第5話 蔵の中
そんな片頭痛を患う時というのは、どうも、定期的のようだ。
「何か毎日、頭痛があるような気がする」
と思う時期もあれば、
「最近、頭痛がなかったので、久しぶりな気がする」
という時期があったので、一度、頭痛の頻度を確認してみたことがあった。
すると、その時々で、確かに毎日のように続く時期があり、その時期が、2日くらいで収まることもあれば、10日近く続くこともあった。もちろん、ほとんどが単発で、それでも、一週間に一度くらいは、頭痛に見舞われるのだが、その間隔はそこまで違わなかった。
要するに、続く長さの長い時と短い時で、感覚が違うという思いだけだったのだ。
その日は、片頭痛はなかったように思えた。何しろ、毎日がほとんど、
「エンドレスで仕事をしている」
という感覚なので、どれがいつのことだったか、ほとんど分からない。
たとえは、毎日飲まなければいけない薬があり、
「あれ? 今日は飲んだっけ?」
ということを思い出そうとしても、なかなか思い出せない。
どれがいつのことだったのか分からないほど、毎日同じペースで生活をしていて、しかも、その日その日の感覚を感じるという思いがマヒしてしまっているからであった。
そんな毎日を過ごしていると、駅に向かって歩いているつもりだったのだが、そのうちに、その感覚すら、
「まるでウソみたいだ」
と思うようになってくる。
しかも、その日はいつもと違う道を通っているのに、そして別の道を通った理由が、
「気分転換」
であるにも関わらず、まったく感覚がマヒしてしまったことで、気分転換などできているわけもなかった。
「俺って、どうして、こっちを通ろうと思ったんだっけ?」
と思ったのは、本当に、気分転換だけだったのだろうか?
確か、以前にこっちの道を通った時というのは、何か楽しいことがあったことで、この道の思い出が楽しいものだったという意識があったはずではないか。
「あの時のような感覚に、もう一度なりたい」
という思いがあったはずなのだが、それを歩いているうちに忘れてしまったのだ。
不知火は、
「道を歩いている時、いつも何か余計なことを考えている」
と思っていた。
何を考えているのかは、その時々で違っているが、多いのは、
「昔の懐かしい思い出を振り返っている時ではないか?」
と感じた時であった。
「会社に入ってまだ3年なのだから、大学時代や、それ以前の思い出ではないだろうか?」
と思っていると、
「なるほど、確かに。田舎町を歩いているのだから、何を考えている時でも、必ずどこかで、幼稚園のあの時、けがをした時の記憶がよみがえってくるのではないか?」
と思うのだった。
それは、最初にそこから入る場合もあるし、逆に、まったく違うところから入って、うまく想像力が誘導するのか、ちゃんと狂いなく、幼稚園の時のケガの場面に行き着くのだ。
それが夢の差愛護かどうか分からない。
「ただ、それが夢の最後だから、自分が夢を覚えているということはないのではないか?」
という思いがあった。
それは、誰にだってあることで、夢の最後を覚えていないというのは、自分が夢の最後に持っていく場面を、本当は思い出したくないという感覚から持っていくのか、それとも逆に、本当は思い出したいはずのことを思い出すと都合が悪いようなことで覆い隠そうとして、夢を覚えていないという、自分の中に、そんなオブラートを作ってしまうのではないだろうか?
そんなことを考えていると、
「夢というのは、寝ていて見る夢だけではなく、起きていても夢を見ているのかも知れない」
と思うようになっていたのだ。
そんないろいろな昔のことを思い出しながら歩いていて、
「こんなところに蔵があったんだ?」
と思いながら、ふらりと中に入っていった。
「蔵が俺を呼んだ?」
と言えば恰好がいいが、正直、その場所で怖いという思いもありながら、通り過ぎてしまうのが怖かったという、矛盾した気持ちがあった。
いや、
「その場所に何かがある」
と感じたというのは、あまりにも都合がいい解釈であろうか?
