第2話 彼とのキス
「あっ、ごめん!」
彼は慌てて手を引っ込めようとするが、私はそれを引き止めた。
「ううん、気にしないでいいよ」
そう言って微笑むと、今度はこちらから手を握ることにした。
彼も握り返してくれたので嬉しかった。
そうしてしばらくの間、二人で手を繋いで過ごしたのだった。
その後、休憩を終えた私たちは再び歩き始めることにしたのだが、途中で彼が立ち止まったかと思うとこう言ったの。
「あのさ、ちょっと寄り道してもいいかな?」
私は不思議に思いながらも頷くと、彼についていくことにした。
しばらく進むと、そこには小さな祠があった。
どうやら古い時代のものらしく、かなりボロボロになっているようだ。
しかし、それでもなお美しいと感じるものがあったのは何故だろうか?
そんなことを考えながら眺めていると、突然彼が口を開いたのだ。
「ここさ、俺の故郷にある神社に似てるんだ」
それを聞いて驚いたものの、言われてみれば確かに似ているような気がしたので納得したのだった。
それからしばらくの間、二人で思い出話に花を咲かせていたのだが、ふとあることを思い出した私はこう切り出したのである。
それは、私たちが出会ったきっかけについてのことだった。
なぜあの場所にいたのかを尋ねると、
「実は、森の奥に泉があるって噂を聞いて、探しにきたんだ」
と教えてくれた。
なるほど、そういうことだったのかと思いつつも、私はある疑問を抱いたので聞いてみることにした。
「でもさ、なんで急にそんなことを思ったの?」
そうすると彼はこう答えたのである。
それは数日前のことだった。
村の子供たちが森の中で遊んでいるとき、偶然にもこの場所を見つけたらしいのだが、そのときに妙な気配を感じたというのである。
しかもそれが日に日に強くなっていき、ついには耐えきれなくなった子供たちは逃げ出してしまったのだそうだ。
それ以来ずっと気になっていたのだという話をしてくれたのだ。
それを聞いて納得した私は、彼のために何かしてあげたいと思ったものの、何をすればいいのかわからない。
そこで、ふと思いついたことがあったので試してみることにした。
それは、彼に加護を与えることである。
幸いにも私にはその力があったからだ。
(どうかうまくいきますように)
そう願いながら念じると、彼の身体が光り始めたではないか!
驚きながらも見守っていると、やがて光が収まった後には彼が不思議そうな顔をして立っていたのだった。
(成功してよかったぁ)
ホッと胸を撫で下ろすと同時に嬉しさが込み上げてきた私だったが、それと同時にあることに気づいたのである。
なんと、彼の姿が変わっていたのだ!
どうやら私の加護が効いたらしいのだが、一体どんな効果が現れたのだろうか?
不思議に思っていると、彼は自分の体をあちこち触り始めながら言った。
「なんか、力が湧いてくるような気がするんだけど、これってもしかしてララの加護のおかげだったりするのかな?」
それを聞いてドキッとしたが、平静を装って答えることにした。
「う、うん、そうだよ! きっと私の加護の力だと思う!」
そう言うと彼は嬉しそうな表情を浮かべた後、私にお礼を言ってくれたのだった。
そんなやり取りをしていると、突然彼がハッとした表情になり言ったのだ。
どうやらお腹が空いてきたらしいのである。
そこで私は食事の準備をすることにしたのだが、その際にふとあることを思いついたので提案してみることにした。
それは料理を作ってあげるということだったのだが、それを聞いた瞬間彼の目が輝いたように見えた気がしたのは気のせいだろうか?
「え、いいの!?」
と食い気味に聞き返してきたので、思わず笑ってしまったが、快く引き受けることにしたのだった。
(さて、何を作ろうかな?)
そう考えた結果、私はカレーを作ることに決めたのだった。
材料は揃っていたのですぐに調理に取り掛かることができたのだが、問題は味付けだった。
果たしてどんな味が好みなのかわからなかったからである。
そこで彼に聞いてみることにしたのである。
そうすると彼はこう答えたのだ。
「甘口でお願いします」
それを聞いて安心した私は早速作り始めたのであった。
そして完成した料理を彼の元へ持っていくと、目を輝かせながら喜んでくれたようだったのでホッとした気持ちになった私だったが、
食べてもらったところ絶賛してくれたようで嬉しかったし満足できたと思う。
「ごちそうさまでした!」
食事を終えた後、私は彼にこう提案した。
「ねえ、サウト。この後どうする? まだ探索を続ける?」
と聞くと、彼は少し考えた後で答えた。
「うーん、そうだね……もう少しこの辺りを見て回ってみようかな」
そう答えてくれたので、二人で再び歩き出すことにしたのである。
「ねえ、ララ。ちょっと休憩しない?」
彼がそう提案してきたので、私たちは近くにあった木陰で休むことにした。
そして二人で並んで座っていると、ふいに彼の手が伸びてきて私の手を包み込むように握ってきたのである。
突然のことに驚いた私だったが、それでも嫌な気分ではなかったしむしろ嬉しかったのでされるがままになっていたのだが、
しばらくすると今度は彼の顔が近づいてきてキスをされてしまったのだった。
「んっ、ちゅっ、れろっ」
舌を入れられて絡ませ合う濃厚なディープキスだ。
「ぷはぁ、はぁ、はぁ」
ようやく解放されたときには息が上がってしまっていた。
それでもなお興奮冷めやらぬ状態が続いていたのだが、そこでふと気づいたことがあったので聞いてみることにした。
「もっとキスしたい?」
「うん、したい」
即答されたので思わず笑ってしまったが、断る理由などなかった。
むしろ喜んで受け入れたのである。
そうしてしばらくの間、彼との濃厚なキスを楽しんでいたのだが、やがて満足すると再び歩き出すことになったのである。
だが、その前に一つだけ言っておきたいことがあったので彼に告げたのだった。
それは「大好き」という言葉だ。
それを聞いた彼は嬉しそうな表情を浮かべていたように思う。
そして、私たちは手を繋ぎながら歩き始めたのだった。
「ねぇ、サウト。キスしたいの」
「うん、いいよ」
サウトが優しく微笑んでくれたので、私は嬉しくなって彼に抱きついた。
そしてそのままキスをすると、彼の舌が私の口の中に入ってきた。
「んっ、ちゅっ、れろっ」
(ああん、気持ちいいよぉ)
頭がボーッとしてくる中、ひたすら舌を絡め続ける私たちだったが、やがて限界を迎えたところで口を離すことになったのだった。
それからしばらく余韻に浸っていたのだが、そこでふとあることを思いついたので提案してみることにした。
それはキスマークを付けることだったのだが、果たして上手くいくだろうか?
不安に思いながらも試してみることにした私だったのだが、結果は大成功だった。
嬉しさのあまり飛び跳ねそうになったほどだ。
「どう、これで消えない?」
そう聞くと、彼も嬉しそうに答えてくれた。
「ああ、バッチリだよ」
それを聞いて安心した私は彼にお礼を言うと、もう一度キスをしたのだった。
(これでもう離れられないね)
心の中でそう思うと、自然と笑みがこぼれたのであった。
その後、私たちは森の中を探索していたのだが、途中で洞窟を発見したので入ってみることにしたのである。
中は真っ暗だったが、幸いにも松明を持っていたため明かりを確保することができたのだ。
そして奥へと進んでいくうちに開けた場所に出たところで足を止めた私たちだったのだが、
そこであるものを見つけたことで驚くことになったのである。
それはなんと魔法陣だったのだ!
しかも、その上には宝箱が置かれていたの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます