第4話 いつも想ってる

 もう高校に入学して1月以上経つ。

 今のところは授業にも慣れてきたし、女の子の親しい友達も何人かできて、高校生活を満喫している。


 でも、同じクラスなのに、風太くんとは前みたいにあまりおしゃべりもできないし、ちょっと寂しいのが不満かな。


 水奈はソフトボール部に入ったの。

 うちのソフト部は、県大会でも何度も優勝してるくらい名門なの。


 だから部員も多くて、全部で50人以上はいるのかな。すごいでしょう。


 なぜ、ソフト部に入ったのかって?

 仲がいい友達がソフト部に入ったので、一緒に誘われちゃったの。


 水奈はソフトボールの経験もないし、何回かは断ったんだけど、結局根負けして入部しちゃった。


 まったく自信はなかったんだけど、水奈は運動神経は結構良い方みたいで、1年生の中でなんと1人だけレギュラーになっちゃった。


 友達からもほめられたけど、あんまりうれしくない。本当はね、風太くんにほめられたいの。


 でも風太くん、高校では全然知らんぷりなの。だから同じ中学から、この高校に入った友達も、水奈と風太くんが付き合ってるなんて思っていないみたい。


 小さい頃からずっと一緒で、ただの仲がいい幼なじみって思ってる。


 水奈と風太くん、これで付き合ってるって言えるのかな?それに風太くん、水奈のこと彼女と想ってくれてるのかな。


 もしかしたら、風太くんも水奈のことを仲が良い幼なじみと、想ってるのかもしれないな。


 水奈はね、小さい頃から風太くんだけを想ってるのに。分かってくれてるのかな。


 テレビでドラマを見ている時、ふと風太くんのことを思い出したりするの。


 ドラマの中での、カッコいい主人公とその彼女の出会いや愛のもつれ、そして切ない別れなど、つい風太くんと水奈に置き換えて見てしまう。


 素敵なシーンを見るたびに、水奈も風太くんにあんなふうに愛して欲しいなって、思っちゃうの。ちょっと変かな?


 高校の行き帰りでも、手を繋いでいるカップルを見ると、羨ましいし妬けちゃうんだよ。どうして水奈と風太くんは、いっつも離れてるのかな・・・・・


 自分で考えてみると、いつも風太くんのことを想ってるんだな、と我ながら再確認しちゃいます。


 女の子同士のお喋りも、やはり一番話しが盛り上がるのは恋バナかな。結構、お友達のみんな頑張ってるみたいなんだ。


 何人かで話していても、半分以上は彼氏がいるの。高校生だから当然かな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る