第5話

【プリヴォルヴァ3:アキラの部屋】


アキラ・ユガワラが入学前に使っていた部屋はまだ残っていた。

僻地すぎて、新規に居住する者がいないのが幸いした形だ。

両親の遺影に手を合わせるーーー母の宗教の教え。

叔父は先月、火星行きの船に乗ったらしい。新造される整備ドックのクルーになったそうだ。

つまり、彼は今ここに一人。

造船所でバイトするもいいし、一か月何もしなくてもいい。

幼い子供たちに教師をするのは避けたほうがいいだろう。下手に外の知識を教えると、彼らがこの都市に居付かなくなると労働者たちの不況を買う。

叔父も年単位で戻らないだろう。

半年前にここを出た時、就職のために箔がつけばいいと思っていた。

だが今になり、同期の先頭を行く身であればこんな寂れた都市に戻らなくてもいいのだ。

造船所の皆はまだいるが、もし誰にも言わずここを離れたとして誰も追ってくることはない。

ここは故郷ではあるけど、これから居続ける場所ではないかもしれない。

そういう時、相談できる相手がいない。

先生はいるが。

「素性が知れないんだよな......」

以前は先生の言うことなら全部信じていただろう。息をするように人を疑う三人といたせいで、疑うことを学んでしまった。

だからこそ、先生の態度も変わったのだろう。

答えを教える立場から、自分で答えを探せという。

「先生は僕をどうにかしたいとは思っていないんだ。それが後でコントロールできるからなのか、どうでもいいのか......」

先生は信じられない。自分で何とかするしかない。

その夜は眠れなかった。



【ヨコハマ・ノア:伯爵邸】


「そう。良くやったわ」

「伯爵、伺っても?」

代理人の役目を終えたヴァンセット・ツィナーはゲルトルーデ・ジオローパの前に座っている。

彼が用意した夕食は、大した感想もなく消費された。

「これまであえて聞いてきませんでしたが、ツィナー事件について」

「あなたにはまだ早いわ」

「しかし」

「黙りなさい」

地雷だったらしい。

元より悪い目つきを、さらに尖らせた視線で睨まれる。

「そう怖い顔しないでください。せっかくの美人が台無しですよ」

「......」

「......片付けますよ」


とはいえ、それで黙るほどヴァンセットは大人しくない。

深夜を見計らって彼女の部屋に行く。

音もなくドアを開けた途端、先んじて声が届く。

「子供は寝る時間よ」

「夜更かししてみたいのも子供らしくていいでしょう。それよりも、以前より酒量が増えてますね。寂しいのなら子守歌でも歌いましょうか」

「とっくに試したわ」

ゲルトルーデはまだ起きていた。彼女の不眠は彼も良く知っているが、前より悪化したらしい。

こんなこともあろうかと用意しておいたハーブ酒を、刺激の強い蒸留酒と取り換える。

「腰でも揉みましょうか?」

「......」

不愉快そうな顔でグラスを煽る。

「薄いわね」

「そりゃ、水で割りましたので」

「酔えないじゃない」

「そんな消費のされ方をしても、きっと酒は喜びませんよ」

「子供が知った風な口きくんじゃないわよ」

「背伸びをするのは子供の特権でしょう」

グラスを開けた彼女は、ボトルからハーブ酒をストレートのまま注ぐ。

彼女が指ではじいて滑らせたグラスは、ヴァンセットの手の中に納まる。

「カハッ......喉が焼ける」

「そりゃそうよ。ところで、未成年が飲んでもいいのかしら?」

「しょうがないですよ、赤ちゃんは誤飲が日常茶飯事ですので」

大きなため息を一つ。

足を組んで、肘をつく。

「切っ掛けは四年前のツィナー事件じゃないわ」

蒸留酒とグラスをヴァンセットから取り上げ、注ぐ。

「先代、父の失敗よ」

それだけ呟くと、彼女の手からグラスが落ちた。

琥珀色の液体がカーペットに染みを作る。

彼女は静かに寝息を立てていた。

「……」

ヴァンセットは彼女を抱きかかえ、ベッドに連れていく。

カーペットに染みた蒸留酒を拭き、静かに部屋を片付ける。

「お休み、マイレディ。せめて夢のない夜を」


ヴァンセット・ツィナーは人造人間である。

カルタヘナ・モデルと呼ばれる規格に沿って作られた生物だ。

とはいえ内臓はホモ・サピエンスと同等の構造を持っているので肉は食べるしエッグプラントは好きではない。グリーンペッパーも嫌いだ。

父母はない。いたとしても、遺伝子レベルで分解されていて特定はできない。

宇宙開発黎明期、人体を無重力と宇宙放射線に苛まれる環境に適応させるための研究は、いつしか人間一人丸ごと作り出せるレベルになっていた。

不足する労働力を補うため、促成栽培されたいわゆるカルタヘナ・モデルたち。コロニー開発が落ち着いた頃、彼らに人として生きる権利が付与され人間として扱われるようになったーーーロボット同然に扱われていた彼らは、上層民たちの同情を同じホモ・サピエンスの下層民よりは引いたのだ。

