第2話 「足元」とは何ぞや?

 経済面で時々見かけるのが、「足元」という単語です。


 以下は、中国経済に関する記事にあった文です。


「『環境はより複雑で厳しくなり、国内経済の発展が圧力を受けている』。国家統計局の幹部は××日の記者会見で、の景気動向を表現した」(傍点は引用者=私による)


 ここで使っている「足元の」は、要するに、「現在の」あるいは「直近の」「最近の」という意味でしょう。

 ならば、「現在の」などと言えば済むことです。


 ちなみに、『新明解国語辞典 第八版』、『広辞苑 第七版』いずれも、「足元」の語義として、「最近」や「直近」は載せていません。

 用例としては、「足元が暗い」「足元を固める」などが載っています。

 ただし、ウェブ上の国語辞典に、語義の8番目くらいに「最近」「直近」と出ているのを見つけました。


 「足元」は、経済担当記者が使いたがる傾向があるようです。同じ新聞の中でも、経済面以外では、見かけません。

 一種の経済用語なのかもしれません。ですから、これが経済紙ならいいと思います。


 しかし、不特定多数の読者を想定している一般紙は、できるだけ一般的な、日常使われている用語を使うべきだと、私は思います。

 

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