第12話 もう一人 2 *小鳥*

 ここからはいつも通り。


「ただいま!」


 元気よく帰宅すれば、聖が微笑んでくれた。


 今回は聖の恨みを込めて、いつもより多めにグサグサ刺しまくり。


 私の大切な人を傷つけたヤツを許すもんか。


「あちゃー血まみれ」


 防護服着てるからいいんだけど。


「綺麗よ」


 帰って来てから初めて聖が言葉をかけてくれた。


 嬉しくって微笑み返す。


 彼女も笑ってくれた。


 美人は三日で飽きるって世の中では言うよね。


 そんなことないよ。


 全く飽きない。


 飽きる人は目が腐っているんだと思う。


 作業がひと段落したらお食事。


 聖はいない。


 彼女は児童養護施設に行った翌日から一日一食生活。


 しかも外で食べるようになってしまったから、毎朝血と心臓をトレーに載せて持って行くの。


 数時間後か翌朝お皿を下げに行くと、綺麗になくなってるんだ。


 あと、後片付け、手入れ、消耗品の調達は私の役目になった。しなくなった。


 馬鹿だけど、聖がやり方を教えてくれたからできる。


 わからなくなったときは、『小鳥へ』と聖が書いてくれたノートを見る。


 そんで、作業再開。


 正直聖より雑だけど、なんとかなってる。

 

 消耗品の調達ルートもいくつかちゃんと教えてくれているから、大丈夫。


 えっ、手間が増えて大変じゃないかって?


 全然手間じゃない。


 傍にいてくれるから。


 いつだって。


 寝る前は、最近のルーティンになっている、冷凍していた血をウイスキーに混ぜて飲む。


 お酒も飲めて血も飲めて最高。


「よーし、寝よっ」


 寝室は冷房をガンガンにかけてるから滅茶苦茶寒いんだよね。


 だから、寝袋に入って何枚もの毛布にくるまって寝てる。


「おやすみ」


 ベッドの聖に声をかけ、目を閉じた。


**

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