第20話「一人一人」か「一人ひとり」か?
某全国新聞の第1面に、自分の頭の中で長年
その部分を、以下に引用します。
「……。一人ひとりの意思を確実に生かすために、医療提供体制を充実し、移植医療への理解を広げることが大切だ」(傍点は引用者=私)
本題は「一人ひとり」なのですが、その前に、「充実し」が気になります。「充実させ」とすべきではないでしょうか?
さて、まだ若い頃、会社の先輩が業務文書に「一人ひとり」と書いているのを見て、奇妙だと感じました。
同じ言葉の繰り返しなのに、なぜ漢字と平仮名を組み合わせるのでしょうか?
しかし、あまり気に留めることなく、自分はずっと「一人一人」と書いてきました。
学校で、同じ文章の中にある同一語の表記は統一すべし、と習った記憶があります。例えば、ある個所では「子供」と書き、別のところでは「こども」と書くのは、特に表記方法を変えることに意味を持たせるのなら別ですが、通常はよろしくないと言われたように思います。
ネット検索すると、「一人一人」、「ひとりひとり」、「一人ひとり」、どれを書いても良いとあります。ただし、公用文については、現在は「一人一人」とするように決められているようです。(ネット情報なので、正確性については保留)
国語辞典で「ひとりひとり」を引いて見ると、次のように出ています。
■『新明解国語辞典 第八版』:表記「一人一人」。「ひとりびとり」とも。
■『広辞苑 第七版』:表記「一人一人」。「ひとりひとり」とも。
両者とも、「一人ひとり」は出ていません。
さらに不思議に思うのは、類似の言葉です。
「一つひとつ」、「一個いっこ」、「一鉢ひとはち」、「一体いったい」……などは、見た記憶がありません。
なぜ、「一人一人」だけは、「一人ひとり」と書く人がいるのでしょうか?
「いちにんいちにん」と読まれるのを防ぐためでしょうか?
そう言えば、同じ漢字と平仮名の組み合わせでも、「ひとり一人」は見た記憶がありません。
「一人一人」、「ひとりひとり」、「一人ひとり」のどれを選ぶか、書き手の裁量に委ねられているらしいですが、「一人ひとり」を見るたびに、尻がむず痒くなるような気分になります。
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