第9話
【低軌道:ギニア湾ヌル島上空500㎞付近】
スタート地点に向かって飛ぶ降下艇の格納庫内。黒いレンジャーが佇んでいる。
低軌道軍が所有する二隻の降下艇のハッチは開け放たれており、十八機のLeフレームが出走を今か今かと待ち構えている。
アキラ・ユガワラは降下艇の一室で、先生とともにシフ・シャオのレースに備えていた。
「あと三分でスタート地点だ。最新の天気図を送ってやれ」
「はい先生」
重力場、太陽風、デブリ雲、電離層の情報をまとめてシフに投げる。
「インド洋上空から太平洋にかけて、広範囲に気流が荒れます。通信もその間はやや不安定になります。競技時間帯は赤道地帯でのロンチなし。TPU、ア連の海軍部隊がインド太平洋に進出しているほか、統一アフリカも事故機の回収支援を確約しています。大西洋にはユーロフリートと米海軍第四、第六艦隊が展開。低軌道軍も全域で通信、救護支援を行います」
〈ありがと。他の機体はなにかある?〉
「整備不調は一機も出ていません。出力チェックも全機クリア。みんな万全ですよ」
〈……そう。良かった。倒しがいがあるね〉
降下艇は、低軌道軍が軌道降下するために使われる輸送船だ。大気圏突入能力を持ち、高高度、ないし地上でLeフレームを展開する。
反体制運動を弾圧するためにも使われ憎悪を向けられる対象であるが、今日のために白く塗装され、広告で飾り立てられた降下艇は上手く競技の背景に溶け込んでいた。
〈今回出場してる新標準機はガイセイとアマツカゼだけ?各社とも、来年に持っていくつもりね〉
「実は先週、KiTaから新型のオファーがあったんだ」
〈それは......時期が悪いわね〉
「さすがに先方も一週間で調整を終わらせる自信はないと及び腰だったよ。代わりに装甲板をいくつか融通してもらった。改良型のロケットモーターも」
先生がどこからか搬入してきた装甲は、そのせいだったのかと合点するアキラ。
「先輩。今、理事の話が終わりました。出走五分前です」
古今東西、来賓祝辞の話を聞いている学生などいない。
例にもれず、ヴァンセット・ツィナーの視線はこれから地球を一周してくる機体たちに向けられていた。
「今回は先輩のところにいかなくていいのかい?」
「別に俺は彼女の取り巻きじゃないしなぁ」
「あんなに協力的だったのにか?」
ミシェル・ラングレンとデイル・ハラルドソンの追及を軽く躱し、パウラ・サラサール・デ・エストレーリャの機体を見下ろす。
セレウキアは武装を減らし、その分増槽と装甲板を搭載していた。
各コロニーで標準採用されたレーザーライフル。長射程仕様だが、狙撃仕様よりは取り回しがいい後衛用ライフル。交戦距離が長く、かつ狙撃する余裕もないこのレースで一番選ばれるライフルだ。
「アマツカゼは割り切って近距離仕様にしているようだけどね」
「シゲオ・ショウシは近接特化のランナーだ。長距離射撃の成績はパッとしない」
デイルが公開された成績表を片手に見る先には、エプソム・トーナメントの時から少し形状が変わった機体。腕や脚にいくつかのパーツが追加されたようだ―――格闘戦用ブレード。
「真っ先に周囲の機体を切り刻むつもりか。しかし」
「そうだね。しかしクリサンセマム・チャンピオンシップは常に戦場が移動する。近接戦を繰り返せばその分速度が落ちる。アマツカゼの加速度は?」
「ユキカゼから一割増。余計なことをすれば間違いなくトップ集団に置いていかれる」
ミシェルは考え込む。この機体の構成は何のためか。
「ハオ・イーシンのガイセイは分かりやすい。クリサンセマム・チャンピオンシップのお手本ともいえる」
デイルの視線の先には、後衛用ライフルを二丁と追加の装甲を取り付けたガイセイ。副腕は取り外していた。ライフルが二丁あれば牽制と本命で撃ち分けが可能になる上、直線機動になりがちなこのレースでは二丁を管制する余裕がある。さらに新型のガイセイは新型の射撃支援コンピューターが搭載されているので他機より有利だ。
「そろそろ始まるぞ」
赤のランプが灯り、皆構える。
各機に追加されたロケットからアンビリカルケーブルが分離される。
ランナーたちは点火スイッチに指を添える。
緑のランプが灯り、皆走りだす。
歓声が一般無線に流れ、出走を祝う花火が弾ける。
最初からトップスピードだ。
降下艇への被弾を避けるため、出走から一分間は射撃が制限される。その間にリードを稼ぐもの、集団から距離を取るもの。
十八機が一気に距離を取り、加速していく。