そう思って中に入ってみると、意外にも、奥にある建物の電気はすべて消えていた。
「まさか、空き家なのか?」
と思ったが、どうも、人がいる気配はない。蔵の近くに犬小屋があるが、犬がいる気配もない。それどころか、近づいて見てみると、その犬小屋は壊れているのだった。
真っ暗なので、さっきまでは気づかなかったことも、目が慣れてきたのか、見えるようになってくると、蔵の方から、少し白いものが見えていた。その中途半端な光は、明かりがついているわけではなく、白っぽいものがあるのが見えたのだ。
ゆっくり近づいてみると、蔵の扉が開いていた。その扉に近づいていくと、白いものが大きくなっていく気配がして、その白いものが蔵の中から見えているのが分かった。
蔵の扉に手を掛けると、そのすぐ横にスイッチがあった。
「暗い蔵の中でスイッチを探すのが大変なので、すぐに手が届くところにスイッチを付けたんだろうな?」
と思い、スイッチを入れてみると、その中は思ったより荒れ果てていた。
ただ、その割には、次の瞬間、
「結構キレイなのか?」
とも思ったのは、ものがそれだけ何もないからだった。
そう思って見渡してみると、先ほどの白いものが、なにやら、白装束のような布であるのが分かると安心したのだが、その白い布の端に、真っ赤な色のものがついているのを発見し、ドキッとしてしまった。
そうしているうちに、少し中に入ると、そこに、今度は黒い塊のようなものがあった。
「うぅー」
と何かが唸っているのが聞こえた。
明らかに人間が唸っていた。そこに横たわっているのは、確かに人間だった。
「大丈夫ですか?」
といって近寄ると、うめき声が聞こえたのは、完全な勘違いで、人が死んでいるのだった。
触ってみると、完全に冷たくなって、死後硬直の感じから、死んでから、かなりの時間が経っているのを感じた。
そこにいるのは、最初、老人か誰かではないか? と思ったのだが、どうも、もっと若い人らしい。
断末魔の表情で、生前の顔がどんな人だったのか分からないが、血が至る所に飛び散っているのを見ると、どこかを刺されたようだった。
「ああ、胸を刺されている」
と思い胸を見ると、鮮血でドロドロになっている。
「いや、死後かなり経っているのだから、鮮血とはいえないか?」
と感じたが、とにかく、母屋に誰かいないか、蔵を出て見てみるが、明かりは相変わらずついていない。
しょうがないので、不知火は警察に連絡し、来てもらうことにした。考えてみれば、ここで母屋に誰かがいれば、母屋の人は、犯人を不知火だと思い、警察によからぬ話をするかも知れない。それよりも、第一発見者として話す方がいいのだろうが、
「なぜ、君はここで発見できたんだ?」
と言われればどうしようか考えた。
まさか、
「死体が自分を呼んだ」
などというオカルトまがいなことを言って、信じてもらえるはずもない。
しいて言えば、
「犯人自ら、警察に通報したりしない」
というようなことはないというのが、唯一の救いではないかと思えたが、何よりもこの死体はどうしてここにあり、自分が発見することになったのか。
因縁めいたものがなければいいと思った不知火だった。
ほどなく警察がやってくると、案の定、死体の検分を、鑑識が行いながら、あたりを物色した跡に、不知火のところにやってきて、どうしてここにいて、死体を発見したのかを問いただした。
しかし、彼には、言い訳でしかないことではあるが、正直にいうしかなく。話をすると、警察はさすがに怪しいとでもいうような表情をして、それ以上深くは踏み込まなかった。
いや、踏み込めなかったといってもいい。そもそも、彼がここに何か関係がなかったことはハッキリとしていたのだ。
「何となく、血の臭いを感じた気がしたので、中に入ってみた」
などというと、余計に怪しまれる。
なるべく余計なことを言わないようにしないといけない。確かにここに来るときに、血の臭いを感じたような気がしたが、それは、他にも酸っぱい臭いを感じたことも手伝って、昔の記憶がよみがえってきたからだった。ただ、自分でも、その理由まではよく分かっていなかった。
