第3話 白い大蛇

「ララ、これは何?」

サウトがそう聞いてきたので、私はこう答えた。

「たぶん、この宝箱を開けるための何かだと思うよ」

その言葉を聞いた瞬間、私たちはゴクリと唾を飲み込んだ後、互いに顔を見合わせると頷き合った。

そして恐る恐る手を伸ばして蓋を開けてみるとそこにはなんと、

中には何も入っていなかったのである。

拍子抜けした私たちが思わず溜息をつく中、不意に背後から声が聞こえてきたので振り返るとそこには一匹の蛇がいたのだった。

しかもその蛇には見覚えがあったのだ。

そう、それはあの白い大蛇だったのだ。

それを見て驚いた私たちは慌てて逃げようとしましたが、その時には既に遅く捕まってしまいました。

「嫌だ、離してぇ」

そう言いながらも抵抗しましたが、無駄なことでした。

やがて蛇に捕まったまま連れ去られていきました。

それからしばらくすると、とある場所にたどり着きました。

そこは洞穴のような場所でしたが、とても広い場所です。

そこにたくさんの動物たちが集まっていましたが、その中の一人が近づいてきてこう言ったのです。

「お前たちが新たな仲間となる者たちか?」

それを聞いて私達は驚きました。

どうやら私達を待っていたようです。

一体どういうことなのでしょうか?

そう思っていると、彼がこう言いました。

「お前達には我々のために働いてもらうことになるだろう」

それを聞いてますます困惑していると、さらに続けました。

「お前達は選ばれた存在なのだ」

それを聞いてもいまいち理解できませんでしたが、彼はさらにこう続けました。

「お前達には我々の仲間となってもらう」

それを聞いてようやく理解しました。

彼らは我々に自分たちの仲間になってほしいと頼んでいるのです。

それはつまり、私達に服従しろということなのでしょう。

しかし、なぜ我々が選ばれたのか? それがわかりませんでしたが、ひとまず承諾することにしました。

そしてその後、私たちは様々なことを教えられることになりました。

まずは彼らの名前です。

彼らが人間ではないため本名というものが存在しないらしく、代わりにニックネームで呼び合うそうです。

「私の名前はマレク」

次に、魔法の使い方や魔物との戦い方などを教えてもらいました。

さらに、彼らの文化についても教わりました。

彼ら曰く、この世界は人間と魔族によって支配されているのだそうです。

その中でも人間は劣勢に立たされており、彼らに服従するしかないのだといいます。

しかし、だからといって人間であることに誇りを持っているため決して屈することはないのだそうです。

そんな話を聞いた後、私達は彼らの一員となったわけですが、果たしてどうなるのか……それはまだわかりませんでしたが、

今はただ与えられた任務をこなすしかないでしょう。

「さあ、お前たちは魔族を倒すために力を尽くせ」

その言葉を聞いて私たちは気を引き締めました。

そして、それから数日後のこと……ついに魔族が現れたという報告を受けた我々は、彼らと共に戦いに向かうことになりました。

果たして我々に勝機はあるのでしょうか? それを知る者は誰もいないようですが、とにかく全力で戦うしかないでしょう。

「我々には力がある」

そんな自信に満ちた言葉を聞きつつ、私は決意を新たにするのでした。

(絶対に負けないんだから)

そう心の中で呟くと、気合を入れて立ち上がります。すると周りの仲間たちも次々と立ち上がり始めたので、

私も彼らに倣うように立ち上がるとこう言いました。

というわけで始まりました。

「いざ、勝負だ」

そう叫ぶと同時に私は敵に向かって走り出しました。

すると、私の後に続いて他の仲間たちも駆け出していきます。

魔族たちは慌てふためいていましたが、やがて戦闘態勢に入りました。

そして激しい戦いが始まりましたが、私達は一歩も引くことなく戦い続けました。

そんな私達の活躍によって徐々に追い詰められていった魔族たちはとうとう逃げ出し始めましたが、逃すわけにはいきません。

そこで私達は追撃を開始しました。

彼らは全力で逃げていましたが、それでも追いつけないほど速く走れるのは恐らく私たちだけだと思われます。

(負けないぞぉ)

