第2話 中々難しい
私、西島まどか。私は中学時代からモテた。でも特定の人は作らなかった。相手が子供に見えたから。
高校に入って二年生の時、気になる男の子がいた。少しして告白されて付き合う様になった。
最初のうちは外でばかり会っていたけど、半年位経ってから何かと自分の家に誘われる様になった。
私は背が高くて胸が小さい。だから体が目的なんて事は無いと思っていたけど、それでも万一と思って一度も行かなかった。それが理由かどうか分からないけど振られてしまった。
高校の内に大事なものを上げる気はしない。周りの子達はそんな話ばかりするけど私には興味が無かった。
それ以来、高校では特定に人は作らなかった。私は高校卒業後、今の会社に就職した。大卒じゃないから厳しいかなと思ったんだけど、何故か合格して入社出来た。
最初の年は人事で仕事をしていたけど、二年目から第一営業本部第二営業部第一営業課のセクレタリ(事務)をする様に拝命された。
最初は全然分からなかったけど、先輩達の指導もあって段々慣れて、ここの部署に来て二年目になる。
ここの一営の仕事をするようになってから会社の組織というか、営業部と開発部の関りも随分分かる様になった。
会社は、将来有望そうな人を入社時点で選別していて、会社の部門全体をローテンションさせ、ふるいに掛けながら昇進させていくと言うのも聞いた。
その有望な人の内、第二開発部では一技の人間がそれにあたる。あそこは他の部門の様に仕様作成、プログラミング、テスト工程とかオペとかいった事はせずに直接お客様側に立って調整役をしている。関連業者のコントロールもその一つだ。
でも一技の人はそういう訳で、まず社内にはいない。会えるとすれば確率は低いけど忘年会とかクリスマスパーティとかの時だけだ。
だから少しだけの期待を持って今年の忘年会に参加した。でも役職柄、色々なお手伝い役に回され、やっと食事が出来ると思って、料理を取りに行ったら、なんと一技の子と知り合えた。顔は好みじゃないけど、ブ男でもないから、もしかしたらと思って連絡先を交換した。
私の事をジッと見ていたくらいだから、直ぐに連絡が来ると思ったけど、何ともう明日で年末年始の休みに入るというのに連絡は来なかった。忙しいのかなそれとも…やっぱりモテるんだろうか?
俺は、西島さんと連絡先を交換した後、どこかで連絡をしようと思っていたけど、いきなり連絡なんて、女性に飢えているんじゃないかと思われたくなかったから、少しの間だけ時間を置く事にした。
仕事の方も来年三月末のカットオーバーに向けて忙しくなり始めている。テスト工程に入ったからだ。
俺達はテスト作業はしないけど、各業者から上がって来る先週分までのテスト中の課題報告や進捗をチェックして、毎週火曜日にお客様と連携、水曜日に業者と対面かWEBで報告させる準備、技術課題をWEBを利用して別の業者と三社協議するとかに追われて、いつの間にか西島さんの事も頭から消えていた。
そして気付けば、もう年末年始の休みに入ろうとしていた。
「りゅう、今日で今年の仕事も終りだ。飲みに行くか」
「いつもの所ですか。いいですよ」
竹内先輩とは仕事が早く切れた時とか、明日が休みの時などは大体飲みに誘われる。一件目は普通の居酒屋でボリューム重視で簡単に終わらせると二件目はスナックに行く。
先輩が先に開発した店だ。午後八時にスナックに入ると、いつもの女性がカウンタの中で声を掛けて来た。
「いらっしゃい。竹内さん、神崎さん」
「来たよ」
カウンタの女性は武石優香(たけいしゆうか)さん。細めで背中まで髪の毛がある。胸がとても大きい。昼間はOLをして水木金とスナックのバイトをしていると言っていた。理由は、職場が爺さんばかりだから気分変えよと本気か冗談か分からない事を言っているけど。
そしてここで二時間位飲んで解散という流れだ。でも今日は仕事納めという事もあり、店を出るのが午後十一時を回ってしまった。
この時間だと電車が混む。でも表参道で同一ホーム乗換えで四十分だから通勤時間としては近い方だ。
アパートに着いて部屋に入るとスマホを見た。そう言えば西島さん、あれから一回も連絡しなかったな。向こうからも来なかったし。
確か忘年会で同じ席になった人が彼女は二営で人気があると言っていたから、俺なんか忘れられたかな。まあいいや。
この日もシャワーを浴びて寝てしまった。次の日は掃除をして洗濯物は実家で洗って貰う事にして電車に乗った。
昔は渋谷で乗り換えるのが簡単だったけど、今は田園都市線ホームから階段を降りて地下道を歩かされ、更に階段を降りないといけない。前はひたすら階段を昇らされたからどっちがいいか分からないけど。
実家のある駅も昔は地上だったけど今は地下になった。階段を上がって、半年ぶりの実家へ歩く。ここの街は古いけど、少しずつ変わって行っている。立て直しや改築の所為だけど。
「ただいま」
「お帰り、龍之介」
「母さん、これ洗濯物」
「洗面所の洗濯機の前に置いておいて」
実家に帰れば何もしなくて良い。流石に楽だ。社会人になって一年目で一人暮らしを始めた。
実家から通っても良かったが、勤めている内に、帰宅時間が相当遅くなるという事も分かったので、一人暮らしなら色々自由も出来ると思い、始めたが結構大変だった。
だから実家はいい。
西島さん、会いたいな。でも彼女何処に住んでいるんだろう。都内なら良いけど。うちの会社は、埼玉方面からも横浜方面からも便利な場所に有るからな。
そんな事を考えながら正月三が日過ぎて、また仕事に戻った。証券系は四日から仕事始めだ。
でも流石に初日から夜遅くにはならない。午後五時には上がったので、スマホで西島さんにメッセージアプリで連絡してみた。
あっ、スマホが震えている。今日は仕事が午後五時で終わったから帰ろうとしていたところだ。誰と思って画面を見ると、えっ神崎君だ。直ぐにメッセージアプリを開けると
『今度の土曜日、もし時間有ればお会い出来ませんか』
えーっ!これってデートの申し込みだよね。土曜日かあ。用事も無いし良いかな。
『会えますよ』
『午前十一時に渋谷のハチ公前交番でどうですか?』
午前十一時なら大丈夫かな。
『分かりました』
やったぁ、西島さんと今度の土曜日会える。断られるの前提で聞いてみたらなんと会ってくれると!明後日が待ち遠しい。
―――――
書き始めのエネルギーはやはり★★★さんです。ぜひ頂けると投稿意欲が沸きます。
それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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