「ところで君は、この家が空き家なのは知っていたのかい?」
と言われて、
「いいえ、知りません。最初にこの蔵を気にした時、母屋の方で電気がついていないこと、そしてそこの犬小屋が荒れ果てていて、犬もいないことを見た時、この家の家主はいないんじゃないかって思ったのは確かです。でも、まさか、ずっと空き家だったとは思ってもみませんでした」
というと、
「なるほど、確かにここは、少しメイン道路からも離れているので、この近所の人でなければ分からないだろうね。あなたの会社からは、ここまではそれなりに距離もあるので、分からなかったというのは、無理もないことだね」
と刑事から言われた。
「私が気になったのは、白い布が真っ暗な中で光ったように見えたからなんですが、まさか人が死んでいるなんて思ってもみませんでした。あの人はこの家に関係のある人だったんでしょうか?」
と不知火が聞くと、
「そんなことは捜査しないと分からない。ただ、誰かが彼を刺したのは、ここではないのかも知れないな」
というではないか。
「どうしてですか?」
と聞くと、
「ここで殺された割には、血の量が少ない気がするし、そこかから引きずられたかのような跡があることから、犯人がここに運び込んだ可能性がある。何しろ、この家は荒れ果てていて、たまに、誰かが見に来るくらいだったからね。そのことは、警察でも把握はしていたんだ」
という。
「じゃあ、ここで死んでいる人が、いずれは発見されなければいけないが、すぐでは困るというような何かがあったということになるのかな?」
と不知火がいうと、
「君は、ミステリーファンなのかい? 話を聞いていると、推理が好きなようだけど」
と言われて、ビックリした不知火は、
「あっ、すみません。出しゃばったことを言ってしまって。でも、死体を発見したのが自分だと思うと、このまま納得できずにいるのは、気持ち悪いことなので、ついつい自分を納得させようと考えてしまうんです。素人が勝手なことばかり言っていると思って、見逃してください」
と、不知火は言って、苦笑いをした。
「そういうことなら、分からないでもないが、とにかく、今は何も分かっていないので、我々にしても、君の考えにしても、ただの妄想でしかないんだ。そこのところは分かっておいてくれ」
と刑事は言った。
この刑事は、それほど、警察としての恫喝をするタイプの人ではなさそうだ。
どちらかというと、
「庶民の味方」
というタイプではないかと思うと、少し気が楽になったのだった。
今まで、不知火は、警察に通報したことなどないくらい、事件や警察とは縁遠いものだった。普通は誰でもそうなのだろうが、いざ事件に首を突っ込むことになると、またしても、中学の時に見た事故の悲惨な思い出がよみがえってきて、今回自分が発見したのが死体だったということがまるでウソのように思えるくらいだったのだ。
そこへ、今度は鑑識がやってきた。
「今の時点での推測ですけど、まず死因は、胸に刺されたことでの、出血多量によるショック死ですね。そして、死亡推定時刻は、たぶん、今から、8時間くらい前ではないかと思います」
と鑑識がいうと、
「じゃあ、大体今が、午後10時過ぎだから、午後2時前後ということになるのかな?」
と刑事がいうと、
「そうですね、そうなります。ただ気になるのは、このあたりはそんなに荒れていないことと、そこまで血が残っていないことから、殺害現場がここだったということはないのではないかと思われます」
と鑑識が言ったので、先ほどの自分の推理が証明されたようで、刑事は少し誇らしげだった。
「後は何かないですか?」
「そうですね。争った跡はないんですが、何かをじっと握りしめていたのか、手をこじ開けるのが少し大変ですね。しかも、犯人がやったのかどうかは分かりませんが、被害者の指にいくつかの傷があります。何かを握っているのではないかと思って、指を無理やり開かせようと思ったんでしょうね。でも、死後硬直から、それが難しかった。ひょっとすると、犯人は、どこかに何かを落としているのかも知れないと思って、今、いろいろ捜索をしているところです」
