第6話 道具が道具を生むという珍奇な現象

 さてさて、みなさんは日頃から貨幣をどのように管理されているでしょうか?

 え?

 宵越しの銭は持たない?

 お金なんざ使ってなんぼ?


 ああ、そういう方もいらっしゃいますが、大抵の場合は銀行などの金融機関に貯金されてますよね。

 最近だと電子マネーやポイントにバケてしまっているケースも有るようですが…タンス預金を除けば、何がしかの金融機関 (モドキも含む) に貨幣は預けているものです。


 預けた貨幣は金融機関の資産運用の結果、多少なりとも『利息』が付くのですが…。

 不思議な話ですよねぇ、道具を預けると『道具がついて来る』のですから。


 お金を預けたのだから、利息が有って当然と普通に考える人は多くあり、お金を借りれば、借りた金額とは別に『利子』を払わなければならないというのも、商取引として当然のように認識されている。


 同じように株取引を行えば差損で利益が生まれたり、配当という形で利息を受け取ることも出来ます。

 ここら辺りは最近流行りの「NISA(少額投資非課税制度)」を活用して投資信託をしましょう!的な話と繋がってくるのです。


 さてさて、ここまで来たところでお題の登場です。

 道具屋に金槌を預けたところで、金槌は増えるわけではありません。

 しかし、貨幣を金融機関に預けると『利息』なり『配当』なりという追加の貨幣がついて回ります。


 貨幣が恐ろしいところは、このカラクリにあります。


『貯める・増える』という、この甘美な響き。

 働かなくても、貨幣が増えるという誘惑に誰もが心動かされることでしょう。

 たとえ世間が甘くない事は解っていても、人々は誘われるままに、沈んでいくのです、這い上がれないあり地獄のように…底なしのタール沼のように。


 それでは、甘美な響きの本質は何なのか、次回はそれについて考察してみたいと思います。

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