エッセイ「新聞を添削する!」

あそうぎ零(阿僧祇 零)

第1話 二通りに解釈できる文

 主要20か国・地域(G20)財務省・中央銀行総裁会議がインドで開幕したことを扱った、某大手全国紙の記事です。

 なお、記事の部分が見立つように、カギかっこに入れます。


「 議長国のインドは、9月に開催されるG20サミットに向けて、一定の成果を上げたい考えだ。」


 上記に続くのが、次の文章です。


「だが、ロシアやインドと対立関係にある中国も構成国となっており、合意を得るのは難しい。」


 中国と対立関係にあるのは、「インド」でしょうか「ロシアとインド」でしょうか?

 上の文章からは、どちらにも解釈できますね。


 もちろん、多少でも現今の国際情勢に関する知識があれば、中国と対立関係にあるのはインドで、インドとロシアはむしろ友好関係にある(ロシアはインドにとって主要な武器輸入元国)だと分るはずです。そうすれば、上の文章も正しく解釈できます。

 言い換えれば、「ロシア」と「インドと対立関係にある中国」が並列関係です。


 しかし、二通りに解釈できるような文は、よい文とは言えません。


この場合は、「だが、ロシアや、インドと対立関係にある中国も……」と句点を一か所入れるだけで、二通りに読める問題は解消すると思います。


 新聞記者の皆さん。文章のプロなんですから、しっかりして下さいよ!


 




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