これまで訓練用のCraft2=推力20の出力制限を受けていた機体が、無制限の出力を発揮するCraft6を許された。出走者は競技前に一度だけ低軌道軍監督下で最大出力の試験と体験をする。耐G装置が全身を締め上げ血流を維持するが、眼球が/肺が/脳が押しつぶされる加速に学生たちが嘔吐する余裕もない。
スタートダッシュ用のロケットモーターはまもなく燃焼を終了する。
だがまだ、複数のロケットモーターを各機残している。これらをどのタイミングで点火するかが駆け引きになる。
そして一分が経った瞬間、熱量が飛び交った。
シフが地上600㎞から撃ちおろしたレーザーが先行する機体の背部を撃ち抜く。
〈まだ、もう一発!〉
だが横から飛んできたらしい熱が二発目より先にその機体を落とした。
〈悪いな〉
ハオのガイセイだ。高度550㎞、やや先行している。
咄嗟に回避。飛来する熱量は肉眼では見えないが、センサーは捉えた。
先ほどまでいた位置を貫いたレーザー、下からの撃ち上げ。
クリサンセマム・チャンピオンシップは最強のランナーが勝つとされる競技。出場者も、予備照射で照準を定めるようなまどろっこしいことはせずにいきなり直撃させる技量があるものしかいない。
まっすぐ飛べば七面鳥撃ちにされ、乱数回避を繰り返せば速度と体力を失う。
集団の平均推力が60に達する。低重力仕様のCraft5の値だ。だがまだ加速する。地球の重力に逆らわず加速を得て、緩やかに上昇―――降下を続ければ高度300㎞を下回り、重力に囚われる/降下しなければ遠回りとなり、集団に置いていかれる。
既に耐G機構は検知された加速に合わせて全身を絞っている。
熱圏を飛び交う電磁波がセンサー類にノイズを走らせ、遠距離射撃を困難にさせる。
また一機、迫撃したガイセイに落とされた。
〈軌道を確定させる。落下機は安定軌道に入れ〉
安全なフィールド内での戦闘であったエプソム・トーナメントと違い、クリサンセマム・チャンピオンシップでは被弾判定が厳しめに設定されている。エンジンに被弾し爆発、姿勢制御困難にならないようにという配慮だ。
被弾機は減速操作を行いつつレース集団から離脱していく。
ガイセイはロケットモーターを遠慮なく吹かし、高度を600にとった。
低軌道軍のランドグリーズが被弾機をキャッチし、同じく上昇していく。このまま降下艇に収容される見込みだ。
「ガイセイは戦闘用の小型ロケットモーターを多数載せているようだな」
「センサーが乱れているだろうに、よく近接戦をしかけられる」
ミシェルとデイルが感心する。ハオ・イーシンは伊達に二年次主席ではない。
「早い時点で周囲の競合者を排除するか。確かに、後半になると分散しがちになるから間違った選択ではないんだが」
「だが、消耗が激しすぎる」
「そういうことだ」
「しかし精度も高い」
「新型の射撃支援コンピューターのお陰だろう」
ギニア湾上空からスタートして、現在インド洋上空。
十八機のうち五機が落ちた。そのうち二機がハオで一機がシゲオによるもの。もう二機は他の学生が落としている。
「アマツカゼが積んだロケットモーターは大型が六本。二本をスタートに、二本を差し込みに使うとして、道中は二本しか使えない。一方ガイセイは大型四本と小型が六本。機体サイズやマウント部の差もあるが、選択を間違えたと言って良いだろう。普通ならな」
辛辣な意見はヴァンセットのもの。
大型ロケットモーターは一気に距離を開くことができるが、代償として背中を晒すことになる。パウラのような後衛用ライフル持ちが数機いるこの状況で背後を見せるのはあまりに危険すぎる。
「アマツカゼの戦法は、可能な限り交戦を避けること。交戦が始まったタイミングで加速して離脱。一方ガイセイは、序盤で多くの機体を排除する戦法。他の機体も交戦を避けつつ完走を最低限の目標としている」
一機だけおかしいのだ。
熱圏での戦闘は低軌道軍ですら推奨しない、きわめて危険な行為だ。
クリサンセマム・チャンピオンシップ自体、何度か競技内容見直しの提案が起こっているほどに。
重力に抗う加速は全身を締め上げ、ランナーたちの体力と精神力は極限まですり減らされる。
熱圏を飛び交う電磁波がセンサー類を妨害し、精密な動作を困難とする。
小型ロケットモーターを搭載した機体はいくつかあるが、六本は多い。
地上から撃ち出されるロケットの補助ブースターの転用で、全長が十数メートルの大型ロケットモーターと比較して、半分程度のサイズ。もちろん燃焼時間は短いが、戦闘においては十分に使える。
「そう、使えるのさ。小型ロケットモーターは」
周囲全てが銃口を向けてくるこのレースで速度を維持しながら回避軌道は難しい。これが積極的な攻撃回数を減らしていた。上昇すればその分速度は落ちる。左右に回避しても速度は落ちる。後方に下がるのは論外。
