第13話 いない?
土日、バイトしていても、俺はあの人のことばかり考えていた。
明日、あの人はいつも通りにあのバス停で、いつも通りの位置で並んでいるだろう。
俺もいつも通りなら、俺の5人前辺りにいるはず。
「この間は、なんか、デリカシーなくて、すみませんでした!」
って、言ってみる?
いやいや、誰だよ?って感じだよな。
こっちは、あの人のことを、勝手にいつも見かける人って思っていたけど、あちらは、たぶん俺のことなんか知らなくて、突然ナプキンを渡そうとしてくるヘンタイ野郎って思っただろうし……
最善は、目を合わせないようにして、何事もなかったようにすることだな。
月曜日
俺は、いつも通りの時間にバス停に着いた。
こちらの存在を気づかれないようにしつつ、ちょっと横にずれて前の方を見た。
ん?
ん、ん?
いない?
いないのか?
また、寝坊して、俺よりも遅いってことある?
そう思って、後ろを振り返ってみたが、俺のうしろにいたのは、いつもの男子高校生だった。
すぐにバスが来て、乗り込んだ。
火曜日、水曜日もあの人はバスに乗らなかった。
いや、マジで、どうした?
俺、大学入ってから毎朝毎朝あのバス停で見かける人だったのに。
バスの時間を変えた?
バスに乗らずにチャリ通にした?
引っ越しした?
って、さすがに引っ越しはないだろうけど……
この時間のバスに乗らないのは、俺と会いたくないからか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます