第22話 似た者同士
「なんで神様がいるの?」
今まで黙って包帯を巻かれていた音葉ちゃんが、突然口を開いた。
「お姉さん、神様でしょ?」
私の目を真っすぐキラキラした瞳で見つめてくる。
うーん、少女の夢を壊すのは良くないわよね。
「貴女には私が神様に視えるのね」
誤魔化しているようで誤魔化せていないような。
まぁ、小学1年生に難しいことを言っても理解がしにくいでしょう。
「で、これからどうすんの。行く当ては? あんなら送ってくけど」
小鳥が頭を掻きながら言った。
貴女、ちゃんとお風呂に入ってる?
「ここに置いてください」
「はい? 琴葉ちゃん、正気?」
「正気です」
まさかの発言。
ここに置いてほしいだなんて。
いや、当然か。
傍から見たら、ここはただの裕福な屋敷だもの。
「あのね、ここはまともじゃないの。貴女たち霊が視えるなら、わかってるでしょ」
そこら辺に霊がうじゃうじゃいるだから。
なにかしら察していてもおかしくない。
「はい。人の肉を食べてるんですよね」
「……霊から聞いたのね」
「はい」
どいつよ、告げ口した霊。
無理矢理成仏させてやるわ。
「うーん。ここにいたいなら……二人とも味覚は? 正常なら――」
「食べられるならなんでもいいです」
お姉ちゃん即答。
「本当に? 人肉でも?」
スッと琴葉の横に移動し、問いかける。
少女は真っすぐ聖を見上げ、
「神様」
妹と同じくキラキラした目で見つめてくる。
私、神様じゃないんだけどなあ。
「お願いがあります」
「なに。私、大した力はないわよ」
「両親を食い殺したいです」
とんでもない願い。
びっくりよ。
「……うん、殺してから食べようねえ」
そう言うのがやっとだった。
なんて言えばいいの?
正解なんてわからないわよ。
その後、ここにいたら真っ当な人生を送れないこと。
勉強は教えてあげられるが、学校には通えないこと。
犯罪の片棒を担ぐことになるということ。
一生ここで暮らすことになるかもしれないこと。
音葉ちゃんにもわかりやすいように、嚙み砕いて話した。
「すぐに答えは出さなくても――」
「ここにいさせてください」
即答。
「いや、あのねぇ」
何度聞いても意思は変わらなかった。
二人とも。
音葉ちゃんが本当に意味を理解しているかは怪しいところだけど。
仕方ない。
二人とも面倒をみましょう。
こうして私たちの生活に、彼女たちが加わることとなった。
「賑やかになるねえ」
「そうね」
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