「だが小型ロケットモーターはそれを解決した。果敢に迫撃し、跳躍上昇して射線を躱す」
しかし、これまでの競技で主流になったことはない。
まず危険だからだ。
「背中に八本も爆発物を背負って撃ち合いか」
推進剤の総量で言えば、大型だろうが小型だろうが吹き飛べばLeフレーム一機を消し飛ばすだけの威力を持っている。
数が多いというのも気分的にはよろしくない。さらに燃焼装置が多ければそれだけ事故リスクも増える。
「ただでさえ困難なレース。誰だって戦闘回数を増やして事故リスクを負いたくない」
「さらに出走者はほとんどが相応の地位にいる者の縁故。事故死するのもさせるのも望ましくない。たとえ競技であっても、だよ」
ミシェルの手元にある出走者リストには錚々たる顔ぶれ、の子弟が並んでいる。
誰しも家や企業の代表として参加する以上手抜きはないし、勝利への渇望に偽りはない。だが完走して負けるのと、撃墜されて負けるのでは評価に雲泥の差がある。彼らは被撃墜された際の株価下落のリスクも考慮して飛んでいる。
「これまでの伝統ともいえる戦闘回避を無視して挑むか、ハオ・イーシン」
周囲を見る余裕はない。感度の低下したレーダーに表示される相互の位置のみを判断に、シフが機体を強引に降下させる。
一拍遅れて後方を熱量が通過。もはや何度目か分からない回避。
集団は互いの射撃を警戒し距離を取った。これでガイセイの迫撃は封じられたが、散発的な牽制射撃で徐々に集団の速度は落ち始めている。
現在位置はインド南方。まだ飛び出す時期ではないが、単騎で先行するアマツカゼの姿に焦りが抑えられなくなった一機が撃墜される。
まだ先は長くとも、疲労と緊張から徐々に動きに乱れが見えてくる。
意識が逸れたと見えた機体を狙撃。レーザーはやや地球の重力に引かれた軌道を描き、右前方上方のランドグリーズのスラスターに直撃。推力バランスを崩したその機体は大きく姿勢を崩し、上空へ離脱していく。
残り十一機。例年よりも速いペースで脱落していく。
「まもなく、昼に入ります」
〈オッケー〉
地平線が明るく輝き、太陽が姿を現す。
およそ東経90度。
ここから先は昼の時間帯。
眼下に見えてきたのはスマトラ島だ。集団は大きく広がり、すでに南北2000㎞ほどに広がっている。シフも北半球寄りの集団の中にいた。
遠心力により地球半径は赤道上空が一番距離が長い。
多少のブレはルール上認められるため、二つの集団は太平洋上を分かれて進み、西経90度=ガラパゴス諸島の上空からヌル島上空にかけて合流していく。
〈こっちには七機か......ちょっと多くない?〉
「各機がガイセイを避けた結果です。赤道寄りならまだ空いてますよ」
〈ロスが大きいね。このままハワイの下を掠めるルートで行くよ〉
「激戦区だぞ、シフ」
〈あは、落とせばいいのよ〉
「また落ちたか」
デイルの顔が曇る。今回出場したランドグリーズが全滅したからだ。
「気を落とすな。一昨年は勝てたが、三年連続で敗退することだってある」
来年まで勘定にいれたヴァンセットに肘をいれつつ二つに分かれた集団を見る。
「南グループはハオ、パウラ。あと一機」
先ほど落ちたランドグリーズも南グループだったが、パウラに背中から撃たれた。
「北はシフ、シゲオ、他五機。先行するのはアマツカゼ。レンジャーはほぼ最後尾か」
ミシェルが集団の位置を確認する。シゲオはすでにパラオに至っているが、シフはミンダナオ島に至っていない。前後に1000㎞の差だ。
「レンジャーは高速が弱いからな。レンジャーがレースに勝利した記録は過去に一度だけ。ここから逆転するとすれば、残り四本のロケットモーターを使うタイミング次第だ」
太平洋上空は成層圏を飛ぶ航路が少なく、東経180度付近で各機はカーマンラインすれすれまで降下する。
「重力に引かれてラインを踏めばコースアウト。しかし可能な限りインコースを取りたい」
ロケットモーターを点火しながらの降下となる。細かい挙動が不可能となるため、操作を誤れば一瞬で中間圏に落ちる。
特に西経155度、北緯20度=ハワイ周辺は航路が集中するため、この付近を通るコースの場合低軌道軍の監視対象となる。もっとも、過去のレースで航空機とのニアミスを起こした例はなく、その程度の技量のランナーには出場資格がそもそも与えられることはないと安心されている。またハワイ側でも空を見上げ地上から手を振るのが恒例となっていた。
「ま、見えないんだけどね」
真昼の日差しの向こうを高速で通り過ぎる機影だ。
「……点火したな」
