第15話 小中学生的な文

 本エッセイを書くのは久しぶりです。

 9月末が締め切りだった「第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」への応募作、「うつぼかずらの夜 ~美しくて醜い虫たちの標本箱~」の執筆・推敲に専念していました。もちろん、もしないと思います。


 その間も、毎日読む新聞で、気になる箇所はいくつもありました。第11話で取り上げた「~となる」は、新聞記者にも蔓延しつつあるようです。


 さて、今日取り上げるのは、パレスチナ自治区ガザとイスラエルを巡る武力紛争に関する記事です。

 その中に、次のような一文がありました。


「イスラエルは近く開始するとみられる地上作戦で、ガザからハマスの完全排除を狙っている。」


 前半は良いとして、後半部分はちょっと違和感を覚えませんか? もちろん、言わんとしていることは十分理解できますが。


 なぜ違和感を覚えるのか?

 「ガザから」は、純粋に文の構成から言うと、「狙っている」に係ってしまいます。しかし、それでは意味が通じません。

 次のどちらかにすべきではないでしょうか?


1)「……、ガザからハマスの完全排除を狙っている」

2)「……、ガザからハマス完全排除を狙っている」


 1)は「の」が短い間に二つ続くので、2)の方が良いかもしれません。

 

 上記で指摘した誤りは、文章を書くのにまだ慣れていない小学生・中学生がやりがちです。あるいは、大人でも、文章を書き慣れない人がこのような文を書くことがあります。


 一流新聞の記者といえども文章力が低下してきていることを、ひしひしと感じる今日この頃です。


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