ヴァンセットには兄弟がいた。同じロットの二人だ。

四年前、彼が覚醒した時は隣の培養槽にいたらしい。今は行方不明だ。

自らの部屋で、ヴァンセットは天井を見る。

カルタヘナ・モデルの耐用年数は十年と少し。

当時過酷な環境でコロニー開発に携わったモデルは誰も生き残ってはいない。

さらにその後は需要が減って、今ではほぼ見ることはない。

生活に余裕がある上層民は良心の呵責というものを思い出し、仕事を奪われた下層民からは目の敵にされて、彼らが進んで名乗り出ることはまずない。

「ヴァンサンク、ヴァンシス」

顔も合わせたことがない兄弟機。需要がないはずのこの時代に彼らが作られた理由は不明。

製造者はツィナー博士。四年前のツィナー事件で死亡している。

そのどちらの名前も、正式な記録には残っていない。

「夏休みだし、自分探しの旅でもしてみるか」

四歳児は大きく伸びを打って、健やかな寝息を立て始めた。



【チュニス:チュニス湖】


デイル・ハラルドソンはレンタカーを走らせていた。

助手席にはオルトロス・グループの男。

「良いですね、ドライブは。異国の道を何度も走ってきましたが、地雷がない道はとても気持ちがいい」

今日はチノパンにポロシャツと上層民風の恰好をしている。

レイバンで表情を隠し、貼り付けたような笑顔を浮かべた男。

「車の中は良い。会話が外に漏れることがない」

「これ、レンタカーですよ」

「安心してください。我々の息がかかった業者です」

「戦争管理会社って、思ったよりいろいろな仕事をされているのですね」

先日名刺を渡されたデイルのもとに、今朝電話がかかってきたーーーこちらの連絡先を教えていないのに。

そこから適当な車を選んで乗ってきて、途中で彼を拾ったのだが。

「管理会社は請負会社から発展したところがほとんど。請負会社は戦争への直接、間接的な介入だけじゃなく、紛争地域のインフラ管理や個人警護なんかもやっています」

そしてグリンヤルティも顧客の一つというわけだ。

北欧を拠点にするグリンヤルティの本業は半導体。

需要は世界中にあるため、工場を北欧同盟以外にも持っている。

「レグザゴン内での工場警備やごたごたの解決は、オルトロスが請けているんですよ」


しばらくハイウェイを走る。

明日にはハラルドソン家のクルーザーはエーゲ海に出港する予定だ。

「遠出をするつもりはありません。せいぜい、片道三時間くらいでしょうか」

長旅になりそうだ。

パワーのある車を選んで正解だった。思いっきりアクセルを踏み込み、弾痕で抉られた速度表示を超過する速度を出す。

ここチュニジアは、レグザゴン本土から最も近い外国。

海を渡って羽を伸ばす者も多いーーー射撃の的にされた看板が点々と続く。

「それじゃ、着いたら教えてください」

オルトロスの男は助手席で静かに眠り始めた。



【ビッグアイ:市内】


ポリス・ビッグアイ。

最大のコロニー群であるL1の、さらに最大のコロニー。

人類圏で最も栄えた都市。

ミシェル・ラングレンは一人でこの都市に足を踏み入れた。

乗ってきた小型艇を港湾区外の桟橋に預け、乗合艇で気密区画へ。

月のシャクルトンのように直接乗り付けられないことを面倒に思うが、ビッグアイには常に多数の輸送船が往来している。小型艇などいれば交通が即座に麻痺するだろうと理解もできる。