戦闘のアマツカゼが二本のロケットモーターに点火した。追いすがるレーザーはすべて排熱に歪み、後続の機体たちも負けじと点火する―――<いいお尻じゃない>
「いいタイミングだ。加速後の軌道に意識が向いた機体は後ろから差されるのが定石。それを忘れた二機が脱落だ」
「先生、アマツカゼが近接しか積んでいないのは」
「他の機体に数減らしをさせるつもりだったんだろう。近接装備は軽量だ。選択は正解だった」
通信から聞こえるシフのうめき声。固体燃料の燃焼と降下による加速が合わさり、彼女の身体は耐G性能を超える負荷を受けている。
レンジャーの高度は200㎞、まだ断熱圧縮で発生したプラズマは通信を完全に阻害するほどではないが、ランナーに応答する余裕はない。
それでも眉を立て、歯を食いしばり、視線を逸らしはしない。
「高度140......130......」
時速20000㎞のチキンレース。低く飛ぶ、速く飛ぶ。
「120……まだいけますよ、先輩」
〈言って......くれるなぁ......くっ〉
「110、カーマンラインです先輩。高度維持、針路そのまま」
〈了......っ、解〉
僅かでも姿勢を崩せば一瞬で吹き飛ばされる。さらに熱圏の密度が薄い大気とはいえ、機体のシルエットに圧縮された大気は熱を持った。機体の前後で大きな温度差が生じ、いくつかのアラートが鳴りだす。
カメラはノイズだらけで役に立たない。周囲の衛星から得られるデータも、アンテナにプラズマがまとわりついたせいで破損したものばかり。ざらついた音で聞こえる通信だけが頼りだ。
「高度104......やや上げて」
「アマツカゼは高度110で安定。他の機体は120、140、150に位置した」
「先輩、高度102!上昇!」
〈……根性っ!〉
脚のブースターを全力で吹かす。降下気味のベクトルを無理矢理持ち上げ、降下を止める。
「上昇角は誤差範囲内。重力に引かれて弾道が落ちますから、七十五秒後に再度ブースト」
〈りょ......かい〉
東経180度を通過、インコースを回ってハワイ上空を通過。地上で手を振る人影を確認する余裕はない。シフは激しい振動に全身の骨がばらばらにされないよう耐え続けている。
「ブースト十秒前......五秒前、四、三......今」
再度の姿勢制御を行い高度を維持。
この間にもシフは痺れる腕で機体のシステムチェックを繰り返している。
推進剤+酸化剤の温度、エネルギーラインの破損、油圧温度等、高音と振動に晒されて異常をきたした恐れのある部位は多い。
燃料に引火して爆発というのは、このレースの死亡理由として一番多いものだ。
もちろん、華舞台のこのレースでそんなことは起こらないよう整備員たちは全力を注いできた。とはいえ、予期しない事故も起こる。
「一機が脱落します。デブリが推進系に損傷を与えた模様」
この段階になれば戦闘もほぼ発生しなくなる。機体同士の距離が大きく広がるため、射程が足りなくなるし、なにより猛烈な荷重を受けて疲労した身体で積極的な戦闘を仕掛ける元気のある者はいない。
シフもノイズの向こうで大きく息をついている。
「燃焼終了まで十秒......八、七、六、五、四......ロケットモーター、ジェットソン」
やっと振動が収まる。最もインコースを選んだ彼女は他の機体に先行する位置につけることができた。投棄されたロケットモーターは、それ自身に取り付けられた小型モーターによって重力に逆らい上昇、回収を待つ。
「近接する機体から400㎞。各機狙撃の挙動は見られません」
〈りょーかい〉
「現在位置は東太平洋メキシコ沖2000㎞、上空250㎞。終盤戦だ。気を引き締めていけ」
〈これ以上締めたらハムになっちゃうよ〉
勢いがまだ残っているうちに徐々に高度を上げる。大西洋を渡る最後の一直線を降下しながらゴールへ突撃するためだ。
「南グループは脱落なし。こっちのルートだと基準になる島がまるでないから困るね」
「北ルートのほうが人目に触れる分広告効果が高い。上層世界は北半球にあるからな」
「コースが赤道なのも、墜落したところで影響が少ないから......というのは流石に悪意的な見方だろうね。コロニー建設者たちの非合法野良レース時代から、このルートは定番だったわけだし」
ミシェルが端末を指でなぞり線を引く。メキシコから南にかけて散らばるLeフレームたちの高度は平均550㎞。
南北に1500㎞広がってヌル島へと降下していく軌道にいる。アマゾン上空で最後のロケットモーターに点火するのだ。
「先行するアマツカゼが有利だろう。次にセレウキア、ガイセイがいい位置にいる」
