第7話 日曜日

 今日は日曜日なのに、いつも通りの7時に目が覚めてしまった。 習慣って恐ろしいよな。


 メチャ腹が減ったけど朝ご飯にはまだちょっと早い。2階の部屋から出て1階のキッチンに向かった。 もちろん目指すのは冷蔵庫だ。


 冷蔵庫を開けると、ヒヤッとした冷気が快い。いっぱい詰まった宝物の中から、牛乳と半分くらい残ったままラップがかかったロースハムを持ち出した。


 テーブルに座ってハムのラップを外し、でかいまま一気にかぶりつこうと思ったけど、母さんに怒られるから包丁で3cm位の厚さに切り分け、残りを冷蔵庫にしまった。


 さあ、お食事の開始だ。 牛乳は面倒だからパックのまま一気飲み。どうせ全部飲んじゃうからいいよな。


 ハムの塩味が美味い。 ちゃんとした母さんの料理はもちろん美味いけど、こういう内緒のつまみ食いって格別だよね。


 冷たい牛乳が食堂を通り、胃まで落ちていくのがわかる。 女の子はこんなことできないだろうな。男でよかった。


 あっという間の仮朝食を済ませ、再び2階の自室に戻った。ベットに転がり大の字で伸びをする。日曜日の開放感ってたまらない。学校も休みだし、今日は何しようかな・・・・・


 平日と土曜日は7時から朝食を食べるが、日曜日はちょっとゆっくりして8時からが定刻になっている。


 学校のある日は7時きっちりに目覚ましが、けたたましい音をたてる。 しかしそんなことでビビるオレじゃない。目覚ましを叩くように止めてもう一眠りしようとすると、優しい母さんの声がかかる。


 「風ちゃん、ご飯よ」


 ちぇっ母さんには逆らえないんだよ。だってさオレ、マザコンみたいで恥ずかしいんだけど、いまだに母さんのこと大好きだから。


 母さんは39歳になるけど、見た目はまだまだ若い、せいぜい20代後半くらいかな。 一緒に買い物に出かけると、よく姉弟に間違われるくらいなんだ。


 もちろんメチャ美人だよ。オレの理想のタイプなんだ。 もちろん母さんには言ってないけどな。だってそんな恥ずかしいこと言えるわけないだろ。


 親父は43歳の公務員。今は真面目な顔して課長さんやってるらしいけど、昔は結構ヤンチャだったらしい。 もちろんイケメンだよ。


 最近は近所のおばちゃんたちに、出会うたびに言われるんだよ。


 「風ちゃん、お父さんにそっくりね」


 親父に似てるって言われると、恥ずかしいけど嬉しいんだ。でも本当は母さんに似たかったけどな。

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