夏の終わり
瞼が重い。耳馴染みのある車内アナウンスが聞こえる。
手元のスマホを見ると夜の九時を越えていた。寄席を出て乗り換えて。ようやくいつもの阪神電車に乗れたからだと思う。気が緩んで寝てしまったらしい。
夜の窓を覗く。青く発光する看板に、白い文字で
流れる街灯をぼんやり眺める。この夏は盛りだくさんだった。
いっぱい笑った後に食べた御座候、美味しかった。明石海峡大橋で見た夕日はほんとに綺麗で。苦しいこともあったけど、落語で誰かを笑顔にした時は心の底から嬉しかった。お姉さんにも改めてお礼をしないと。
これからどんな景色と落語と出会えるだろう。
秋が楽しみになってくる。夏の終わりはもう怖くない。哀しくなんかない。未来が楽しみで仕方ないから。
もっと落語を好きになりたい。みんなのことも。自分も。
まずは自分を褒めてあげよう。今日頑張ったご褒美は何にしようかな。一緒に旅行を考えてくれたきくりちゃんにも何かしてあげたいな。なんて考えてたら、一人でにやにやしてたみたい。
窓に映った自分に恥ずかしくなって、みんなの寝顔を見た。
今日の冒険は大成功だった。
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