていた彼女が声をかけてきたので返事をしようとしたが声が出ないことに気づいたらしく慌てた様子で口をパクパクさせるだけで精一杯だったようだ。

それを見て訝しげな表情を浮かべていたアリアだったが、急に何かを思いついたらしくこんなことを言い出したかと思うと、唐突に顔を近づけてくるではないか!

驚いて後退ろうとしたところで後頭部を押さえられてしまったことで逃げられなくなった上、顔を動かせなくなってしまった私は、

なすすべもなく受け入れるしかなかったようだ。

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