デイルが点を突いて拡大すれば、パウラのセレウキアと、その後方に位置するガイセイが表示される。もう一機は大きく遅れていた。
「タイムは?」
「スタートから一時間四十二分経過。去年のタイムは二時間十五分七。レコードは一時間五十八分十五」
「この分じゃレコードは出なさそうだな」
序盤の戦闘が多発したせいで速度が伸びなかったせいだ。
「残り七機。去年完走したのは八機だったか」
「さて、あと何機残るかな」
「ロケットモーター点火まであと十五秒」
アマゾン上空。各機が南北1000㎞の範囲に収まっている。
最後の加速に備え、指を点火スイッチの上に。
「あと十秒」
ロケットモーターを燃焼しきった最高速のままゴールを突き抜けるよう、点火タイミングはサポートが計算する。KiTaの改良型ロケットモーターは他社のロケットモーターよりも大型化し、燃焼時間を増している。これが切り札だ。
「五秒前」
標準的なロケットモーターよりも数分早い位置で点火することで、周りの機体の点火タイミングを狂わせることができる。
「三」
〈チッ!〉
アキラのカウントダウンを無視した点火にレンジャーが跳ねる。
咄嗟に周囲を確認すれば、落ちる機体たち。
「ガイセイか!」
二丁の後衛用ライフルが北側を飛ぶ機影に向けられている。
「この速度で、このノイズで当ててくるか......!」
「ガイセイが搭載する射撃支援コンピューターの精度が高い......この環境で……?」
「いや、熱圏でこの精度はあり得ない」
「キミもそう思うか」
デイルとミシェルは何かに気づいたらしい。
ヴァンセットも既に答えは知っていた。
「だが今見るべきは、こちらだろう」
シフのレンジャーは狙撃を間一髪で回避した。燃焼は異常なく開始され、三度彼女の身体を締め付ける。
北グループにいた二機が狙撃に遭って点火タイミングを失い、明後日のほうへ飛んでいく。カーマンラインを割らないよう咄嗟に上へ向けたのは彼らの実力によるものだろう。
点火したロケットモーターをジェットソンすれば完全に制御を失う。爆発のリスクを負ってでも二機はロケットモーターを抱えてコースを離脱していった。低軌道軍のサポートチームが針路上の衛星や船舶の有無を急ぎ確認し警報を鳴らし、回収班が先回りする位置を目指す。
さらに南グループにいたパウラともう一機も点火直後の緩い加速を狙われた。
「二機落ちた。残っているのはレンジャーとアマツカゼか」
アマツカゼには遠距離兵装がなく、レンジャーは最終加速に入ったため回避行動をとれない。
「ガイセイも加速に入った......速いぞ」
燃焼時間を伸ばしたKiTaとは逆に、大瀋のロケットモーターは推力を向上させる方向で改良を加えていたようだ。それが火を噴く。こちらもまた最後の切り札として用意していたものだ。
「だがこの加速では外部からの観測データを得られないし射撃も不可能だ」
「観測子機の運用はルールにあったか?」
「ああ。だがあくまで誘導ミサイルに関する規定だ。観測ドローンの運用はルール的に規制されていない」
デイルがすかさず否定する。
「観測ドローンをこのレースに持ってこようと考えるほど好戦的なレースじゃなかったからな」
空のガンラックに搭載していたのだろう。
そして序盤の混戦のさなかに射出していた。
ドローンの推力では地球一周の速度に追いつけない。
逆走させて大西洋上に配置していたのだ。
その狙われた大西洋上空を三機が走る。
「先行するアマツカゼがまもなくガイセイの射程に入るぞ」
「レンジャーは……点火タイミングがずれたせいで軌道が若干逸れた。徐々にゴール軌道から逸れている」
シフはこれでゴール争いから脱落。
残るはトーナメントと同じく、シゲオとハオ。
「ガイセイが射撃姿勢だと!」
「この速度でか......かなり高度な機体バランス制御だ」
ライフルを構えれば姿勢が変わる。重心の変化、空気抵抗、揚力の発生。通常、ロケットモーター使用時の姿勢は設計に定められており、それが故にロケットモーターを使用しながらの戦闘はこれまで行われなかった。
「トーナメントの覇者を追撃するこの構図は、パフォーマンスとして最適だ。ガイセイの性能を知らしめるのにこの上ない宣伝となる」
「脚部や肩の形状が加速姿勢と射撃姿勢で若干変化した。あれが空力制御をしているんだな」
レーザーが放たれる。先行するアマツカゼは僅かなサイドキックでこれを回避。
「だが残り五分、回避し続けるにも限界があるぞ」
アマツカゼには近接装備しかない。
ガイセイはアマツカゼの背後を取り、徐々に距離を詰めている。しかし近接の間合いにはまだ遠い。
「......っ!正気か!」