と、鑑識が言った。
「何を探していたんだろうか?」
と刑事も少し考えてみた。
ただ、これは、今考えても分かるはずもない。被害者が何者で、被害者のまわりにどういう人間がいて、どういう環境にいたのか、一つ言えることは、
「殺される理由があるほど、誰かに恨まれていたか、あるいは、彼が死ぬことで、得をする人物がいる」
ということになるのだろう。
それを思うと、まだまだ捜査は始まったばかり、不知火も、巻き込まれてしまった手前、このまま、
「はい、そうですか」
と言って、無視することもできないだろう。
そんなことを考えていると、
「そろそろ、自分は帰らないと、終電がなくなってしまう」
というと、
「ああ、すみません。とりあえず、連絡先だけは伺っておいて、また近いうちに連絡を入れるかも知れませんが、その時はご協力ください」
ということで、警察が駅まで送ってくれるということであった。
それと同時に。現場ではもう一人の刑事が残って、捜索を行っていた。とにかく、夜の空き家で発見された死体があるからと言って、この夜中に、民家に事情聴取と言っていくわけにもいかない。
とにかく、捜査は、夜が明けてからになるということで、ここには立ち入り禁止のロープを張り、早朝からでも、捜査の続きをしないといけないだろう。
そういうことで、まずは、死体を検死に回し、当然のことであるが、行政解剖が行われることになった。
解剖自体は、明日行われるとして、まずは、一度引き上げることになった。
もしこれが、都心部であれば、こんなに簡単に終わらないだろう。近所から野次馬がたくさんやってきて、
「何があったんですか?」
ということで、警官が交通整理をしなければいけなかったりするだろう。
それを思うと、このような中途半端な田舎町で起こった殺人事件。K市の管轄から、捜査員が派遣され、捜査本部ができることだろう。
もちろん、このあたりで、ここ3年以内に、事故はあっただろうが、事件のようなことがあれば、会社でもウワサになるだろうから、大した事件しか起こっていなかったのだろう。
「果たして殺人事件なんて、かつて最後にあったのは、いつだったのだろう?」
と、考えながら、不知火は最終電車に乗り込み、家路を急いだのだった。
もう頭の中は事件のことでいっぱいで、
「果たして今夜眠ることができるだろうか?」
そんな風に考えるのだった。
不知火が家に帰ると、もう午前1時を回っていた。シャワーだけは浴びたが、何かを食べようという気持ちにはなれなかった。
食べようとすると、酸味を帯びた金属臭のする、あの、
「血の臭い」
が思い出されるからだ。
「自分の血液ほど、気持ちの悪いものはない」
と思っていたはずなのに、実際に大量ではなく、しかも、時間がかなり経っていて、臭いがするはずなどないあの状況で、気持ち悪いと思うのは、一体どういうことなのか? と思えてならないだろう。
そう思ってみると、シャワーを浴びても、自分の身体に血がしみついているような気がして、実に気持ち悪いものだった。
食事も摂れない状態で、シャワーだけ浴びれば、一気に疲れが襲ってくるのは分かっていた。
パジャマに着かえて、布団に入ったが、なかなか眠れるような気はしなかった。
「羊でも数えてみるか?」
などと思っていると、気が付けば、本当に羊を数えていたのだ。
羊を数えると眠たくなるというのは、ほぼ迷信なのかも知れない。何かが気になっているから眠れないのであって、その気になっていることを意識の中から分散させることで、意識が、いや、感覚がマヒしてくる。そうなると、一気に脱力感に襲われ、そこから睡魔が生まれてくる。
その間隙を縫って、襲ってくる眠気に乗っかることが、
「羊効果」
というものなのかも知れない。
「どうしても眠れない時は、睡眠薬を飲めばいい」
といってもいいだろうか?
