試験終了!!
泊さんの戦術は結界の中にこもり、相手の攻撃をすべて防ぎきってから結界術を応用した魔力弾で反撃するというものだ。ちなみに結界をだんだん狭めて圧殺、とかもできるのが怖いところだ。有名だから戦術とか知ってる分やはりこちらにだいぶ分があるな。
さっそく泊さんが自らの周りに結界を張った。……が、その瞬間ガラスが割れるような音がして結界が砕け散った。フュンフが一撃でたたき割ってしまったのだ。フュンフお前物理系だったっけ? 氷の魔法はどこに行ったんですか。
「フュンフ、お前強すぎ。待機で」
戦いにならないので、フュンフにはウェスタたちと同じように待機しててもらう。
「……私の結界がぁ」
一撃で結界を破壊された泊さんのメンタルがボロボロである。今にも泣きそうな顔をしているぞ……。
しかしさすがはAクラス探索者。すぐに二枚目の結界を展開した。が、しかし、またもその結界が砕け散る。
今度はフィーアね。闇系統の魔法で一撃で結界を破壊と。
「……うそぉ。もうやだぁ」
「フィーア! ……待機で」
君たちまぁSクラスだもんね……納得の強さだけどさ。
「うぅ……」
ほら、泊さん泣いてるよ! 君たち手加減ってものを知らないのか!
……知るわけないか。
「泊さん?」
「……」
涙目ながら泊さんは三枚目の結界を展開してきた。あれ何回展開できるんだろうな? まぁいいか。
まぁいいや、今度は俺が直接でよう。俺は今来ているローブのスキル、『暗雲結界』を発動する。泊さんの結界以外の場所に暗雲が立ち込める。
その暗雲の中で、俺は結界に攻撃を加える。が、一切結界に傷つけることなくはじかれてしまった。
「アイン、ツヴァイ、ドライ、フィニ。一緒にやるぞ」
フュンフとフィーア以外のスケルトンズも動員して結界に総攻撃を仕掛ける。
固いな。こんなものを一撃でたたき割ってたのかフュンフとフィーア。Sクラスってやっぱり化け物。
「やった!! 防げた!!」
初めて結界が攻撃をはじいたことで泊さんは大喜びである。結界の中から魔力弾で攻撃を加えた俺に反撃しようとするが、暗雲結界のおかげで姿が見えないためにそれを中止した。
「見えないんだけどぉ……」
まぁそれは見えないようにしてるから……。とりあえず攻撃を続けたら結界を砕けるのか試してみよう。速度を上げて、何度も攻撃するんだ。
俺の攻撃回数が50回にも達しようというころ、結界にひびが入ってきた。
「ど、どうしよう! 見えないから反撃もできないし……」
実は泊さんの魔法弾、欠点として、弾速が遅く、魔力消費も多いというものがある。その分威力は高いが。だから見えないなかで結界に攻撃を加え続けて砕くという戦術は結構有効だ。……結界を割れれば。
さらに今はメンタルにダメージが入っていて判断力も鈍っているため、見えないようにしているこの状況を打開しようとされることもない。多分結界操作でこの暗雲結界を吹き飛ばすことくらいは泊さんもできるはずだし。
「あわわ……」
泊さんが焦っている間も俺たちは攻撃を加え続け、そしてついに結界を砕いた。そして俺とツヴァイとドライはそれぞれ泊さんに剣を突き付けた。
「すいません、これで終わりでいいですか」
「……うん。降参……」
泊さんが消え入りそうな声でそう宣言すると同時に、俺たちは荒野から支部長室に戻っていた。支部長室にスケルトンたちを召喚しておくのは少しあれなのでスケルトンズは戻った瞬間に召喚解除した。
「夜見君、君、人の心ある?」
戻ってきて立花さんが開口一番にそう聞いてきた。失礼な。
「……あると思いますよ?」
しかしやっていることは手加減してAクラス探索者のメイン戦術を3度真向から破壊しての勝利という割とえげつないことなので即答はできなかった。
「私……Aクラスでも上のほうなのにぃ……」
いつの間にか泊さんが支部長室の端のほうでうずくまっている。キャラ崩壊がひどいな。……俺はなにも言わないぞ?
「彼女がああだから私の方から点数だすけど、実技は文句なしの100点満点だね。あとは筆記試験だけど……これはパスでいいらしいよ」
実技は満点をいただけたらしい。まぁ減点要素なかったと思うし。というか筆記試験パスってなに? 俺昨日結構勉強してきたんだけど。
「パスとはどういうことですか?」
すると今まで黙っていた佐藤さんからのお言葉が入った。
「それに関しては支部長からの指示です。『あれだけ魔物に詳しいウェスタちゃんがいるんだから、大丈夫でしょ』とのことですね」
支部長、配信見てやがったな? あれウェスタ鑑定でずるしてるんだけど。……まぁいいか。そういうことならありがたくパスさせてもらおう。
「なるほど、ではこれで試験は終わりですか?」
「そうだね。晴れてBクラスだよ。おめでとう! 試験官がかわいそうだから早くSクラスになってね!」
そんなこと言われましても……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます