(シナリオコンテスト向きの)あらすじの書き方

今回のテーマは、シナリオコンクールにおけるあらすじの書き方です。

あらすじの書き方は、十分に気を付けてください。「あらすじの書き方がダメなせいで落選」という話は、この手のシナリオコンテストではよくある話です。日テレが今回のコンテストであらすじをどこまで重視するかは不明ですが、他のシナリオコンテストにも応募するつもりの人は、必ず【あらすじの正しい書き方】を理解しておきましょう。

あらすじを書く上で、【必ず守るべきポイント】を列挙します。


1.物語の結末まで書くこと。

2.ログラインを冒頭に添えること。

3.あらすじとプロットとの違いを理解して書くこと。

4.時系列で書くこと。


1.物語の結末まで書くこと。

この手のコンテストで最も多い、かつ「致命的なミス」はあらすじで物語の結末を書かないことです。書店で平積みされている推理小説の帯のような「真犯人は誰だ―」のように、結末を秘匿するいわゆる惹句は絶対にダメです。こういうコンテストでは、下読みさんは基本的にあらすじを先に読んでから本文を読みます。つまり、「完全にネタバレ」状態で本文を読みます。コンテストで受賞するためには、「完全ネタバレ状態で読んでも面白いもの」でなくてはいけません。


2.ログラインを冒頭に添えること。

ログラインとは、「誰がどうする話をどういうジャンルで書くか」を一言で述べたものです。たとえば、「女考古学者が古代の秘宝を求めてピラミッドに仕掛けられた様々な謎に挑むアクション」みたいな感じです。

こういうものを書くとつい筆が乗ってしまい、"バイオレンス"だの"ダーク"だの"エログロ"だの"ほのぼの"だの"感動巨編"だのいわゆる「テイスト」にまで言及してしまう人がたまにいますが、作品のテイストを決めるのはあなたのような新人未経験の脚本家の卵ではなくプロデューサーや監督ですので、テイストまでは書いてはいけません。


3.あらすじとプロットの違いを理解して書くこと。

あらすじとプロット、もっといえば梗概や要約などは多くの場合、混同されます。人によって何ならプロアマ問わず、その解釈や定義づけは様々です。ここでのあらすじ問題はそういった話ではなく、「この手のコンテストにおけるあらすじに求められていることは何か?」なので、詳しくは述べません。

まずは、下の2文を比べてください。


a.王が死んだ。間もなく、王妃も死んだ。

b.王が死んだ。悲しみのあまり、王妃も死んだ。


aの文とbの文の違いはわかりますか?aの文もbの文も、王と王妃が死んだ事実は変わりません。違いは「王の死」と「王妃の死」の関係性の違いです。

aの文では、「王の死」と「王妃の死」を時間で紐づけています。

bの文では、「王の死」と「王妃の死」を因果関係で紐づけています。

シナリオコンテストでは多くの場合、本文を短くまとめたものとしてあらすじもしくはプロットが求められますが、基本的にbの文をデフォルトとして書きます。

つまり、2つの事象の因果関係を明確にして書く、というものです。

なぜなら、脚本であれ小説であれ、その面白さの根源は事実の羅列にあるのではなく、事実の因果関係の(あなたなりの)解釈づけにあるからです。


4.時系列で書くこと。

具体的にいうと、本文とあらすじの時系列を合わせて書く、ということです。

例えば、25歳の主人公が仕事をやめ、地方を一人旅した際にふとしたきっかけで14歳の頃を思い出し、旅から戻って転職活動を再開する、みたいな話があったとしましょう。

この場合、編年体のように主人公14才の話からあらすじを書くのではなく、主人公25歳で仕事を辞める→一人旅に出る→14才時の回想→主人公25歳で転職活動開始、の流れで書かなくてはいけません。つまり、あらすじとは、編年体でも紀伝体でもないのです。「ここまでの内容が難しくて理解できない」という人は、あらすじも本文を書き終えてから書くのが良いでしょう。

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