睡眠薬で眠ってしまうと、聞きすぎた場合、今度は起きてからが身体が動かない可能性がある。そうなると、せっかく眠れても、起きてから行動ができないのであれば、本末転倒ではないかと思うのだった。
だが、その日は、何と、
「羊効果」
で眠れたのだ。
一番の理由は、いくら気が高ぶっているとはいえ、
「自分にとって、この事件はあくまでも他人事だ」
ということである。
そもそも、眠れない理由の一つに、仕事のことがあるのも間違いないことで、あの場所を通りかかったのも、気分転換だったはずだ。
しかし、あそこを歩いているうちに、
「あそこに何かよからぬものがあるのではないか?」
と感じたのではないかということを、後になって気が付いた。
それがいつだったのかというと、どうやら、夢の中だったようだ。
「ああ、自分は、最初から分かっていたんだ」
と思うと、スーッと睡魔が降りてきて、いつの間にか眠ってしまっていたのだと思うようになった。
あの時、頭の中をいろいろなことが走馬灯のようによぎった。思い出した順番はハッキリとしないが、自分の中の時系列で並べると、幼稚園の時の、納屋から落ちてケガをしたあの時。そして中学時代に目撃した、通学路での交通事故。
だが、その間に何か他にあったような気がすると思っているが、それが何だったのか思い出せない。
それを思い出そうとは無理にしなかった。
なぜなら、
「今なら、ゆっくりと寝ることができるからだ」
と感じたからだった。
ゆっくり寝ようと思って目を瞑ると、
「夢の中でなら思い出せるんじゃないかな?」
と思うと、そのとたん、眠りに就いてしまったような気がした。
その、
「欠落した記憶がどういうものだったのか?」
それは、たぶん、事件が佳境に入った時に思い出すのではないか? と思うのだった。
「夢というのは、実に都合のいいものだ」
と、その時、不知火は感じたのだった。
その日の夢は、覚えていたのかどうだったのか、自分でもハッキリしていない。
その時に出てきた夢は、十字路に立っている自分がいるところから始まった。
「十字路」
それを思い出した時、以前に見たと思っている十字路の話が頭の中二あったため、どれが今日見た夢だったのか分からなくなった。
これは、先ほどの、
「自分の中での時系列に考え直してみると、何か大切なことを一つ忘れてしまったのではないか?」
という感覚に似ているような気がしたのだ。
ということは、
「夢というのが、決して時系列で見るものではない」
と考えられる。
そして、時系列に並べなおして分からなくなることがあった時は、
「それがすべて夢と繋がっているのではないか?」
ということで、一つに固まる気がしてくる。
その、
「時系列の中で一つ抜けているのではないか?」
と感じたことが、何やら十字路のことのように思えてきた。
十字路というと、就職してから、この街の駅から会社まで初めて歩いた時に感じたことだった。
といっても、例の、
「魔の交差点」
のことではない。
駅を出てから少し行ったくらいのところにある。小さな三つ角が、その十字路を思い出させた場所だった。
その場所は、確か小学生の頃だっただろうか? 友達の家の納屋の近くにあった十字路だったような気がする。
「俺は、子供の頃から都会に住んでいたはずなのに、子供の頃の記憶で覚えているのは、どうして、田舎のイメージなんだろうか?」
と考えてみた。
大人になって感じるようになったのは、
「夢というのは、覚えていることと忘れていることがある。覚えていることというのは、意外と怖い夢が多い。それだけ怖い夢ほど忘れられないということなのかも知れない」
と思うのだが、それは、子供だから感じることなのかも知れない。
怖いことというのが、印象深いことだという証拠や信憑性が一体どこにあるというのか?
それだけ、子供は思考回路が単純なのかも知れないと思ったが、それは、どこか天邪鬼であるともいえるだろう。
だから、逆に残ったものとして、
「夢という感覚と、忘れられず覚えているということは。切っても切り離せない感覚であり、それは子供であっても大人になってからであっても、変わりのないものなのではないだろうか?」
ということが言えるであろう。
だから、忘れられないことがあれば、それは、夢に見ることであり、忘れてしまうのは、その忘れられないことを演出するためのものとしての材料でしかない。
だったら、忘れられないものというのは、
「しょせんは、夢でしかないのではないか?」
と考えるのだ。
かなり飛躍した考えであるが、この考えがある以上、忘れられないことが夢の中の世界だということをいかに理解できるかが問題ではないだろうか?
「夢というのは、覚えていないだけのことであって、実は毎日見ているのではないか?」
と考えたことがあるが、これも、何の根拠もなければ、信憑性もない。
だが、それだけに、夢というものを神秘的に考えることができるというものであり、下手をすれば、
「眠れない」
と思っていたとして、それはあくまでも、
「眠れないという夢を見ているだけ」
ではないかと思ったことがあった。
冗談のような話だが、そう考えると、夢も、
「意識の中の入れ子」
なのかも知れないと思うのだ。
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