恋愛連敗中の俺に裏の有りそうな女の子達が寄って来る。

@kana_01

第1話 プロローグ


新作です。

今回は社会人の恋愛裏事情をテーマにしました。

直前に投稿した短編の登場人物と同名ですが、内容は大きく異なります。


最後までお付き合い頂ければ幸いです。


―――――


 俺、神崎龍之介(かんざきりゅうのすけ)。皆からはりゅう(龍)って呼ばれている。大学出て社会人二年目。


 そろそろ彼女も欲しいけど、中々見つけられない。原因の一つが俺が恋愛に臆病になっている事だ。


 最初の彼女は中学三年の時に出来た。黒く艶やかな髪の毛が背中まで有り、大きな切れ長なの目、スッとした鼻筋に可愛い唇、それを際立たせる輪郭で学校でもとても目立っていた。


 高校一年の秋までとても仲が良くてキスもした。もうそろそろその後も考えた時、突然振られた。理由は結婚する相手が決まったからだという。


 何だそれって思ったけど、父親は彼女が中学の時、事故で亡くなり母子家庭だった。娘は彼女一人。そういう家の事情だったらしい。


 俺が信じられないと言うと結婚相手を俺の前に連れて来た。結婚は高校卒業してかららしいが、もう一緒に住むらしい。仕方なしに諦めた。



 二人目は、高校二年の秋に同じクラスの女の子、髪の毛が肩まで有り、クリっとした大きな目、ちょっと丸顔で胸が大きく、彼女とも仲が良かったが、大学が別々だった事もあり、最初は会っていたが、段々会えなくなり、振られた感じで自然消滅したという感じだ。あっちもしていない。

だから、俺は恋愛には不向き、いや不運な人間だと勝手に思っていた。



 そしてもう一つの理由は俺の仕事の形態も大きい。

 会社の営業が取って来たシステム開発の仕事を客先で一緒に開発をしている。もちろん仕様設計やプログラミング工程以下は社内作業だけど、俺は先輩と一緒に客先と仕様確認やプロジェクトの進捗状況を把握しながら、客側に立って他の業者さんとの調整を行うのが仕事だ。


 朝から夜遅くまで仕事をする時もある。過労死ラインなんて序の口。(こんな事ご時世柄言えないけどね)

 とういう訳で、全然女性と会うチャンスなんて無かった。



「りゅう、昼行くぞ」

「はい」


 仕事場の竹内泰敏(たけうちやすとし)先輩が声を掛けて来た。ビルを出て、裏にある定食通りに行く。


 この辺は、商業地なのだが、ビルの中のレストランはとても俺達の財布には優しくない。だから大体外に食べに行く。いつもの蕎麦屋に入って注文をすると


「りゅう、今年の忘年会参加するか?」

「その日の打合せは午後五時で終わる予定だから出るつもりです」

「そうか。俺は別件あるんで出ないわ」

「それって…」

「まあな」

 どうも先輩はデートの約束が有るらしい。




 忘年会の日、俺は時間がまだ有るからと客先に留まる先輩を置いて会場に向かった。社内ではとても出来ない。


 俺の所属する第一開発本部第二開発部第一技術課だけでも四十人はいる。今回は第二開発部主催だから外の会場を用意したようだ。


 ちなみに社内親睦を考え、第一営業本部第二営業部も合同で行うそうだ。実際は半分も集まらないだろうけどそれでも二百人以上はくるだろうからいったいどうなるんだろう?