「だけど、このボクが相乗りバスとはね」

タイミング悪く、乗客がある程度揃うまで一時間ほど動かなかった乗合艇。

予定を大幅に遅れてパスポートチェックを通過し、0.8Gの重力に足を降ろす。

円筒の軸を中心に、内側の壁に張り付いた市街の床が1Gとなるように調整されているため軸付近では重力が弱いのだ。

これは無重力を航行してきた地球人が、弱い重力から徐々に重力に慣れるようにという配慮でもある。

アカデミーにこれがないのは、建造物としての規模が小さいからだ。

ビッグアイ。最大のコロニーは直径も大きい。

L1のコロニー群のはずれに、一番最後に建てられたこのビッグアイは、人類の技術の限界を示すものとされている。

最大出資者はアメリカ合衆国。次いでアジア連邦。

街中には英語と中国語の看板が建てられ、様々な人種が行きかっている。

観光客らしい子供がボールを取り落とし、足元に転がってきたそれを投げ返す。

自転方向側に立つミシェルが投げた柔らかいボールは、はた目には子供の顔に当たる軌道を描き、しかしちょうど手元に落ちた。

驚いた顔の両親と、よくわかっていない顔の子供に手を振って別れ、ちょうどやってきたタクシーに乗る。

「セントラルホールまで」

コロニー内の交通は統括制御され、タクシーには運転手がいない。

なお桟橋の乗合バスは有事の際は救難艇となる仕様のために運転手がいた。

音声認識は間違いなく目的地をセントラルホールと定める。

コロニー内の速度制限は厳しい。自転方向に速度を出しすぎるとGに潰され、逆走すれば無重力になって浮き上がってしまう。

とはいえ普通に生きていく程度であれば、そういった物理は気にしなくてもいい。

Leフレームの加速度を常に計算しているランナーではなく、航路管制局の職員でもない人々は、宇宙に浮かぶ筒の内側に貼りついて今日も生きている。


とはいえ、少しばかり生きる速度が違うのだと理解させられる。

「素敵な制服ですね。実は私もアカデミーを受験していたんです。生憎選考には落ちてしまいましたが」

「世界中のハイティーンがすべて目指す場所です。落ちたとしても、貴方の努力が無意味だったわけではありませんよ」

「ミシェル様は、そんなアカデミーでトップなのですよね?流石ですわ」

「努力を怠らないのですね」

「お顔も美しいなんて」

「そんなに褒められると照れてしまうよ」

着飾った同世代の少女たちと、その外から正装の男子たちに二重に包囲されたミシェルは貼りついた笑顔を適宜操作しつつ、話を聞き流す。

これも貴族の務め。

とはいえ、若年貴族、有力者の子弟が集められたパーティーはまだ始まったばかり。

このタイミングで声をかけてくる相手は、言い換えればこのタイミングでしか声をかけられない者たち。

月のラングレン家、アカデミーの第一位はそこらの成金とは格が違う。

宇宙開拓期を主導した名家であり、今なお人類圏に影響力を持つ貴族なのだ。

父、ラングレン侯爵は月連の副議長である。

今回のパーティーに招待されたゲストの中では、ミシェルが当然序列一位となる。

そしてこのパーティーのホストは。

「さぁ皆さん。会場の用意も整っております。是非奥へいらしてくださいな」

豪奢な髪をロールに巻いた少女が、見るからに仕立てのいいドレス姿で笑っている。

助かった、という思いと、失態だな、という思いは外には決して漏らさない。

「会場の用意も整っているというじゃないか。まずは中へ入ろうか、皆」

この取り巻きたちから解放されるという事実と、彼を解放したのが面倒な相手という事実。

この場で彼を留めるように取り巻きを配置したのが彼女だとしてもおかしくはない。

「ようこそいらしてくださいました、ラングレン様」

「この度はお誘いいただき、ありがとうございます。素敵なドレスだ。キミに似合っているよ、フロイライン・マクスウェル」

「ヘレン、とお呼びくださいな」

「ではボクのこともミシェルと」

ヘレン・L・マクスウェル。

ビッグアイ市長、マクスウェル侯爵の一人娘。そしてアカデミーの席次は四番。

一番はミシェルとして、二番のズオ・シェンや五番のコヨーテ・アリマの間にいる少女。

家格はラングレンとも匹敵するし、本人の努力もあれば席次の四番を疑うものはいない。

だが一つ上げるなら、彼女は通常カリキュラム組であった。

「お忙しいミシェル様がいらしてくれるなんて、嬉しいですわね」

「外ならぬ学友の誘いだからね。是非とも参加させてもらうさ」

重点育成プログラム組は次々と実績を出している。アキラや二十八班の三人のように席次が低い者たちもそれに連なっている。

だが四番の彼女は実績を出していない。

班編成も平均的なメンバーと組み、平均的なシミュレーション結果を残している。

言ってしまえば、彼女にはランナーとしてのセンスはない。

座学成績は上位一桁に入っているせいで、余計に実技の点数が悪目立ちしていた。

実業系のアカデミーが、いつしか社交界になっていた弊害である。

「後期こそ、私も成績を残して見せますわ」

「ボクたちも負けてられないね」

目の敵にされているな、と肌で感じながら場内へ。

見れば、アカデミーで見た顔もいくつか。誰もかれも通常カリキュラム組なのであまり接点はなく、友好的とは言い難い視線を向けられていた。

