第11話 もう一人 1/2 *小鳥*

*小鳥*


「はぁ?」


 聖をイジメていたもう一人の犯人、イソが日本に観光に来ている。


「どの面さげて来てんだよ」


 普段SNSなんて見ない私。


 彼女のSNSだけはずっと見ていた。


 聖が裏アカを見つけてくれた日からずーっと。


 監視していた、って言った方が正しいかも。


「笑えるんですけど」


 なんの警戒心もなく、【明日は××に行きます!】と居場所を呟いていくイソ。


「馬鹿なんじゃないの」


 裏アカに鍵をつけず、呟いてるし。


 自分が恨まれているっている自覚ないんだな。


 クソが。


 それが昨日の出来事。


 私は彼女が呟いた場所で待ち伏せしていた。


 車は監視カメラがないところに停めて。


 大丈夫、ここら辺のカメラの位置は全部把握してる。


 聖が教えてくれた。


「出てきた」


 ちょっと高級なお店から出てきたイソは、滅茶苦茶泥酔している。


 路上で吐いてるし。


「あっ」


 一緒に来ていた友人たちは、彼女を介抱することなく去って行った。


「見放されてやんの」


 自業自得。


 私にとっては絶好のチャンス。


 フラフラと歩いたイソは、ひとけのない路地で何度も吐いている。


「大丈夫ですか?」


 声をかえるも返答なし。


 吐くのに忙しいらしい。


「これ、どうぞ」


 背中をさすりながら、いつもより睡眠薬を多めに入れた水を手渡す。


「あっ……ありがとうございます」


 チラっとこちらを見たイソは一瞬警戒心を顔ににじませたが、すぐに表情を和らげ蓋の空いたペットボトルを受け取った。


 人畜無害そうな顔をしている。


 これ、聖の言葉ね。


 幼い顔立ち、昔はコンプレックスだったけど、狩りを始めてからは有効活用しまくり。


 この顔に産んでくれたことに関しては親に感謝。


 そんな顔を考えていると彼女が吐しゃ物まみれの道に倒れ込みそうになったので、慌てて腕を引っ張る。


 汚いカラダを車に乗せたくないし、そもそも運びたくない。


 ぐっすり眠った彼女を車にもたれさせ、吐かれて汚れたら嫌なのでブルーシートを敷いてから後部座席に放り込んだ。


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