「正気でなければこんな装備を持ってこないだろうな!」
「そうかそういうことか!」
三人が叫ぶ。
アマツカゼはまだ燃焼を続けるロケットモーターをジェットソン。
二機のモーターは左右に分かれて高度をあげつつ飛んでいく。
さらにドラグシュートを展開して一気に速度を失うアマツカゼ。ガイセイが視界に広がった白い幕を認識した次の瞬間にはアマツカゼを一気に追い越してしまう―――そして警告灯。
手足に追加したブレードに、両手のレーザー刀。真後ろにつけていたが故の一瞬の交錯に全てを賭けた斬撃は狙い過たずガイセイを刻む。
同期のライバルなら、確実に最後の瞬間で仕留めに来るという信頼と、宣伝のためにすべての機体を落としてくれるだろうという信頼が、この奇策を成立させた。投棄されたロケットモーターは事前のプログラム通り周回軌道に入り、低軌道軍の回収を大人しく待つだろう。
「たとえ速度を失おうと、競う相手がいなければ悠々とゴールできるわけだ」
〈とでも、思ってるのかしら〉
レーザーがアマツカゼを貫く。
「右脚部にヒット。損傷判定」
〈あはっ、もう一発!〉
〈死にぞこないが!〉
「アマツカゼ、撃墜!」
ヌル島へのコースを逸れたレンジャーだが、自身のロケットモーターを投棄し、さらにアマツカゼが減速した結果射程に捕えることができた。強引な射撃姿勢が空力ブレーキとなり、頑丈なレンジャーの可動部を軋ませる。機体が耐えることを祈りながら手計算で導いたアマツカゼの位置へレーザーを放つ。
命中。
半端に乗った速度でゴールを目指す。
すでに障害は一機もいない。
しかし、機体が保たない
「高度低下!」
「シフ、応答しろ!」
〈......ちょっと、キツいかもね〉
管制卓の表示は赤に染まっている。全身の関節が負荷限界を超えていた。
「ここまでか......」
〈シフ・シャオ、リタイアを宣言します。低軌道軍へ回収を要請〉
〈了解。よく戦った〉
ゴールまであと五十キロ。しかし上昇するだけの推力がもうない。右のブースターが焼けついて煙を吐く。一瞬でバランスを崩す。
〈チッ!〉
腕を振り回し、無理矢理バランスを維持。しかしこれでさらに速度を落としてしまった。
「高度140㎞。加速を!」
〈......あー、ちょっと無理かも......右足のブースターが壊れたみたい〉
「高度120!」
〈うーん、大気圏突入モード!〉
ゴール目前で撃墜されたシゲオ・ショウシの絶叫が聞こえる通信をミュートにし、広域レーダーを確認するヴァンセット。周囲から低軌道軍の機体が急行している。だが高度が落ちるほうが早い。
「全機脱落なんて前代未聞だからな。低軌道軍も競技サポート組だけじゃなくスクランブル組まで駆り出している」
低軌道にこれほど多くのLeフレームが飛び交うのは人類の宇宙開発が始まって以来、初めてかもしれない。
とはいえ、どの機体も重力に囚われた機体を救うには速度が足りない。
「レンジャーが救難モードに移行した。予想落着地点はアフリカ中部、コンゴとアンゴラの国境地帯……」
「……なんてことだ」
「低軌道軍の降下艇がアプローチに入った」
レンジャーとの通信は途絶えている。
アキラは焦れながら回復を待つ。
未明の大地に向かって、カーマンラインを割り込んだ機体が燃えながら落ちている。
「地上の様子は?」
「ギニア湾に展開していたユーロフリートが急行しているみたいです」
大西洋に事前に展開していたのは米第四、第六艦隊とユーロフリート。合同演習の一環で捜索救難のために赤道直下に広がっていた。そしてギニア湾はユーロフリートの割り当てであった。
アカデミー、低軌道軍の救難担当と連絡を取り合い、救助の体制を整える。
アキラたちの仕事は、機体のチェックと墜落したランナーとの連絡だ。
「レンジャー、高度50000m。通信回復しました」
「シフ、聞こえるか」
〈......なんとか、無事です......あはは〉
通信アンテナが破損した機体から、やっと連絡が入る。
通信はユーロフリートのアンテナを経由することで確保された。
〈機体の反応がだいぶ悪いけど......なんとかブレーキかけてみるよ〉
両手を広げ、空気抵抗が大きくなる姿勢を取る。軋んだ手足が激しく振動し、十分以上に疲労した部品が限界に近づく。
「ユーロフリートの空母テレメーア、フォッシュから艦載機が飛び立ちました。そちらの位置は追跡できています。着地後すぐに捜索機がアプローチしますので、ビーコン、あるいはストロボで位置を知らせてください。救難機が直ちに向かいます」
〈りょーかい......ところで、墜落地点はジャングル?サバンナ?〉
