脚本の書き方を学ぶべきは、「小説家や漫画家のワナビー」である

日テレのシナリオコンテストの件を書き進める前に、少し釘を刺しておこうと思います。


端的に言えば、日本で今後いくら脚本の書き方を学んだところで、脚本家として一財産築くのはもはや無理です。逆に脚本の書き方さえしっかり学べば、小説家や漫画家を副業にするくらいなら誰にでもできるレベルで簡単です。


なぜなら、脚本それ自体は「設計図」にすぎないからです。脚本家はいわばCADオペレーターでしかないのです。書き上げた脚本がどんない素晴らしい出来栄えであろうとも「設計図」だけでは何も建たないように、脚本だけでは、脚本家だけでは、映像にも音にもなりません。脚本家の主な収入源は執筆料ではなく、映像化された際の印税である以上、脚本家個人の力でどうこうする話ではありません。もっと言えば、日本では視聴者が満足できるリッチな映像化を実現するだけの資本力がTV局にも映画会社にも、もうありません。一昔前、日本のテレビ地上波のゴールデン帯で高視聴率をたたき出した日本人ドラマ脚本家がこぞって、海外の動画配信サイトのドラマを書き始めています。これが現実です。


一方で、小説家や漫画家のワナビーの皆さんは、いわば「大工見習い」です。小説やマンガは、それ自体が「完成品」であり、「芸術品」なのです。それらは、脚本のような単なる「設計図」ではないのです。

大工の腕は、数をこなせば、コツをつかめばすぐに上がります。ただ、数をこなす前に「設計図」がまずいと、建てるそばから崩落してしまいます。

ただ、漫画はtwitterで毎日4コマ漫画をアップするなり、小説はwebで連日発表するなり小規模で行う分には、多少「設計図」がよくなくても「完成」させることは難しくありません。オンラインにアップし続ければ、評価は数値で毎日確認することだって簡単にできます。出版社やTV局、映画会社なんてなくても、あなたがマンガや小説の創作活動を行う上で何の問題ありません。


ここまで読んで、それでも脚本の書き方を真剣に学びたい人は、シナリオ・センター、シナリオ作家協会、日テレ学院あたりを受講することをお勧めします。


さて、これからAI化やロボット化が進んで「CADオペレーター」や「脚本家」と、「小説家」や「漫画家」、どっちが先に人の仕事ではなくなるのでしょうか?

答えは簡単ですね、前者のほうが早く人の手から離れます。

現実問題として、すでにハリウッドでは脚本のAI化、エキストラのAIデータ化といった構想への反対活動として、脚本家や俳優たちのストライキやデモが発生しているのです。

ですから、日本に住む私たちは脚本がAI化、つまり多くの人にとって脚本がブラックボックス化する前に、脚本の書き方をしっかりマスターしておくべきなのです。


ここまで読んで、「なるほど」と思った方だけ先へお進みくだだい。



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