第2話 ずっと一緒に

 結局、風太くんが、どこの高校を受けるのか聞けないまま受験することになった。


 でもね、高校入試の試験会場に行ったら、同じ教室に風太くんが居たの。すっごく嬉しかった。


 かなり学力レベルが高い高校だったから、私は、必死に受験勉強してやっと合格できたの。もちろん、風太くんは楽々合格したみたい。


 風太くんって、すごく頭がいいんだよ。中学校では、いつも学力テストをやっても、学年で10位までに必ず入ってるの。私のほうは、恥ずかしいけどいつも30位前後が定位置だった。


 それに風太くんは、スポーツも特に決まったクラブには入ってないけど、何をやっても万能なの。


 小学校までは身長は私と同じで150cm位だったけど、中学でぐんぐん伸びて、3年の時には180以上に。私も、結構伸びたけど163cmでストップしちゃった。


 もう1つだけ言っておくけど、風太くん、顔もスタイルも良いの。私には似合わないくらいカッコいい。


 だから、中学の時も女子学生の中では、風太くんのファンがいっぱいいて、イヤになっちゃうくらい。


 でもね、とりあえず同じ高校に入学できてとっても嬉しかった。


 高校の合格発表の日、風太くんに久しぶりに電話してみたの。ちょっと緊張してドキドキしちゃった。


 「もしもし・・・・・」


 「はい・・・・・」


 「風太くん? 水奈です」


 「いちいち名乗らなくてもわかるよ。母さん以外で電話してくるのは、水奈くらいだからな・・・・・」


 「えーっ、風太くん、他の女の子には電話番号を教えてないの?」


 「ああ興味ないし、面倒くせえからな・・・・・」


 私ったら、なんか嬉しくて、ついニコニコしちゃった。


 「あ、風太くん合格おめでとう!」


 「なんだよ、そんなことでわざわざ電話してきたのか」


 怒ってるわけじゃないのはわかるよ。だって風太くん、声が少し笑ってる感じなんだもの。


 「また同じ高校に行けるね。 風太くん、どこ受けるのか私に全然話してくれないんだもん」


 「おまえ、バカじゃねえの。自分で中村高校を受けるって、オレに言ってたじゃん。オレは水奈と同じ高校に行くに決まってんだろ」


 風太くんの話を聞いていて、急に胸の奥が熱くなった。ちょっと泣きたくなっちゃった。


 「おい、水奈、何黙ってんだ」


 「ううん、何でもないよ。同じ高校に行けて嬉しい」


 「水菜、これから高校の3年間ちゃんと勉強しとけよ。じゃないと今度は同じ大学に行けねえぞ」


 「う、うん、がんばるよ」


 ちゃんと覚えてくれているんだ。

 ちゃんと忘れずにいてくれたんだ。


 風太くん、ずっと一緒にいようねって言った小さい時の約束を・・・・・


 風太くんの気持ちを疑っちゃった自分が、とっても恥ずかしかった。

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