「国境付近のサバンナ地帯です。付近に街はありません」
〈そっか。喉が渇いてもコーラ買いに行けないね......UTCプラス一時間......午前三時にやってる店もないか〉
「大丈夫です。救難機にはコーヒーくらいあるでしょうから」
強がるシフの目には恐怖が隠し切れていない。
レンジャーは頑丈だが、レース後のボロボロになった機体で墜落した例はかつてない。
「大丈夫ですよ。トーナメントであれだけ壊して生きてたんです。今度も生き延びますよ」
アキラの背後では先生が捜索機に更新された着地予想地点を告げている。
〈そうだね。社長が見に来て笑ってたもんね〉
曰く、これほど弊社の製品を使い込んだ例はない、と。
「高度30000m。逆噴射の用意を」
〈りょーかい。ドラグシュートも燃えてないみたいでよかったよ〉
真っ暗な大地がどんどん大きくなる。
文明の光がないサバンナは、深宇宙以上の虚無として彼女を吸い込もうとする。
〈地上からもあたしの姿、見えてるかな〉
「......そうですね。真っ赤に燃えてましたから」
この時皆が懸念することは二つ。
一つは無事に着地できるかどうか。クリサンセマム・チャンピオンシップを最後まで戦って墜落したヒーローをこんなところで死なせてはいけないという思い。
もう一つは。
「アキラ。地上の武装勢力が互いに動き出した」
「......」
シフに聞こえないよう耳打ちした先生だが、その動きはレンジャーとの通信に使うカメラに映っていた。
〈コントロール、こちら強襲降下艇ダニエル・ジャクソン。同型艦のアーウィン・ウェイドとともに大気圏突入中。不時着地点に向かい地上の武装勢力が接近中。これより質量弾による威嚇射撃を開始すると伝えてくれ〉
「コントロール了解」
〈着弾予想地点は不時着予想地点を中心に5000m、八発。当たるなよ〉
「質量弾で牽制か」
ミシェルは急角度で大気圏に飛び込んだ降下艇が、赤に包まれながら火を噴くのを見た。
艦底の砲門から四発ずつ、砲弾は降下艇よりも早く、墜落するレンジャーよりも早く大地を抉る。
宇宙空間から見て分かるほどの衝撃が闇夜の大地を揺るがす。
「現地は統一アフリカの勢力圏......だが実際は無法地帯だ。あるのは形骸化した政府と破綻したインフラ。武装勢力が群雄割拠する下層世界の最底辺。宇宙開発の初期に企業たちがこの地域の資源を根こそぎ収奪していなければ、まだこれほど酷くはならなかっただろうが」
統一アフリカは上層世界による資源開発を抑制し、アフリカの発展を指導する組織であり、実態としては上層世界に買収されて弾圧と収奪を代行する組織となり果てていた。これに飼われる武装勢力と、抵抗する武装勢力が不運にも不時着地点付近で抗争を続けていたのである。
「エンクルマやマンデラに続く指導者がいれば、変わるんだろうが」
「それをボクらがいうのかい?」
デイルは黙り込む。ここにいる学生たちは上層民たちのさらに上澄み。呼吸すること自体が下層世界を踏みつけることに他ならない。
「せめて効率よく貿易できるようになる、と言ったほうがいい。どれだけ言葉を尽くそうとも、奪われる側からすれば等しく悪人なんだから」
「高度5000、逆噴射開始」
〈フルブースト!〉
レンジャーが残った推進器全てを使って速度を落とす。
ドラグシュートが大気を包んで広がり、質量弾の衝撃波がさらに機体を下から持ち上げる。
「高度4000」
爆発直前で両足をパージ。
「高度3000」
負荷に耐えきれずドラグシュートが千切れる。
「高度2000」
残った両腕の動作で機体を仰向けにさせる。
「高度1000」
〈ベイルアウト!〉
通信が途切れる。機体が地面に激突する。
救難ビーコンに反応―――「無事ですか!」
落下する機体から打ち出された脱出ポッドが、白いパラシュートに吊るされ揺れている。
星明りと木々が燃える炎に照らされて、ゆっくりとポッドが降りるさまが捜索機のカメラに捕捉された。
〈こちらテンペスト1-1。不時着機を確認。機体は大破、脱出ポッドに外傷は見られない。救難機へ座標を送る〉
〈こちらキヌア隊。座標を受信。現着まで十五分〉
〈テンペスト、コピー。それまで空域を保持する〉
【アカデミー:講堂】
三日前に行われたクリサンセマム・チャンピオンシップの分析が行われている。
シフはユーロフリートに回収され、ジブラルタルの病院に収容された。
低軌道軍は二隻の強襲降下艇は救難機に遅れて到着。付近の反体制派に対し威圧を行いつつ大破したレンジャーを回収。夜が明けた現地時間の昼過ぎに到着した統一アフリカ側の武装勢力に警護されつつ残骸の回収を続けている。
