第5話 心揺れて
最近、友達からとってもショッキングな話を聞いちゃったの。
まだ高校に入って1ヶ月しか経っていなのに、もう風太くんにファンクラブができちゃってるみたいなんです。
もちろんアイドルじゃないから、ちゃんとしたものじゃないみたいだけど、風太くんを大好きな女の子が何人か集まって、いろいろな情報交換をしてるみたい。
『風クラブ』なんて勝手にネームまでつけて、放課後や昼休みに集まって風太くんの話をしてるみたいなの。
別に風太くんにファンクラブができたって、水奈と風太くんの仲が変わるわけじゃないんだけど、本当は水奈だけの風太でいてほしかったから、何となくイヤなの。
水奈の中学からの仲が良い友達も、風クラブに入ってるみたいで、その子から聞いたちゃったんです。
『亜紀』ちゃんっていう、頭がすごく良くて性格も優しくて、男の子だけじゃなくて女の子にも人気がある、とっても可愛い子なの。
もちろん中学時代には、まるでアイドルみたいに男の子にすごい人気だった。でも亜紀ちゃんから彼氏の話は聞いたことなかったのに。
すごく真面目で、男の子はちょっと苦手みたいで、今までは男の子の話なんか全然聞いたことなかった。
その亜紀ちゃんが、風太くんのこと思っていたなんて、結構ショックたった・・・・・
冷静に、客観的に、亜紀ちゃんと水奈を比べてみると、水奈、悲しいけど無理。亜紀ちゃんには全然敵わないの。
だって頭は学年でいつも10番前後、風太くんと同じくらいの成績なの。
身長は水奈が163cmで亜紀ちゃんが155cmだから、水奈よりは小さいけど。
顔がアイドルの誰かに似てる。ううん、下手なアイドルなんかよりは可愛いの。
イヤだなあ。亜紀ちゃんが風太くんのこと好きだったなんて、いつも一緒にいたけど全然気が付かなった。
金曜日のお昼休み、女の子の仲良しグループが集まって、一緒にお昼ごはんを食べてる時だった。
彼氏がいない由美ちゃんが、お弁当の玉子焼きをフォークで突きながら、ため息ついたの。
「由美どうしたの? なんか変だよ、珍しくため息なんかついて。大好きなお弁当時間なのに」
「なんかね、ちょっと食欲ないんだ」
「由美、おかしいよ。いつもメチャ大食いなのに。ねぇ、何かあったの?」
「あんまり言いたくないんだけど。由美ね、シクっちゃったんだ」
「由美、何よ?シクったって?どうしたのよ?」
「もう葵ったら鈍いんだから。しくじったってこと」
「由美、何をしくじったのよ? ねえ、ねえ、仲間じゃない。ちゃんと話しようよ」
「あのね、告ったけどダメだったの」
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