第5話 中国人の人名表記

 今回は、中国人の人名表記に関する話題です。

 これは、おかしな文章というより、新聞社における、文章表記に関する決まり事の問題だと思います。

 なお、私が購読している某全国新聞だけ読んでの意見です。他の新聞がどうしているのかは、確認していません。


 さて、例えば、中国の現国家主席について、某紙は「習近平シージンピン」と表記しています。

 他の中国人名にもほとんど、中国語読みらしきフリガナが振ってあります。


 いったいこれは、何のためのフリガナなのでしょうか?


 私たちが日ごろ習近平氏を呼ぶ場合、「シューキンペイ」と、漢字を日本語読みします。テレビの報道などでも、同様です。


 シージンピンと呼ぶ人は、中国出身者か中国語に達者な人くらいでしょう。つまり、日本ではごく少数だと思われます。


 中国語読みのフリガナを振っても、別に悪いということはありません。

 しかし、困るのは、中国人の氏名の中には、日本人にはあまり馴染みがない漢字もあり、どのように日本語読みしていいのか分からない場合があることです。


 例えば、今話題になっている前国務委員兼外相「秦剛チンガン」氏です。

 日本語読みは「シンゴウ」ですが、「秦」をどう読めばよいか、ちょっと迷います。

 ちゃんと世界史の勉強をした人は、「秦の始皇帝」の「秦」だから、「シン」だろうと察しが付くでしょう。しかし、「ハタ」かな? と考えたり、字が似ている「泰」と混同し、「タイ」と読んでしまうかもしれません。


 秦剛氏などは、まだ読みやすい方です。

 例えば、中国共産党の中央政治局委員を見ると、どう読んでいいかよく分からない、あるいは読み方に自信が持てない人が結構います。


 王滬寧、丁薛祥、尹力、李書磊、何衛東、何立峰、張又侠、陳敏爾、袁家軍、黄坤明


 まあ、教養が高く、漢字の知識に富む人には何でもないのかもしれませんが、私などは、とてもとても……。


 今回私が言いたいのは、役に立たない中国語読みのフリガナを付けるより、難読漢字に日本語読みのフリガナを振ってほしい、ということに尽きます。

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