 会場に着くと社員証を首に掛けて中に入った。同じ課の見知った奴もいるけどほとんどはあまり見かけない。俺の様に外でばかり仕事をする人間には仕方ない事だ。


 フロアの壁側に飲み物や食べ物を提供している場所が有るので、そこに行ってビールを受け取った後、適当にテーブルに座った。


 テーブルにいる先に座っていた人達と適当に挨拶しながら話をしているとフロアの真ん中にある壇上で第一開発本部長と第一営業本部長、第二開発部長それに第二営業部長が挨拶をしている。


 まあ、この四人の顔は流石に知っているので話を聞きながら、壇上の傍のテーブルに座っている女の人を見て一瞬目を見張った。

 俺の好みにドストレートにはまった顔の女性がいる。座っているからスタイルは分からないけど、やはり壇上の話を聞いている。


 俺は、部長達の顔を見る振りをしてその娘(こ)の顔ばかり見ていた。部長達の話が終わると恒例のビンゴゲームだ。入り口で貰ったビンゴカードをポケットから取り出すと参加した。

 こういうのってリーチまでは行くんだけどもう一つが出ないんだよなと思いながら、次々と当たった人が壇上で景品を貰っている。


 えっ、景品を渡しているのはあの女性だ。見入っているとなんと俺のカード最後の一個が当たった。

 俺は直ぐに壇上に行くとその子から景品を貰いながら社員証に書かれている名前を見た。西島まどか(にしじままどか)と書いてある。そうか西島さんっていうんだ。


 でも残念ながら直ぐに自分の席に戻らないと進行に支障が出る。仕方なしに自分のテーブルに戻り、その女性を見ていると隣に座る男の人が声を掛けて来た。

「西島さん見ているんですか?」

「えっ?!」

「やっぱり。あの子、二営じゃ人気あるんですよ。随分声も掛けられているらしいですよ。去年までは人事に居たんですけど、今年から二営に来たんです」


 聞きもしないのに色々説明してくれた。これも親睦の意味かな?

「そうなんですか」

「今日の帰りなんかに声掛けたらどうですか?」

「…………」

 

 いきなりこの人何言っているのか良く分からない。そうこうしているうちにビンゴゲームも終わり、西島さんは席に戻るのかと思ったら料理を提供している場所に行った。俺もつい立ち上がって、料理を取る振りをして彼女に近付くと

「…………」


 何も言えなかった。ただ可愛くて顔だけ見てしまった。

「何か取らないんですか?プレートはあそこにありますよ」

「あっ、すみません」


 手ぶらだったのに気付いて直ぐにプレートを持って戻ると

「あの、さっき景品渡していた方ですよね」

「はい、二営の西島って言います。君は?」

「俺、一技の神崎って言います」


 一技の子かぁ。あそこはそれなりに優秀な人がいるところ。先々考えると連絡先交換しといた方がいいかな。


「そうなんだ。だから社内でもあまり見かけなかったんだ」

「はい、いつもは客先なんで」

「じゃあ、今日は丁度いいね」


「あの、座りませんか?」

「いいですよ」



 二人で適当に空いているテーブルに座ると

「今のお客さんは何処なの?」

「証券系です。客先名はちょっと」

「あはは、そうだったね。場所が場所だしね。ねえ、連絡先交換しない?」

「えっ!い、いいんですか?」

「なんで?同じ会社の人間でしょ。それに今日は営業部と開発部の親睦も兼ねているし」

「そ、そうですね」

 なんてことだ。俺からは言えなかったのに。



 あれ、簡単に交換出来た。これは彼女いないな。でもなぁ。ちょっと好みじゃないし。でもまあいいか。


「じゃあ、私はこれで。元の席に戻るね」

「あっ、はい」


 やった。これで後日会えれば。



 元の席に戻った私は同僚から声を掛けられた。

「西島さん、珍しいね。仕事以外で男の人と話すなんて」

「えっ、見てたの?」

「料理を取りに行くって言って中々帰ってこないからちょっと見たら、話していたから。あの人知合い?」

「う、うん、一技の人」

「へえ、そういう事かぁ」

「まあね」


 連絡くれるかな?


―――――


書き始めのエネルギーはやはり★★★さんです。ぜひ頂けると投稿意欲が沸きます。

それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。


宜しくお願いします。


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