第18話 違和感がある文
今回取り上げるのは、日本大学アメフト部大麻事件に関する記事です。
文章は、「日本大学がアメリカンフットボール部員の違法薬物所持事件で揺れている。」で始まります。
私が違和感を感じるのは、それに続く下記の文です。
「昨年秋以降、部員が大麻に関わっているとの情報に複数回接していたが、報告・共有体制の不備や危機意識の希薄さが問題を拡大させた。」
違和感を感じる要因は二つあります。
まず、一文なのにもかかわらず、前段と後段の主語が違うことです。
「昨年秋以降、部員が大麻に関わっているとの情報に複数回接していたが、」の部分は、主語が省略されていて、少し戸惑います。組織としての日大なのか、それとも、学長や副学長など、特定の人を指すのか?
しかし、冒頭に掲げた文の続きと考えれば、主語は「日本大学」だと察しられます。
ところが後段の主語は、「報告・共有体制の不備や危機意識の希薄さ」であると考えざるを得ません。
私が受講した、プロの作家による「小説の書き方」的な講座でも言われましたが、一つの文の中で主語が変わるのは、読者にとって読みにくくなる場合が多く、好ましくないと思います。
もう一つの要因は、この文の論旨の流れに関するものです。
「(大学は)昨年秋以降、部員が大麻に関わっているとの情報に複数回接していた」
↓
「報告・共有体制の不備や危機意識の希薄さが問題を拡大させた。」
論理が少し飛躍してはいないでしょうか。間に、もう一つあった方が、流れが分かりやすく、円滑になると思います。
たとえば以下のようにです。
「(大学は)昨年秋以降、部員が大麻に関わっているとの情報に複数回接していた」
↓
< にもかかわらず、問題への対応は常に後手に回った。>
↓
「報告・共有体制の不備や危機意識の希薄さが問題を拡大させた。」
私が考えた改善案は、以下のとおりです。
【改善案】
昨年秋以降、部員と大麻に関する情報に何回か接していたにもかかわらず、大学の対応は常に後手に回り、問題の拡大を許した。その背景には、情報の報告・共有体制の不備や希薄な危機意識があった。
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