「こうなら、まだ表のほうが楽だったかな」

欲の皮なら御しやすい。貴族は総じてプライドが高く、成金よりも性格が悪い。

百年にわたって政争を繰り広げてきた階級なのだ。今生き残っている連中は生存に長けたものばかり。

ひどく、面倒だ。

どこか隅のほうで昼寝でもしていたいが、誰も彼を逃してはくれないらしい。

それでも、ここにいるのは経験の浅い子弟。

手玉に取ることだって可能だ。

「ふん、このボクを舐めるなよ?」



【プリヴォルヴァ3:造船所】


〈よし、回せ〉

アキラは他の作業員と共に、大きな荷を担いでいる。

火星行きのコンテナ輸送船のエンジン部だ。

Leフレームよりもはるかに背が高いその部品を、Leフレーム四機で支えている。

〈アキラ、ちょい右〉

「はい」

〈よーし、スラー、スラー…オーケー固定だ〉

作業長の掛け声とともに、ゆっくりと降ろされたエンジンは待機していた別の班によって船体に固定される。

大きな質量をもつエンジンでも、動かすだけならLeフレーム一機でもできる。だが細かい微調整のためには水平四軸、上下二軸を担当する六機で動かすことになっていた。

それを四機でやっているのは、彼らが熟練工であるのと機材が不足しているからだ。

〈あと二隻やったら飯にするぞ〉

〈うーっす〉

今日のアキラの仕事は大型部品の据え付け。

L2時間の朝八時から朝礼、体操を行い、Model5エンデバーで作業を開始した。

狭いコクピットに、船外服を着込んで乗り込んでいる。

細身のアキラでも非常に狭く感じるが、肘で誤ってレバー操作するようなこともなく作業を続ける。

〈やっぱ学校に行ってたからか、お上品に飛ぶようになったなアキラ〉

〈喋り方も上層民っぽい感じに染まってやがるな〉

「あはは......」

作業を共にするのは、以前何度も組んだことのある作業員たちだ。

皆アキラの倍は歳を重ねたベテランであり、まだうまくフレームを扱えないアキラを厳しく指導したのも彼らのようなベテランたちであった。

「まぁ、楽しくやってますよ。勉強は大変ですが」

〈......まぁ、お前みたいな若くて有望なやつは外に言ったほうが働けるだろうからな〉

〈正直、俺としてはお前には戻ってきてほしいぜ。いや、すぐにでも学校辞めてこっちで働いてほしいくらいだ。お前ほど筋がいいやつはそうそういない〉

〈それはお前がハイスクール中退してここにきたせいだろ〉

〈へへへ、俺は盛岡の片田舎で終わるような男じゃねぇってことを見せたかったのさ〉

〈それが今じゃ月の裏のド田舎か〉

誰もかれも、多少の問題を抱えてここに流れてきた。そうでなければこんなところにはいないだろう。

次の部品は、同じく火星行きの輸送船の燃料タンク。

球形のタンクを四機で囲み、外から溶接されたグリップを掴んで持ち上げる。

〈よーし、推力2でいくぞ〉

学園で使用するModel7 レンジャーは、訓練用に推力20まで出せる。

作業や精密動作などの時は学園でも低推力に絞るが、戦闘訓練中は常に限界まで速度を出すアキラにとって、やや緩慢な動きだ。

それでも、低速でなければ建造中の輸送船=商品に傷がつき、付近にいる船外服の作業員が排熱で焼き焦がされることはよく理解している。

労働災害が絶えないとはいえ、死亡事故が起きればそれぞれの班同士で乱闘になる。流血もある。彼らなりの安全規範がここにはあった。

「ところで作業長。作業長はここ長いんですよね」

五十代半ばの作業長はアキラの声に返す。

〈そうだな。アルバカーキのはずれで産まれ、StERAの下請け職人として宇宙に上がって、L2に来たのは三十年以上前か。当時からここはあんまり変わってねぇな〉

「先生って、何処から来た人かご存じですか?」

〈先生、ってお前の先生か。あの人は......ここ十年ってとこだな。出所はわからんが、言葉はイタリア訛りがあったのは覚えてる。どうかしたのか?〉

「いえ、僕は良く知らないことばかりだな、って」

確かに、知らないことだらけだ。

先生の住民登録がなされていないことも、昨夜気が付いた。

なんとなくコロニー内で受け入れられているが、誰も素性を知らないのだ。

〈何度かフレームに乗ってたけど、操縦が下手くそでな。それから確か......溶接工場とか旋盤加工場とか点々としてたはずだが〉

〈いつの間にか、先生って呼ばれるようになってたな〉

タンクを掴み、作業長の機体のスラストの慣性で動いているアキラたち。

〈よーしアキラ、逆噴射用意。三......二......一......キュー〉

「逆噴射、推力2」

〈二......三......停止〉

「噴射停止」

設置予定位置までやってきた。ここから船体方向へ押して、固定作業班に引き継ぐ。

〈ちょい右......右......そこだ〉

固定作業班はボルト孔に工具を挿し、設置位置に仮固定。そのままクランプで挟めばアキラたちの作業は終わりだ。

〈よし、あと一作業いくぞ〉



【チュニジア:スファックス】


チュニスから南東に三時間。地中海沿いの都市、スファックス。

「アフリカからレグザゴンに渡るルートは複数。イギリス管理下のジブラルタル海峡を越えるか、チュニスからシチリア、サルデーニャ島を目指すか、陸路でアナトリアを超えるか。いずれにしても、管理が厳しいルートになる」

