第6話 戦闘①

「レイはいませんか」

と聞くと、受付嬢の女性は申し訳なさそうに首を振った。

(やっぱり、いないわよね……)

そう思いながらも、一応聞いておくことにしたのだ。

(仕方ない、一人で行くしかないわね)

そう決意を固めたところで、後ろから声をかけられた。

振り返るとそこには見知った顔があった。

それはなんとレイだった。

(えっ!?  どうしてここに!?)

驚きのあまり、声が出なかった。

そんな私の様子などお構いなしといった様子で、彼は話しかけてくる。

「やあ、久しぶりだね、元気にしてた?」

彼は笑顔で話しかけてきた。

私は驚きつつもなんとか返事をすることができた。

「う、うん……元気だよ……」

声が上擦ってしまったが仕方がないだろう。

何しろ憧れの人との再会なのだから緊張するなという方が無理な話だ。

しかも相手は自分のことを覚えていてくれたのだから尚更である。

嬉しさのあまり涙が出そうになるのを必死に堪えながら会話を続けることにした。

まずは挨拶からだ。

「えっと……久しぶり……だね……その……元気そうで良かった……です……あはは……あ、そうだ……あの……その……今日はどうしてここに……?」

私がそう尋ねると彼は少し困ったような表情を浮かべた後にこう答えた。

「実は、君に会いたくなってしまって、それで来ちゃったんだ……迷惑だったかな?」

その言葉に、私は自分の顔が熱くなるのを感じた。

(それってつまりそういうことだよね!?)

そう思うと、なんだか急に恥ずかしくなってきてしまった。

しかし、ここで黙り込んでしまうわけにはいかないと思い、勇気を出して答えることにした。

「……ううん、そんなことないよ……むしろ嬉しいくらい……だから、その……ありがとう……ございます……」

恥ずかしさを誤魔化すために笑って誤魔化したつもりだったのだが、それが逆効果になってしまったらしく、余計に恥ずかしくなっただけだった。

しかし、いつまでもこうしていても仕方がないので、意を決して話しかけることにした。

「あのっ! あ、あの、その、わ、私と一緒に冒険に行きませんか!?」

そう言いながら、私は彼の手を取った。

(やった! 言えた)

心の中でガッツポーズをすると同時に顔がニヤけてしまうのを抑えられなかった。

しかし、すぐに冷静になると自分の行動を思い出してしまい羞恥心に襲われたことで顔を真っ赤にして俯いてしまったのだった。

そんな様子を見ていたレイは不思議そうな顔をしていたが、しばらくすると納得したような表情を見せた後で優しく微笑んでくれたのだった。

その笑顔を見た瞬間、私の心は完全に射抜かれてしまっていたのだった。

(ああ、なんて素敵なんだろう)

そう思った瞬間、自然と涙が溢れ出していたのだった。

そしてそのまま泣き崩れるように座り込んでしまったのだった。

それからしばらくしてようやく落ち着きを取り戻したところで改めて彼に向き直り、再び話しかけたのだった。

その後、二人で話し合った結果、しばらくは一緒に行動することに決めたのだった。

そして、早速依頼を受けることにしたのだが、どの依頼を受けるか迷っていたところ、レイから提案があったのだった。

その内容とは、レイとペアを組んで討伐依頼に行くというものだった。

「レイと、ですか?」

私は驚いて聞き返してしまった。

しかし、レイは気にする様子もなく、そのまま話を続けた。

「そうだよ、僕と君で行こう」

そう言って、レイは微笑んだ。

私は、レイと二人きりだということに緊張してしまっていた。

だが、断るわけにもいかないため、仕方なく了承することにしたのだった。

その後、私達は早速準備を済ませると、目的地へと向かったのだった。

そこは、王都から少し離れた場所にある森の中だった。

目的の魔物は、巨大な蛇のような姿をしているということだったが、その姿はどこにも見当たらない。

「おかしいですね、どこにいるんでしょう」

私が呟くと、レイは周囲を見回しながら言った。

レイは魔法を使って周囲の気配を探っているようだが、その表情は険しいものだった。

どうやら見つからないらしい。

だがその時、突然地面が大きく揺れたかと思うと、地中から巨大な影が飛び出してきた!

それは、体長10メートル以上はあるであろう大蛇だった。

全身が鱗に覆われており、背中には大きな翼があることからドラゴンの一種ではないかと思われたが、

その姿形はどちらかというと東洋の龍に近い印象を受けた。

鋭い牙と爪を持ち、こちらを威嚇するように睨みつけている姿はまさに怪物と呼ぶに相応しい姿であった。

それを見た途端、私とレイはすぐに戦闘態勢に入った。

私は剣を抜き放ち、レイは魔法を唱えるべく杖を構える。

そして、戦闘が始まった。

まず最初に動いたのは、私だった。

私は、一気に距離を詰めると、剣を振り下ろした。

だが、それはあっさりと躱されてしまう。

私は、続けて何度も斬りつけるが、全て空振りに終わってしまう。

一方、レイの方はと言うと、既に魔法を発動させる段階に入っていた。

彼女の周囲に無数の光の球が出現していく。

そして、それらが一斉に放たれると、大蛇に向かって飛んでいった。

それらは、次々と命中していき、その度に爆発音が響き渡る。

だが、それでも大蛇を倒すには至らなかったようだ。

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