「待て、逃すものか」

そう叫びながら追いかけていると、途中で別方向から近づいてくる影が見えました。

「新手か!?」

そう思って身構えていると、そこにいたのは一人の女性でした。

その女性は黒い翼を持ち、手には槍のようなものを持っていました。

恐らく彼女が彼らの幹部なのだろうと思った私は、すぐに戦闘態勢に入りました。

すると彼女は私たちに向かって話しかけてきました。

彼女は不敵な笑みを浮かべながら言います。

「あらあら、随分と勇ましいわね。でも残念だったわね、貴方達はもうおしまいよ」

「何だと?」

「どういう意味だ」私がそう聞くと、彼女は笑いながら答えました。

「こういうことよ!」

次の瞬間、彼女の背中から大きな翼が現れ、そして空中へ飛び上がりました。

そして手に持っていた槍を構えると、こちらに向けて放とうとしてきました。

私は咄嗟に避けることができましたが、他の仲間たちは間に合わず攻撃を受けてしまいました。

ある者は腕や足を切られて出血し、またある者は腹を貫かれてしまっています。

その光景を見た私は、すぐに助けようとしましたが間に合わないと判断して逃げようとしたのです。

すると今度は別の方向から何かが飛んできて私にぶつかります。

「くっ、何が起きた?」

何が起こったのかわからず混乱していると、今度は背後から攻撃されました。

振り返るとそこにはまた別の魔族が立っていました。

その魔族の手には槍のようなものが握られていて、それを私に向けて振り下ろそうとしています。

私は咄嗟に避けましたが、僅かに当たってしまったようです。

脇腹から血が流れ出し、痛みを感じながらもなんとか態勢を立て直そうとしましたが、

そうしている間にまた次の攻撃を受けてしまいました。

(このままではまずい)

そう思った私は必死に逃げ惑いながら反撃の機会を伺っていましたが、なかなか隙を見つけることができません。

その間にも仲間たちは次々と倒れていきましたが、それでも諦めるわけにはいかないと諦めずに戦っていました。

「これで終わりだ」

そう叫ぶと同時に、彼女は手に持っていた槍を投げてきました。それを躱そうとしましたが間に合わず、私は肩に傷を負ってしまいました。

それでもまだ諦めるわけにはいかないと思った私は、最後の力を振り絞って彼女に向かっていきました。

そしてついに間合いに入ると、全力で剣を振り抜きました。

しかし、そこで私の意識は途絶えてしまったのです……

(んっ、ここは?)

気がつくとそこはベッドの上だったようです。

どうやら誰かが私をここまで運んでくれたようですね。

周りを見ると何人かの人がいましたが、全員怪我をしているようでした。

中には瀕死の人もいるみたいです。

私と一緒に来たはずのサウトも無事のようでしたが、なぜか私と同じようにベッドに横たわっていました。

それに、ここはどこなのか?

全く知らない場所です。

しかし、一つだけわかることがあります。

それは、私たちが今いるこの場所が敵地であるということです。

私の目の前には、憎き魔王軍が待ち構えていましたから……

(どうしよう)

そんなことを考えているうちに、敵が近づいてきてしまいました!

果たして私たちはどうなるのか?そして無事に帰還することはできるのか?

ドキドキの展開にご期待ください!

(逃げよう)

そう思った私は急いで立ち上がると出口に向かって駆け出しました。

ところが……、ドカッと何かにぶつかってしまいました。

どうやら壁にぶつかったようです。

でも何故こんなところに壁があるのでしょう?

「ふふっ、逃がさないわよ」

その時、後ろから声が聞こえてきました。

振り返るとそこには彼女が立っていました。

どうやら私のことを待ち伏せしていたようです。

彼女はゆっくりと近づいてきますが、私はそれどころではありませんでした。

何故なら、目の前に壁があったからです。

しかも、それはただの壁ではありません。

透明なのです。

彼女は私の前に来るとこう言いました。

「どうかしら?逃げられないでしょう?」

それを聞いて、私は背筋が凍る思いでした。

なぜなら、この状況は非常にまずいと思ったからです。

(どうすればいいんだろう?)