オルトロスの男は、デイルを連れて街を歩く。

廃材で組まれた屋根と、ぼろ布を継いで垂らされた壁。かつての都市の面影はなく、どこにもいけない誰でもない者たちのたまり場となっていた。

「100年前ならいざ知らず、今の時代、彼らを保護する機関はありません。暴動が起きない程度には施しを与えつつ、海を渡る体力は与えない程度に抑えて。部族間の抗争で死なないというだけで、彼らはこのスラムから離れなくなります」

「これが、俺たち上層民がやっていることですか」

「はい、その通りです。彼らがエウロパの地を踏めば、必ず厄介ごとを起こします。だからここ北アフリカで防波堤を作る。適度に間引きを行いつつ、ね」

「間引き」

「我々は戦争請負会社ではなく、戦争管理会社です。武装勢力にここを襲わせることだってあります」

道でトマトと鶏肉の煮込みを5ドゥシーム=0.5フランで買い、歩きながら食べる。

ここの住人が露店で出している料理だ。彼らの足元をついばみ歩く鶏の家族が材料だろう。

「トマト、鶏肉、その辺に生えてるハーブ、あとヤムイモ......でしょうか。まぁ彼らが普段食べてるものです。死にはしませんよ、たぶん」

「そういうものですか」

「そういうものです。私たちは彼らを差別したりしません。同じものを食べて、同じものを飲んで、同じ場所で寝る。さすがに虫や病気、害獣は避けますし、生水も絶対に飲みませんし、何度もワクチンを打っていますが。抗マラリア薬やイベルメクチン、DPT四種混合......破傷風ですね。他にもいろいろ。注射が嫌いな人には向いてない仕事ですね」

男は物売りから水を買って、デイルにも渡す。

水を売るもの、酒を売るもの、雑貨を売るもの。他にも鍋で煮た何かを出しているものや、干したおそらく食べ物、あるいはハーブのような何か。あるいは路地でたむろするもの、道端で遊ぶ子供、行政職員に話しかけているもの、等々。

「どうして、俺をここに?」

「それは、あなたがハラルドソンだからです。我々の顧客となるからには、我々が提供するサービスを理解していただかなければ」

「地中海を渡れなくとも、悪くない生活をしているから安心しろと?」

「これが悪くない生活と思いますか?」

「......」

上層のさらに上澄みと言えるような環境で育ったデイルだが、これがいい暮らしとは思えない。むしろこれより下があるのか、と唸る。

「その表情、連れてきた甲斐がありましたね」

「運転したのは俺ですけどね」

「まぁまぁ。彼らは食料、水、ワクチンを支給されてはいますが、教育は与えられていません。情報も意図的に流されたものばかり。彼らは文盲なので、噂話として流せば事実として定着します。間違っても、いい暮らしとは言えないでしょう」

北欧では子供は皆学校に行き、文字どころか外国語、物理、数学、古典も習う。

「彼らを欧州に入れないことで、俺たちの世界は守られている」

「まさしく、そこがお伝えしたかったところです」

「あなたたちは、どうしてこの仕事を?」

オルトロスの男は拍子抜けした顔を浮かべた後、愉快そうに笑いだした。

「失礼。予想外の質問だったもので......えぇ、お答えしましょう。私はキプロスの出身です。アナトリアの下の小さな島ですね。紛争で家を失い、かといって逃げ場のない小さな島です。対岸のアナトリアまで八十キロ。泳いでいける距離ではありませんし、アナトリアは欧州の傭兵国家。下層から逃れてきたものを見逃しません。ですが、何とかならないこともないのです。私はどこぞのメディアのチャーターしたクルーザーにしがみつき、アナトリアに密入国し、経歴を偽って軍に入りました。そこで故郷からの難民を始末する仕事に就きました。度々行われた北キプロスへの潜入にも従事し、故郷の紛争を拡大させもしました。そのお陰で、私は戦争管理会社にヘッドハントされました。そのまま残っていても、昇進には身元を洗われますからね。潮時だったのでしょう」

「......」

「自分が生きるために、何でもしてきました。私が下層民でありながら上層民の肩を持つのは、彼らが給料と安定した身分をくれるからです。給料が払われる仕事であれば、私は躊躇なくここの人々を虐殺できます」

「......そうか」

「気になさることはありません。企業の勤め人など、誰もそう変わらないでしょう。仕事なので人を殺す。仕事なので豚を殺す。仕事なので二酸化炭素をまき散らす。仕事なので窒素酸化物をまき散らす」

