第8話 嫁さん候補

 今日はオレが友達と出かける予定もないから、3人でショッピング。でもオレはあんまり行きたくないんだよ。


 なぜって、母さん一緒に出かけるときって、オレに手をつないでくるんだよ。 恥ずかしくってかなわないよ。オレもう高校生なんだぜ。


 「母さん、恥ずかしいからやめろよ」


 「いいじゃない。親子なんだから手をつなぐくらい。風ちゃんはイヤなの?」


 「イヤじゃないけど、恥ずかしいじゃん」


 「母さんは、風ちゃんと手をつないで歩くの好きよ。子供の時からそうしてるもの」


 にっこり微笑まれちゃうと逆らえない。母さんの笑顔に勝てるわけないから。


 「風ちゃん、ご飯よ」


 母さんが作る料理は何でも美味い。外で高い料理を食べても、やっぱり母さんの料理には敵わないんだ。


 オレってもしかしたらマザコンなのかな?恥ずかしいけど1番好きな女性は母さんなんだ。2番目に好きなのは、やっぱりアイツかな。


 朝食はハムエッグと、ほうれん草のソテーと冷えたカボチャのポタージュ、それにバタートースト。オレが好きなコーラもテーブルに並んでいた。


 朝食を済ませて部屋に戻ろうとすると、母さんが声をかけてきた。


 「風ちゃん、今日のお昼は買い物がてら外で食べるつもりだけど。一緒に行くでしょう?」


 「おい母さん、風太だってもう高校生なんだから、日曜にぐらい自由にしてやらないと、デートもできないぞ」


 「あら風ちゃん、今日はデートなの?」


 母さんににっこり笑って聞かれちゃうと、なんか照れちゃうよ。


 「オレは、別にデートなんかしないよ」


 「良かった、じゃあ一緒に出かけられるわね。でもデートの時はちゃんと話してね」


 「そういえば風太、あの可愛い娘さんはどうしてる? たまにはデートもしなくちゃ振られちまうぞ」


 「父さん、誰だよ? 可愛い娘さんって?」


 聞き返してしまった。本当は答えはわかっていたんだけど・・・・・


 「水奈ちゃんに決まってるだろ。水奈ちゃんは、風太の将来の嫁さん第一候補だからな」


 「そうか、水奈ちゃんね。 あの娘可愛い娘だものね。母さんも水奈ちゃんには敵わないわ」


 「水奈ちゃんは可愛いし、性格もいいし、あの娘が風太の嫁に来てくれたら嬉しいよな」


 「パパ、大丈夫よ。小さな頃から二人は結婚するって約束してるんだから 」


 「なんだよ、母さんまでからかうなよ」

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