そんなことを考えているうちに彼女の手が私に伸びてきます。

「あら、ずいぶんといい表情ね」

彼女は笑いながらそう言うと、私の顎を持ち上げてきました。

さらに、もう片方の手で胸を揉んできたのです。

私は恥ずかしさと恐怖心から動けなくなってしまいました。

そんな私を見た彼女は嬉しそうに笑うと、耳元で囁きました。

「ふふっ、可愛い子ねぇ」

その言葉を聞き、ますます恥ずかしくなってしまった私ですが、すぐに我に返ると首を横に振りました。

(いけない、また流されてしまうところだった)

そう思った私は気合いを入れ直し、何とか耐えようとしましたが、なかなか上手くいきません。

それどころかどんどんエスカレートしていくばかりです。

(どうして?)

そう思っていましたが答えはすぐにわかりました。

「うふふ、私に何をされるのか気になっているのかしら?」

どうやら彼女は私の心を読んでいるようです。

そこで私は、彼女に対して質問してみることにしました。

それは、なぜ私が魔王軍の幹部の一人である彼女と戦わなければならないのかということです。

それに対して彼女はこう答えました。

「決まっているでしょう? 貴方が欲しいからよ」

それを聞いて私はゾッとしましたが、それと同時に嬉しさも感じていました。

なぜなら、彼女に求められていることがわかったからです。

(そうか、私を必要としてくれているんだ)

そう思うと嬉しくなってしまいました。

しかしそれと同時に疑問も浮かんできました。

何故、私を欲するのか? その理由が知りたいと思ったのです。

それを聞くと、彼女は答えました。

「それは、貴方を愛しているからよ」

その言葉を聞き、私は驚きました。

まさか自分が好かれているとは思わなかったからです。

(えっ、私が?)

そう思うと嬉しさと戸惑いが入り交じった複雑な気持ちになりましたが、それでも悪い気はしませんでした。

むしろ、彼女の気持ちに応えるために頑張りたいと思ったほどです。

しかし、今の状況を考えるとそのようなことを言っている場合ではありません。

何しろ私たちは今、敵のアジトの中にいるのですから、そこで私は提案しました。

今は一旦休戦して作戦を立てようではないかと提案したのです。

すると彼女は少し考えた後、こう答えました。

「そうね、それも悪くないかもしれないわね」

「よし、では早速話し合いを始めよう」

というわけで、私達はまず互いの情報を交換することにしました。

それからしばらく話し合った後、いよいよ作戦を立てることになりました。

そしてその結果、以下のような結論に至りました。

1.相手の拠点に侵入するためには、空を飛べる手段が必要であること。

2.その為には魔法を使う必要があるということ。

3.その際、私達が相手側の幹部を倒す必要があるということ。

4.私はその役目を担うことになったこと。

5.もし倒せなかった場合や失敗した場合に備えて、別働隊が別の方法で攻撃を仕掛けることにもしたそうです。

具体的な内容までは教えてもらえませんでしたが、

「今回の任務は、我々がお前に課した試練の一つだ。我々はお前を仲間として認めているものの、忠誠心についてはまだ確認できていないからな」

俺はそう言われると思わず笑いそうになったが、なんとか堪えた。

確かにその通りだったからだ。

俺は彼らの仲間になるつもりなどなく、ただ利用しようとしているだけに過ぎなかったからだ。

しかしそんなことを考えているうちにも話は進んでおり、とうとう出発の時が来たようだ。

「よし、では行くぞ!」

そう言うと彼らは一斉に飛び立ったので、

「ちょっと待て、もう少し休ませてくれ!」

と叫びながら慌てて後を追った。

(やれやれ、困った奴らだ)

と思いつつも、俺は仲間たちの後に続いたのだった。

(ふぅ、やっと追いついたぞ)

しばらく追いかけているうちに、魔王軍の本拠が見えてきたようだ。

ここから先は敵のテリトリーということになるが、果たして無事に辿り着けるだろうか?

そんなことを考えているうちに敵の門にたどり着いたのだが、そこで意外なことが起こったのだ。

なんと、門番たちがみんな眠ってしまっているではないか!?

しかも死んだわけではなく普通に眠っているように見えるので不思議に思っていると、リーダーのララさんが現れてこう言った。

「どうやら罠にかかったようですね」

それを聞いて納得した俺だったが、それと同時に、早くこの場から逃げ出さなければならないと思った。

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