あふれ出る詩

四十年ほどことばを忘れていた

おりのように蟠った「こ」も「と」「は」も

硬い土塊つちくれとなって溜まり積み重なっていた


それが、何がきっかけだったのかわからない

萎縮してカチカチ コチコチな塊が

いつのまにかゆるゆる ぐずぐずに溶け出して

気がつけばことばは溢れていた


かつては肩甲骨あたりからわき出ていたそれは

今では首のうしろあたりで渦巻いている


ぐるぐる ぐるぐる 螺旋のようにまわって

いつか その軌跡から飛び出すときを待っている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る