第17話 恋する才能がない、んじゃない!

 「あの俺!さけられてるんだと思うんだけど、話を聞いてくれないか!

きみに会いたかった!

俺、ずっと、きみのこと気になってたんだ!

バス停で毎朝見かける きみのこと。

ずっと話したいと思ってた!

俺、恋したことなかったから、恋がどんなんかもわかんなかったし、でも今、はっきりとわかったんだ!

俺、ずっときみに恋をしていたんだって!!

今、気づいたけど、きみのことが好きなんだって!!」


うっわ~~~~、ヤベ~~!!

心臓バクバクしてる!!


彼女の手首を強く握ってることに気づいて、手を放した。


「あ、ごめん!痛かった?」


「あ、いえ……大丈夫です。

今 恋したことないって言った?」


えっ?

言ったのかな?

ってか、興奮して、何を言ったか覚えてね~!!


「あ、……うん、俺、えっと……

たぶん、恋する才能がまったくないみたいで……今まで誰も好きになれなかったんだ……」


「恋する才能……」

彼女は、小さな声で言った。


「だから、この気持ちが恋なのか?って、正直わかんねーんだけど、とにかく、きみのこと好きなんだって思ったから」


「私も、恋される才能がないので、自分に自信もないし……

だけど、私もあなたのこと、ずっと気になってました。

たぶん、ずっと好きでした……」


えっ?

えっーーーーーーーーーーーー!!!!

マジか!!

まさか、まさかの両思い!!!!


神さま!!ありがとうございます!!

恋する才能がないって思ってたけど!

恋するべき人に出会えてなかったってこと?

才能がないんじゃなかった!!

今!まさに、たった今、恋する才能が開花しましたーー!!



「お~~い!!松木~~!話は終わったか~~?

とりあえず、4人で予約入ってるから、店入んぞーー!」

茂森さんが大きな声で言って、カノジョさんが笑いながら手招きした。


「行こう」

そう言って、彼女と手をつないだ。


まだ、名前も知らない この人と、俺の初恋が はじまる。

の かな?



                ♡おわり♡

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恋する才能が、ない 彼方希弓 @kiyumikanata

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