デイルは渡された水を飲みほした。

ハラルドソン家は欧州でも指折りの大企業。正社員は勿論、工場や物流といった下請け業者を含めれば、グリンヤルティ社の利益に預かるものは数万人では効かないだろう。

経営者一族であるならば、彼らの生活にまず責任を負うことになる。

「下層の世界は、どこもこんな感じなのか」

「ええ。私が知っているだけでも、欧州とアフリカ。アジア連邦と中東。アメリカと南米。環太平洋連合と東南アジア、オーストラリア。欧州は特にひどいですね。アジア連邦はある程度労働力として見なしていますが、オーストラリアはここよりも荒れた土地にスラムができています。環太平洋連合でも温度差はありますが、あそこは白豪主義が復活していますから」

好意的にみられるものではない。が、社会学習の一環として与えられた機会と理解しておく。


男に連れられてしばらく歩くと、空港にたどり着いた。

数人の少女が武装して警戒している。

一触即発といった感じはないが、その目は淀んでいる。

「警備か」

「ええ。戦闘のリスクは低いので、若くて経験の浅い彼女らでも立っていればなんとかなります。この辺りで一番の脅威は野犬ですね。狂犬病ワクチンは人々に広くいきわたっているわけではありませんので」

少年少女を兵士として使うことは珍しくない。

とはいえデイルも実物を見るのは初めてだ。

オイルを塗られ、良く整備された旧式の自動小銃。

それでも目立つ傷は、彼女たちがそれなりに経験があるということを示す。

一昔前に流行ったモジュール式のベスト、シャツとスカートとスニーカー。

「うちが使う警備会社の一つです。実績はともかく、子供は安いので」

安価に使われる彼女たちを残し、空港へ。

「チュニス行きのフライトを手配してあります。旧式機なので多少揺れはありますが、これから暗くなる時間のハイウェイよりは安全でしょう」

「ご手配、ありがとうございます」

「いえいえ。これも仕事ですので」

手配したのは兄だろう。経営に携わる兄としては右手として仕える人材が欲しいのだろう。

車のカギを男に預け、デイルは飛行機に乗り込んだ。



【ビッグアイ:パーティー会場】


「いいブドウを使っているね」

「ボルドーの知り合いが造っているのさ。十六世紀から続く老舗でね」

ミシェルの手にはワイングラス。とはいえワインではない。ブドウジュースだ。

とはいえ醸造所がほぼワインと同じ製法で作っているもの。成人済みの上層民でも好んでこれを飲むものは多い。無重力空間では悪酔いしやすいというのもある。 

ミシェルは自慢げに話す貴族子弟の話を聞き流しつつ、周囲をそれとなく警戒する。

地上やコロニー内の領地の様子、あるいは株主となっている企業の先進性、などの会話が繰り広げられる。実際、数人の子弟は親から受け継いだ株を資産運用も始めているようで、積極的な経営改善を行ってもいるらしい。

「フランスの土を、私の邸宅に運ばせているんだ。土は重たくて、なかなか難しいけどね」

「コロニーの中で、土が生きられるのかい?できないと思っていたよ」

「深層から掘って、そのまま運ぶのさ。水の循環にも酷く気を遣うよ。難しい試みだけど、資本をもつ私たちが率先して難しいことに挑戦しないとね」

そこまでして得られるものが、地球のワインのコピーというのは酷く不経済だとは思う。しかし、予想だにしない成果を得られるかもしれない。気持ちだけでも期待はしておく。

「ボクの知り合いにプラント経営者がいるんだ。彼が宇宙で土を育てる方法を気にしていてね。良ければ彼を交えて話がしたい。もちろん、ボク自身もとても興味がある」

「それは嬉しいね」

この百年、そのような計画が皆無だったはずはない。今のプラントでの植物生産がほぼすべて水耕栽培なのも、土を打ち上げるよりも優れていると判断されたからだ。

当然、それらの問題を踏まえた計画となっているだろう。この分野にかけては出資こそすれ知識の少ないミシェルにとって、はした金であれば授業料がてら払ってもいいと思えた。

