今日も貴女はとっても綺麗!

ㅤこんな夜は、貴女ならどう過ごすだろう。


ㅤきっとまだ起きていて、眠気を覚ますために珈琲を淹れて、明日の仕事の用意をするかもしれない。それとも、ふらりと立ち寄った書店で買った本を開いてみるだろうか。もしかしたら、もうベッドの中で夢を見ているかもしれない。そのどれもが鮮明に想像できて、私が貴女のことをなんにも知らないということを突き付けられているみたい。

ㅤまったくほんとに嫌になる。


ㅤだけどもきっと、貴女はこんな夜にも、グラスの底で錠剤を溶かしたりなんかしない。オレンジのシュワシュワに溶けて沈んだそれはマシュマロみたいで、貴女が食べていたパフェを思い出した。

ㅤやっぱり私って駄目みたい。貴女にはなれないみたい。


ㅤ昨日は、貴女とお揃いの香水を買ってみた。香水の付け方なんてわからないから、ネットで調べて見様見真似で付けてみる。だけども貴女はきっとそんなことはしない。自分の魅せ方をとってもよくわかっている貴女だから、香水の付け方だって心得ているはず。だけどもお揃いって響きがなんだか素敵で、付けすぎてしまった香水も気にならなくなった。


ㅤ貴女は紺が好きだと言うので、深い夜の色がとてもよく似合うと思って、私には似合わないのだけど、だけどほら鏡に映る姿はまるで、まるで? ええほらまったくもって! 貴女そのものでしょう! 赤みがかった茶色に染めて、毛先を巻いた髪も、背伸びしたヒールも、ええ、もちろん。貴女とお揃いなんです。


ㅤね、どうしてそんな顔で見るの。貴女がどんなに変わってしまっても、私が大好きな貴女はこうしてここに生きている。


ㅤそれってとっても素敵なことじゃない?

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