第28話 目立つのかな

 佳奈は真面目に悩んでいた。だって私たちって、あまりにも差があり過ぎるから、釣り合わないのかなって・・・・・


 私って、確かにちょっと派手目に見えるのかもしれない。自分としては、学校ではちゃんと真面目にやってるし、それほど目立ってるとは思ってないんだけど。


 髪だって茶髪に見えるけど、ブリーチしたりカラーリングしている訳じゃないよ。中坊の時にはまだ若かったし、ちょっとヤンチャしちゃってたから、その時はずっと髪もブリーチしてた。


 でも中3の秋頃からは、もう10ヶ月位ブリーチだってしていないし、中村高校に入学する前には、ちゃんと色戻しで髪を黒くしたんだよ。


 でもね、少しずつその黒色が落ちてきちゃって、その後には黒の色入れはしなかったら、黒から濃い茶色、そして明るい茶色に変わってきちゃったみたい。


 うちの高校って進学校だから、校則は細かいし、服装にもすごく厳しいの。だからかな、指導担当に目をつけられたみたいで、放課後に職員室に来るよう呼ばれちゃったの。


 「小林さん、わざわざ申し訳ないね。何か最近はちょっと元気がないように見えるんだけど、どうですか?勉強の進み具合なんかで困ってることはないかな?」


 指導担当って年配の男の先生だけど、みんなに優しくて評判が良い先生なの。呼ばれたのは、絶対に髪の色のことだなって思っていたけど、なかなか本題には入らない。もう分かってるから早く本題に入って欲しいよ。


 「ところで小林さん、中学校から高校生活に変わって、なんか体調が悪いなんてことないのかな?」


 「特に勉強のほうは問題ないですし、体調もいつも通り元気ですけど、どうしてですか?」


 「いや、もしかしたら体調が悪くて薬でも飲んでるのかなって、先生そう思っちゃったんだよ」


 「私、薬なんか全然飲んでませんけど・・・・・」


 「いや、たぶんボクの気のせいかもしれないが、小林さんの髪の毛の色が、だんだん金髪に近づいているような気がしてね。もしかしたら、体調でも悪くて薬を飲んでるせいなのかなって、思ったものだから」


 「先生、この私の髪の毛の色って、ブリーチしたりしている訳じゃないんです。元々が明るい色なんですけど、入学時に一応黒に染めたのが、徐々に色落ちしてきたみたいなんです」


 「おうそうなの?いや、先生はね、小林さんが髪の毛を脱色したりするような悪い子じゃないって分かってるよ。ただもし他の先生が誤解したりするといけないから、ちょっと聞いてみただけなんだよ」


 もう面倒くさいなあ、勘弁してくださいよ、明日からは黒く染めてきますから・・・・・指導担当の回りくどい優しさがやたらに重い。


 「ありがとうございます。あのやはりちょっと目立つのなら、今晩にでも黒く染めようと思います」


 「いやいや自毛なら、ボクはそのままで良いと思うけどね。でも小林さんが黒く染めたほうが良いと思うなら、それもひとつの考え方だね」

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