相変わらずの幼馴染とレイナの友人

「相変わらず視野が狭いことってことは変わってないな」


「そっちこそ相変わらず敬語が似合わないよねぇ~。電話した時も敬語で話すもんだからわからなかったよ?」


 うるせぇ。お前とはずっとタメで話してるから敬語に違和感あるだけだろ。


「まぁとにかく」


「久しぶり」


 俺が両手を広げると鈴音が抱き着いてくる。再開のハグってやつだな。


「やっぱりスマホ壊したのか?」


「いやぁ、ちょっとね?」


 やっぱりか。鈴音の両親もよくものを壊す鈴音に文句を言ってたなぁ。スマホを壊したことも一回や二回ではすまないくらいあるからな。


「だから電話番号覚えとけっていったじゃん? 紙に書き写したりなんだりでさ?」


「いやそれは……その、めんどくさくて」


 こいつ……俺との大事な連絡手段をめんどくさいですましよってからに……。というかおそらくスマホ壊した時まで毎日連絡とってたんだからそれぐらい覚えててくれないかなぁ?


「まったく……次は絶対忘れるなよ? ウェスタから聞いて電話番号は知ってるだろ?」


「あ、うん多分大丈夫……」


 絶対忘れるぞ。後でメモさせておこう。そんなことを考えていると、ウェスタが声をかけてきた。


「感動の再開らしいことはわかったのじゃ。しかし二人とも、周りをよく見てほしいのじゃ。特に鈴音殿。お主は女性単身のチャンネルなのじゃから気を遣わないと炎上するぞ」


 周りをよく見ると、ショッピングモールの他のお客さんからすごい視線を感じた。


「確かに! じゃあホテルに着いてから……」


 今日、実は集合したのは盛岡市なのだ。俺は青森に住んでるわけだし、鈴音に至っては東京住みである。両者家が遠いので、今日はホテルに泊まることになっている。


「同じ部屋に泊まるわけじゃないのじゃが、どこでするつもりなのじゃ?」


「え、同じ部屋じゃないの?」


「前にもいったじゃろ? うちの主は男じゃから部屋は分けて予約するぞと」


 うちの幼馴染ったら本当にどうしようもないな。


「たしかに一緒にゲームした時に言ってたかも?」


 え、一緒にゲームしてたの? 初耳なんだけど? まぁウェスタ俺よりパソコン使いこなしてるし全然おかしい話じゃないな。


「そういうわけで鈴音は1人じゃな」


「ええ!? そんなのあり!?」


 なんかウェスタと鈴音仲いいな。まぁ結構やり取りはしてたはずだしそれもそうか。少し疎外感を感じてきたから俺はレイナに声をかける。


「レイナ、異世界に居た頃って友達とかいたのか?」


「ええ、特に仲いい人が3人いましたね。よく4人で行動してましたよ」


「どんな人達だったんだ?」


 少し気になるな。ウェスタと鈴音がなんか言い争っている間に聞かせてもらおう。


「1人目は少し変わってましたね。種族は吸血鬼でした。吸血鬼は異性の人間と契約して血を飲むのが普通でしたが、彼女は異性と契約はせず、血も飲まず、同性の人間の友人の事をとても大切に扱っていましたね。よく同種族の部下から変わり者といわれてましたよ」


 友人の事を語るレイナからは少し寂寥の色を感じる。そうか、ウェスタの友人と同じような感じでもう会えないなんてこともあるのか。


 俺がこれ以上聞くかどうか迷っていると、レイナが二人目について話始めた。


「2人目はかなり人見知りでしたね。アラクネという珍しい種族で、同種は他に1人しかいなかったはずです。彼女は私たち意外とはほとんど話さなかったのでもう1人の同種とは面識がなかったはずです。私たちの中で一番強かったのは彼女でした」


「レイナより強いんだ……」


「今戦えばどうなるかはわかりませんが、昔は何回挑んでも勝てないくらい差が広かったですね」


 マジかよ異世界とんでもねぇな。


「3人目は面白い子でしたよ。純魔族ながら私たちに並ぶほどの力を持っていた異常な才能の持ち主です。とんでもなくドジなかわいい子でした。身長は私たちの中でも1番高かったんですけど末っ子みたいな感じで扱われてました」


 すごい面白そうな友人がいたんだな。もしこの世界に来ていたのならあってみたいものだ。


「その人達はこっちの世界に来てそうか?」


「おそらく来てるとは思いますよ。それができる力は皆ありましたし方法は共有済みです」


 いつか会えるといいな。是非レイナとまた話してあげて欲しい。


 ウェスタたちの方を見ると、まだお話しをしているようだった。


「これは鈴音が持っているのがいいと思うのじゃ」


 そういってウェスタがダンジョンの宝箱から出た杖を鈴音に渡した。あ、それあげていいの? 友人のだって言ってたのに。でもまぁ確かに鈴音が使うのが一番ぴったりな気がするなぁ。氷系の魔法使いだし。


「これは……? すごい、手になじむ。それになんというかすごく、懐かしい感じ……」


 数億円だぞ!? とも一瞬思ったが俺も鈴音に持っててもらうのがいいかなと思う。俺はウェスタとレイナという最強の護衛がいるからいいけど鈴音にはいないからな。できるだけいい武器を使って生存率を上げて欲しい。家族も友人もいない俺にとって一番大事な人だから。


◆◆◆

 明日の投稿はもしかするとお休みになる可能性があります。おそらくは投稿できると思いますが……。23時までに上がらなかったらそういうことだと思ってください。

 

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