「では、後ほど連絡させていただきます」

「楽しみにしているよ」


だが、このパーティーの主題は営業ではない。

ハイティーンの男女が集められた場だ。色恋など華やかなものはないが、政略結婚する相手を見定めるには適している。

主催のヘレンもまた、若い商人子弟と話し込んでいるようだ。

あぁいうのが好みなのか、とミシェルは相手の男を見やる。

だが違うな、とすぐに分かる。つまらない相手を見る目を不躾にも隠すことなく向けているのは、周囲の貴族子弟たちへのメッセージ=こいつを摘まみだせ。

しばらくもせず、少女と青年が近づいてきて、言葉巧みに会話に割り込み、商人子弟をそれとなく会場の下座に誘導していく。

「ここはレセプションの場じゃないっていうのに。これだから成金は」

「彼はH&T傘下、コバヤシ食品加工の社長の子だ。アカデミーの食堂を管理する企業だよ」

ロールに巻いた髪に指を潜らせ、落ち着かなさげに視線を左右させるヘレン。

さすがに挙動に粗が出てしまっている。彼女に興味はないが、助け船くらい出しておこうか。

「ところで、チーズはいかがかな。ボクの家が出資する農場で作ったフォンティーナ・ライクだ。本物に比べても、遜色ないと思うけれど」

「......そこの出資比率、うちのほうが大きいんだけど?」

濃厚な香りを放つチーズに意識を集中させれば、普段の調子は出てきたらしい。

フォンティーナは北イタリアのごく一部で作られるチーズ。同じ製法でも、ヴァッレ・ダオスタ地方以外で作られた物はチーズ・フォンタルと呼ばれる。

本場ではフォンデュにして食べられることが多い。

「まぁ、試食でフォンデュを用意することは出来なかったんだけど」

「仕方ないさ。この会場には様々なものが並ぶ。その中でフォンデュは主張が強すぎる」

主張が強すぎるとどうなるか。次のパーティーには呼ばれず、社交界で何かと陰口をたたかれるようになる。それは企業にとって致命的だ。

「さっきの、あなたが追い払ってくれても良かったんじゃなくて?」

「あんな小物、君一人でなんとでもなるだろうと思ってたからね」

「ふん、気分が悪かっただけよ」

流石にミシェルとヘレンの会話に割って入るものはいない。周りの注意だけがこちらを向いている。

「さっきの。食堂の味を落としたところよね」

「そうだね。ボクの友達も合成肉の比率が増えたってボヤいていたよ」

「価格のわりに美味しくない合成肉より、いっそソイミートにすればいいのに」

「まったくだね」

H&Tは中欧の企業。大豆由来のたんぱく質、ソイミートは既に枯れた技術ではあるが、本物の畜肉同等の味、歯ごたえを再現した特許は日本企業が独占している。日本は環太平洋連合に所属しており、同じ日本の企業でも中欧資本に属するコバヤシ食品加工では上質なソイミートを提供できない。

「アカデミーの下請企業は理事会で決められてたわよね」

「そうだね。そして校長はH&TのL1支社にいたね」

ふん、と鼻を鳴らすヘレン。

「プログラム組は食事でも優遇されてると思ってたけど、そうでもないみたいね」

「全身がしなびたゴムみたいになるまで訓練するから、その分食事が美味しく感じるのは事実かな」

これ以上一緒にいると、噂が立ちかねない。

適度に切り上げて離れよう。ミシェルはそれとなく周囲を見回す。

「ヘレン、あれはなんだ」

「知らないの?最近L1で売り出し中のアイドル、ヘリオトロープよ」

奥のほう、人だかりが出来ている。

明るい紫色のドレスに、しかし愛らしい顔は詰め寄る子弟たちに気圧され、健気に堪えているも恐怖を感じているようだ。

「ちゃんとガラスの靴を拾って帰るのよ」

「あぁ、そうしよう」

ヘリオトロープは労働者階級の出。ひょんなことからメディアに見いだされ、名が売れるようになったーーーとヴァンセットに聞いたことがある。

愛人にするにはいい身分だが、メディア周りは厄介のほうが多いな。そう感じつつも、脚は彼女のほうへ向かっていく。

シンデレラストーリーを仕立て上げられている少女だ。であれば、誰か王子様が必要だろう。その点、月の王子ならば適役だ。

「失礼」

彼女を取り囲む人ごみをかき分け、進む。

「うちの会社に来ませんか?今よりもいい待遇をご用意いたします」

「それよりも、是非その歌声を我が屋敷で。望むならどこででもお連れしますよ」

「最高のスタッフを手配しよう、君に似合いのドレスも用意する」

「あ、あの……」

何人かの子弟がとくにしつこく迫っているようだ。

彼女を連れてきたと思わしいプロデューサーの女性も、上流階級相手では強く出れず困惑している。

愛らしい顔はいよいよ泣きそうになっている。

「まぁ、諸君。落ち着きたまえよ」

いつも以上に芝居がかった動きで。

「ちょっと二人で、お話しませんか?」

顔がいいと、気障な仕草でも許されるのが幸いだ。


「助けていただき、ありがとうございます」

「大したことじゃないさ」

深々と一礼するヘリオトロープに、ひらひらと手を振って返す。

月の王子と、メディアの神輿。身分の差は歴然であるが、ヘリオトロープには彼が何か偉大なものに見えているようだ。

あぁ、しまったかな、と内心で頭をかくミシェル。この少女は、作られたシンデレラストーリーの中で、本当に王子様に見初められたと思ってしまっている可能性がある。

「彼らにも困ったものだね。貴族たるもの、美しい女性を集団で押し囲んで、なんて不躾なことはするべきじゃない。君には恐怖を感じさせてしまっただろう。貴族として申し訳なく思う」