「警護される側のほうが圧倒的に強いんだから、何しに来たか分からないな」
「言ってやるなヴァンセット。統一の実質的な勢力圏外で反体制派に囲まれた体制派が生き残るには、虎だろうが降下艇だろうが威を借りるしかない」
前世紀にバラまかれた旧式ライフルとボロいトラックしか持たない少数の彼らは、散乱したレンジャーの部品を勝手に回収しては低軌道軍に威嚇されて逃走するなど統制も取れていない。
「これでも、インド洋や大西洋に落ちるよりはいい。部品が沈んでしまわないからな」
デイルは付き合いのある戦争管理会社の男に聞いた話を思い出す。
Leフレームの部品は下層世界では高値で取引されるという―――誰かが部品を集めているのだという噂。真偽不明+正体不明。
「結局、今回の勝者は無し。コースアウト寸前のレンジャーが破れかぶれでアマツカゼを撃ったこともルール上問題ないし、前例もある。これで来年のレースに注目が集まるな」
違いない、と答えるデイル。
「レンジャーの異常な頑丈さが評価された年だったな。主に一人のせいで」
「ランドグリーズなら無事に原形をとどめて降下していたさ」
「軽量機じゃ空中分解待ったなしだから、そこは純粋に羨ましいな」
「......乗るか?融通してやれるが」
「そいつはいい提案だ。ランドグリーズの系統なら強めに当たっても耐える」
「教官のレンジャーも来期は更新って噂を聞いている。セッティングを変えればお前の動きにも対応できる。低軌道軍の次期標準機だから」
優秀なランナーが優秀なLeフレームに乗れば自ずと結果は出る。
ヴァンセットはL5、あるいはL4とのつながりがあるが、企業と直結しているわけではない。今なら明石工房と彼の契約に割り込める。
「気持ちだけ受け取っておこう」
「そうか」
だがお気には召さなかったらしい。
「まぁ、いい。結果を出すなら俺一人で十分だからな」
「レンジャーの頑丈さもだが、あれで無事に生き残ってるランナーの頑丈さのほうを特筆するべきだな」
「先輩は......ちょっと頑丈なだけだよ」
ミシェルはシフ・シャオの身元をとうに洗っている。
大きな支援を得ることなく、班も改編され、それでも実力だけでのし上がってきたダークホース。身体改造を受けてもいない、人造人間でもない、ただの人。
頑丈でしぶとい、という以外に評価できないイレギュラー。
「しかも頭も回る。針路はKiTaか低軌道軍か……」
いずれにしろ、月のラングレン家とは交わらない道だ。
「どっちにするかは、聞いてないなぁ」
「いずれにしろ悪い待遇にはなるまい。彼女の出身を思えば、考えうる最高の将来を手にしたと言って良い」
アキラを通じて多少の面識もできた。これで彼女が順調に出世してくれれば、替えの効かない人脈となるだろう。対立陣営に属する知人というものはなかなか得難いものだ。
ほとんど聞き流していた教官の講評が終わる。
アキラたち十四班やズオ・シェンらの五班はそれが終わるなり格納庫へと向かう。
「なんでアンタたちも来るのよ」
「そういうキミたちこそ」
いつも通りの口喧嘩をしながら、バスが格納庫前に着くなり駆け出す。
「よう、来ると思ってたぜ」
「シミュレーターの準備はできてるぞ。やりたいなら対抗戦でもいいが?」
「ありがとうございます」
整備班は準備万端で待っていてくれた。
クリサンセマム・チャンピオンシップは終わった。
次に来るのは、一年次の総決算となる班対抗戦。
重点育成プログラム組と通常カリキュラム組が同じトーナメントの中で戦う。これと座学の試験を合わせて二年次の席次が決まり、三冠、卒業後の進路に影響してくる。
「手の内を晒したくないのでデータは別でお願いします」
「あいよ」
整備士たちも慣れた動きでシミュレーションを立ち上げていく。
「へぇ、怖いの?」
「データなんて見なくても、あんたたちの水準なんて分かるんだから」
「誰がお前らなんか」
「やめろヴァンセット。見え透いた挑発に乗るな」
「だがここで一発ヘコませておけば」
「はーん?アンタたちに何ができるって?」
「やめておけコヨーテ。俺たちだって完全なわけじゃない」
「はぁ?日和ったの?」
いつものやり取り。
いつもの仲間たち。
「早く行くぞ。時間は有限だ」
「適当な時間に合わせないと、こっちで飯が食えないからな」
「......飯は旨いほうがいい」
「ったく、覚えてなさいよ!」
それぞれの区画に入り。機体に乗り込み、シミュレーターモードが起動される。
「システム起動......全機、発進!」
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