試験のお声がけ

 その後、質問コーナーも終了した後、再開したヒゲカートにプロが乱入し、二人が初めて2着3着をとった後、配信を終了する運びとなった。


「次の配信はいつじゃ? 主殿」


「そうだな、次は明後日、ダンジョン配信かな。レイナの実力をみんなに見てもらおうか」


「機会をいただきありがとうございます」


 そういうわけで、二人に配信終了のセリフをお願いする。


「本日の配信はこれにて終了じゃ。次回の配信は聞いていたであろう通り明後日じゃな。レイナの戦闘がメインの配信になるぞ! ぜひ来てくれなのじゃ~!」


「お待ちしておりますよ。ではまた明後日にお会いしましょう」



コメント

『お疲れ様でした~!!』

『明後日絶対来ます!』



 配信終了のボタンを押して、二人にお礼をしてご飯を出してあげたあと、俺は配信終了後の作業を行う。すると、スマホに着信が来た。


 なんだろう。やっぱりさっきの配信の内容やばかったかな?


 どこからか確認してみると、探索者協会からだった。ん? もしかして支部長退院した?


『はいもしもし、夜見です』


『もしもし、支部長代理の佐藤です。こちらでBクラス昇格試験の用意をして置きましたので、Bクラス昇格試験を受けませんか?』


 Bクラス昇格試験? ああ、なるべく早くランクを上げてほしいとか言ってたし、それ関係か。Bクラス試験って確か筆記と実技だったよな? 筆記はまぁいいとして……実技できるほど俺強くはな……くないな。


『かしこまりました。探索者協会にはいつ伺えばよろしいのですか?』


 ぶっちゃけウェスタかレイナ片方を召喚するだけでほぼ合格確定みたいなもんだしな。


『できれば明日か明後日のうちに来ていただきたいですね』


 これは多分、探索者協会の試験を担うあの人の都合だな。それならば。


『それであれば明日、伺います』


『かしこまりました。では詳細はその際に説明させていただきます』


『はい』


『それでは失礼いたします』


 佐藤さんはそういうと電話を切った。支部長いないところで試験やっていいのか多少疑問ではあるが。


「ウェスター?」


「なんじゃー?」


 取り合えず明日試験の旨をウェスタに伝える。ウェスタを召喚して実践をやろうと思っているからだな。俺召喚士だし。


「ふむ。困ったのなら儂が出るが、それまでは主殿が出てみるのはどうじゃ? 戦闘の訓練になるじゃろ」


「確かにそうだな。ぎりぎりまで俺とスケルトンズで戦ってみるよ」


 今の俺のステータスに技術とかが合わさってない可能性が多いにあるから、死の危険がないこういう機会に訓練してみるのもいいだろうな。


「儂は場外ぎりぎりで見ておるのじゃ」


「了解」


 そういうわけで、明日の実技の作戦は決定だ。後は筆記試験だが、これは簡単なものだから何とかなるとは思う。


 だが一応万全を期して今日のあまり時間は勉強するとしようか。二人にこの後の話をして、配信後の作業も終了して俺はパソコンの前に座る。さて、しっかりいろいろ調べないとな。


◆◆◆


 翌日、俺は探索者協会へ赴いた。入るとすぐに支部長室まで通された。支部長席には佐藤さんが腰を掛けている。それと、もう一人が、近くのパイプ椅子に座っていた。


「お、君が今日試験を受ける子か~。私は立花 絆。どうぞよろしく~」


「よろしくお願いします」


 この人は探索者協会の重鎮。Bクラス以上の昇格試験にはすべて彼女がかかわっている。


「試験官は、まだかな?」


「失礼、遅れました。泊です。うん? 今日の試験はやっぱり君なのね」


 立花さんが尋ねると同時に泊さんが支部長室に入ってきた。なるほど、試験官は泊さんか。


「おーそろったね! じゃあさっそく試験を始めてしまおう」


 すると、支部長室の中に純白の扉が現れた。これは、彼女だけが所有する亜空間への入り口だな。


「じゃあ二人とも、この扉に触れて!」


 俺と泊さんは立花さんのいう通りに扉に触れた。すると次の瞬間には、何もない荒れ果てた荒野に立っていた。……なんか少し懐かしい感じがするな。


「さて、立花さんも言っていたことだし、さっそく始めましょうか」


「そうですね。よろしくお願いします」


 察しのいい人なら気が付くかもしれないが、Bクラス以上の実技試験は……対人戦だ。


「手加減はしないわよ」


「大丈夫ですよ。ウェスタ、レイナ。出ておいで」


 俺は背後に二人を召喚する。今日探索者協会に来る前にいったん召喚解除していたからな。


「では見ておるのじゃ、主殿」


「私も待機しておきますね」


 二人は俺の訓練のために待機していてくれる。


「私これ勝ち目ないわよね?」


「大丈夫ですよ、今回は俺と他の魔物だけで戦いますから」


「舐めプかしら?」


 ……そうかもしれない。


「でもまぁ、あなただけが相手なら勝機はあるはずよね?」


 そういって泊さんは得物の杖を取り出した。彼女は結界系の魔法使いだもんな。


「おいで、スケルトンズ」


 俺の前に6体のスケルトンが並ぶ。中心はフュンフだ。まぁ一番強いしな。


「んー……私これ勝つの無理じゃないかしら?」


「……頑張ってください」


 こうして結果の見えたBクラス昇格試験は幕を開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る