逆に言えば、造られた偶像が出会った本物の愛、という筋書きで彼女を騙せるかもしれない。とはいえそこまでして彼女になにかしたいことがあるわけでもないが。

なりゆきで助けた以上、それなりにサポートしてからリリースするのがいいだろう。

「お優しい言葉まで、ありがとうございます。ラングレン様」

近くには誰もいないバルコニー。

密談には最適な場所で、月の王子となにか話があったという事実は周囲の者たちを抑える力を持つ。あとは適当に......サインでも貰おうか。後日、必要ならこの日の恩をチラ見せして良いようにすればいい。

一人、次々と考えていくミシェル。

だから、ミシェルはヘリオトロープの挙動を予想できなかった。

急に掴まれる右手ーーー彼女の両手が彼の右手を掴んでいる。

「あの、無礼ついでにお願いがあるんですが」

直接触れられる経験が浅いミシェルは、心底たじろいだ。

「あなたのお気に入りってことにしてもらえないでしょうか。弾除けが欲しいんです。その代わり、私にできることはなんでもしますから」

上目遣いで握りしめられる手、火照った頬、潤んだ瞳。

ミシェル・L・ラングレン十七歳。ビッグアイの路地裏で逞しく生きてきた二十六歳のシンガーソングライターと比べ、はるかに初心であった。



【ヨコハマ・ノア:伯爵邸】


家の端末からアクセスするのは、ヨコハマ・ノアの中央サーバー。

住民の移動履歴、公共のカメラ映像はすべてここに集積される。

すでに先日の商業区で接触した戦争管理会社のエージェントと、資料を流した相手の同行はつかめている。あとは素性を調べるだけだが、これがまた大変だ。

オルトロスの女はいい。ちゃんと営業所に帰った。だが商業区から外に出た男だ。顔を検索にかけても該当はない。行先を追おうにも、何度も追跡の線が途切れる。

逆の手を考えてみた。カメラには写っている。物理的身体を持つその人物はどこかから来て、どこかに向かったのは間違いないのだ。

コロニー内のセンサーは、市民証に内蔵されたタグの位置をトレースする。

常時位置情報を発信するはずのタグが、発信を途絶えさせているという異常事態。

そして位置情報と個人認証は一体だ。バスに乗るにも、カフェで注文するにも、個人認証と一体化したキャッシング情報が必要になる。

つまり、コロニー内で生活するには市民証が常時アクティブでないといけない。

男の顔はヨコハマ・ノアはもちろんシャンハイ・ノア、シンガポール・ノア、コーベ・ノア、SF・ノア、シドニー・ノア、他すべてのL5コロニーで登録がされていない。

外部からL5に入ってきた場合、ゲストパスが発行されて市民証の代わりになる。

あり得るとすれば、ゲストパスで入り、他人の市民証を複数切り替えながら移動しているということだ。

市民証のタグは高度なセキュリティで保護されていると聞く。

実際、彼自身のタグを解析もしたが果たせなかった。

だが、誰かがタグを無力化する方法を思いついたのだろう。

技術はともかく、男が移動したルート沿いには誰かの位置情報が残っているはずだ。

途切れたところから始まった位置情報をトレースし、さらに途切れたところから再び探してトレース。これを繰り返す。

手間がかかる作業だ。

「ヴァンセット!もう昼よ!作りなさい!」

手がかかる家族もいる。

「いつまでゲームしてるの!」

「今行きますよ、お母さま」


後の作業はBotに任せてキッチンへ。

いつも通りいら立っている母親に茶を出して、鍋を火にかける。

湯を沸かしている間にトマトとガーリックとオニオンを刻み、炒める。

「......深入りは、止めたほうが良くてよ」

「さて、何の話でしょう」

「......」

コンソメとハーブ類を入れ、トマトの汁気を飛ばして煮詰める。

湯が沸いたらパスタを茹で始める。

作りおきのコールスローを冷蔵庫から出し、クレソンとコンソメでスープを手早く作る。

「お待たせしました、お母さま」

「誰が貴方の母よ」

「戸籍上はそうなっていますね」

「チッ」

伯爵は言葉とは裏腹に上品にフォークを巻いて、パスタを口にする。

相変わらず感想はないが、常にこんな調子だ。

食べ終えるころ、彼女が封筒を一つ取り出した。

「午後からはここに行きなさい」

「ヨコハマ市立大、ですか」

「市民証のコードを書いた男がそこにいるわ。都市の認証システムはシャンハイ・ノアに行かないと解析できないけど、概要なら教えてくれるはずよ」

夏休みは半分ほど過ぎている。

自由研究に仕える時間は、あと半月。

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