脚本の柱(はしら)って、どう書けばいいの?

ここからは、実践的な話になります。


脚本の3要素の1つ、柱の書き方です。

脚本における柱は天・地・人のうち、天(時間)と地(場所)の指定に用います。

柱の書き方の一例を示します。


〇中学校・外観


柱は冒頭に【〇】を書き込むことで表します。

"ドラマ台本"で画像検索すると、柱にナンバリングされた(数字が振られた)ものを目にすると思いますが、シナリオコンテストに応募する脚本の柱には絶対にナンバリングをしてはいけません。脚本を小説やマンガのプロットとして利用する場合でも、組み換えや並び替えの頻度を考えると、ナンバリングはしないほうが使い勝手は良いでしょう。


では、脚本の柱にナンバリングするのはいつ、誰がするの?って話になりますが、原則論としては、脚本にゴーサインを出すタイミングでプロデューサーが、もしくはプロデューサーからゲラ出しを依頼された印刷会社が振ります。

プロデューサーは柱にナンバリングすることで、テンポ感を確認します。日本の民放TVドラマ1時間ものの場合、シーン数はだいたい55前後が標準です。目安として45より少ないとテンポが悪く1つ1つのシーンが冗長な感じになり、65を過ぎるとマンガっぽい軽い感じになります。

しかしながら例外はあるもので、近年の韓国ドラマでは民放1時間ものの尺でもシーンナンバーが80~100近くになります。日本やアメリカなどの一般的な脚本では終盤へ行くにつれ場所や時間の転換が少なくなり1つ1つのシーンが長くなることで「詰まってくる」のですが、韓国ドラマは終盤に入っても細かくシーンを転換することで「緊張感や臨場感を演出する」のでシーン数が多くなるのです。

韓国ドラマと言えば、一昔前までは1970年代から80年代の大映ドラマに熱狂した中高年向けのゆったりしたテンポのドラマでした。しかし、今はTVドラマよりアニメに慣れ親しんだ若い世代にも韓国ドラマはウケる題材になってきていますが、その原因の1つはアニメのような場面転換の早さにあります。


次に柱による場所の表記方法についてです。


〇中学校・外観


〇中学校・教室


と、場所がより具体化されてゆく場合は、下記のように書きます。


〇中学校・外観


〇同・教室


と、「中学校」という変わらない部分は「同」に置き換えます。


さらに時間の指定の方法です。

脚本の柱においては、何時何分まで詳細に時間指定する必要はありません。柱に記載するのは、(朝)(夕)(夜)のみです。(昼)とは書きません。

一例としては、


〇主人公の家・外観(朝)


〇同・台所(朝)


といった感じです。

およその時間表記が柱に必要となる理由は、実写の場合では撮影時間の制約が大きいためです。また、アニメや漫画の場合は、背景画像の差し替えや影のつき方に影響が出るためです。

推理小説などトリック成立の必要上であったり、スマホの画面上の時計表示、室内の壁かけ時計などの時間表記など、分単位で正確な時間設定が必要な場合は、「時間設定表」を別途用意したほうが良いでしょう。

時間設定表とは、時間表記の他に、シーンナンバー、柱の名称、香盤(そのシーンに登場する人物一覧)、シーンごとのあらまし(何が起きるか)を一覧表記したものです。


なお、日にちが変わる場合は、


〇中学校・外観(日替わり)


のように、(夜)や(朝)などの柱を設けずに、(日替わり)と直接表記するのもOKです。


これで柱の説明は終了です。次に脚本の不便で便利な部分、ト書きの説明に入ります。

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物書き work out 獅子戸珊瑚 @screenwriter

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